ウクライナ軍は南部でドニプル川を渡河し、左岸に橋頭堡を築いた。すでに南部で反攻がスタートしているようである。

 ストラテジーペイジの2023-4-23記事。
   英軍による宇軍兵士の集中訓練がいい調子である。
 2022のなかばより、英国は、ウクライナ兵を5週間の訓練コースに入れて鍛えてやっている。その場所はポーランドの演習場を借りている。

 ちなみに英軍の現役兵は15万3000人で、このなかには即応予備役3万7000人も含む。ウクライナ陸軍の規模は現状、英軍の3倍以上の兵数だ。

 宇軍に与える訓練コースは35日間である。宇兵のモチベーションが高いので、効果はめざましい。

 これまで、宇兵6万人が、このトレーニングコースを修了した。
 2023年に入ってからは受け入れ規模を2倍に増やしている。

 教官・助教は英軍兵だけでなく、他のNATO軍やANZAC軍からも応援を招いている。
 ほとんどは歩兵科の教練だが、ごく少数、ヘリコプター操縦と、無人機操作を教えている。

 特科(砲兵、戦車兵、高射砲兵等)の訓練担当は、英軍以外が分担している。やはりその訓練場はポーランド国内に多く散在しているが、ドイツや米本土でもやっている。

 開戦いらい、ウクライナの軍民は甚大な人的損害を蒙ったが、それにもかかわらず、反撃モチベーションの高い宇軍の規模は50万人を超えているのである。これに精到な訓練が加わると、20万人未満と数で劣勢の露軍にはいよいよ勝ち目がない。

 NATOによるウクライナ軍の訓練が始まったのは2014年よりも前からであった。そのおかげで2021年にはウクライナ軍は、兵隊に関してはかなり質の良い20万人の軍隊になっていた。急に動員されて2022に侵攻してきた露軍は、訓練において最初から劣位だったのである。

 訓練された歩兵小隊(30人~40人)は、敵からの砲撃を喰らったときに、ただちに散開して適宜の遮蔽物に身を隠し、なおかつ指揮官の掌握下で次の動きに備える。訓練されていない歩兵小隊は、砲撃を受けるとパニックに陥って逃げ散ってしまう。

 ※SNSに出ている写真。ウクライナが Kraz という「トラック+2重連トレーラー」の移動シャワー&洗濯所を製造して最前線の近くに送り出している。構成は、6×6の大型トラックに20フィーターのコンテナを載せ、さらに、20フィーターコンテナを載せたトレーラー2台を、そのトラックで牽引する。すなわち3両編成だ。ひとつのコンテナはシャワールーム。ひとつは洗濯機。もうひとつはおそらくボイラーが入っている。水タンクの位置は写真ではよくわからぬ。戦闘服を洗濯させている間に、本人はシャワーを浴びる。これと休憩所を組み合わせれば、塹壕生活もいくぶん快適になるだろう。わが国が災害派遣用に準備しておくべき装備の、ひとつの好見本だと思う。

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 Kyle Mizokami 記者による2023-4-21記事「GPS-Guided Bombs Should’ve Been Ukraine’s Ace in the Hole. Then, Russian Jamming Stepped In」。
   『ポリティコ』が報道した。
 米国は宇軍にJDAMを供与したが、露軍にはGPS信号を攪乱する手段があるため、ちっとも成果が上がっていない。電波妨害をオーバーライドするには、宇軍の飛行機にレーザーデジグネーターが必要なのだが、そのような高価なターゲティングポッドを、宇軍の飛行機は備えてはいないのである。

 ※鉄道線路を他の地物から区別して認識する画像コントラスト認識AIなら簡便なものがいくらでも可能なはずである。それと安価な光学センサーを組み合わせれば、アリババドローンでも有力な対鉄道特攻機になる。途中までGPSを頼りにし、最後の数kmを光学イメージ認識に切り替えれば、露軍お得意のスプーフィングは無効だ。しかもターゲットは線目標である鉄道。そのどこに落としてもいい。禦ぎようはない。

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 ロイターの2023-4-23記事「Paris, Kyiv, Baltic states dismayed after China envoy questions Ukraine sovereignty」。
    パリ駐在の中共大使・盧沙野が、旧ソ連邦だった独立国〔バルト三国、ベラルーシ、ウクライナ、ジョージア、カザフなどのスタン国家群〕には、そもそも国際法上の独立国家の資格が乏しいのだとフランスのテレビのインタビューで持論を演説し、バルト三国が大反発している。

 ※このたびの市議選では、第1空挺団を3年勤め上げたという川崎啓太氏に期待して投票したところ、最下位当選していてワロタ。しばしば、わたしが投票する候補者は落ちてしまうのだが……。市長選は、運動期間中の沿道市民の反応の差からして、もう大泉氏の勝利は早々確実だったように見えた。選挙参謀は誰だか知らないが、只者じゃない。立憲色を出さぬように絶妙の進行表で数年かけて押し出して行った。『孫子』の表現をすこし変えて言うなら、《何もしないであっさり勝ったように見えてしまう司令部こそ、最上質の指揮官と幕僚の証明である》。