岩畔豪雄と辻政信のマレー戦回想×2、それから戦史叢書の『マレー進攻作戦』中の自転車関連記述も併せて摘録し、それ以外に、戦前~戦中の国内の自転車生産統計等も抜粋しました。
旧軍がもし自転車をフルに利用していたらどうなっていたかを考えるための基礎資料が、あらまし、揃ったと思います。
ご興味ある方は 《note》 https://note.com/187326mg/ をご覧ください。
私は、自動二輪車には、まだ未開拓の「形態」が複数あると思っています。そこへ飛躍的に進化させたいと思ったなら、げんざいすでに進化の袋小路に逢着しつつある、最新式の自動二輪車をベースに考えていては、埒はあかない。
こういうときには、「進化の階梯」を、何段階か、後戻りさせて、その原初的な形態から、こんどは人為的な実験のくりかえしによって、ふたたび進化をやりなおさせるのが、よいのです。
私流のその提案は、いずれ、本に書くつもりですが、ちょっとみなさんもイメージしてみてください。
オートバイの祖先は自転車です。その自転車のはじまりは1817年です。そこまで遡っても、たかだか2世紀。その2世紀の間に、消えたアイディア、消えた形態が、無数にあります。しかしそれらは、現代の技術をあらためて適用してみるならば、思いもよらなかった大きなブレイクスルーにつながるかもしれませんよ。
ところで、ベトナムの軍用自転車に関しては決定版文献と想像されたフィッツパトリック本、私はアマゾンを通じて海外に初版本の安い古書を発注したのですが、届くのが遅くてやきもきしました。予告の期日を過ぎても届かないので思い余ってちょっと高額なリプリント版(新刊価格)も発注してしまった。
比較しましたところ、挿絵写真の質がコピー劣化している、残念な出来です。原書にご関心のある方には、やはり初版本の調達をお勧めします。この本の写真はとても貴重ですので……。
なお小生の手元に、読まれずに余ったリプリント版は、日本国内ではたぶん収蔵機関がないだろうと思われますので、後日、靖國偕行文庫、もしくは他の適当な公共図書館に寄贈するつもりです。
あと《note》の仕様が、いつのまにか、変わっているようなので驚きました。たとえば、いままで段落頭の1字下ゲは、問答無用で消えてしまっていたのに、それが反映されるようになっている。そこは歓迎できるのですが、どうもAIが内容を検閲し始めたんじゃないかという節がある。AIがネットの書き込みを検閲する時代が日本にも到来していたのか? もし、そんな方向に進むのならば、私には居心地の悪いプラットフォームになってしまうという悪い予感がします。
次。
Joseph Trevithick 記者による2023-5-18記事「Leaked U.S. Report Says Basic F-16 Training For Ukrainian Pilots Could Take Just Four Months」。
ヤフーニュースがすっぱぬいた。米空軍の「ベースライン・パイロット評価」報告書だ。これはウクライナから派遣された2人の操縦者をこの春、ためしに教練してみた結論も含む。
その報告書は、以下の国々の関係者にも開示された。すなわち、ベルギー、ブルガリア、デンマーク、英国、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、オランダ。
以上のうち、英国をのぞくと、皆、F-16の使用国/使用予定国である。
ウクライナから来た2人についてもすでにいろいろ分かっている。1人はスホイ27乗りの大尉。もうひとりは、ミグ29乗りの少佐だ。
アリゾナ州兵空軍「第162ウイング」の、3名の少佐教官(F-16で1500時間以上飛行)と、1名の中佐教官(F-16で2600時間飛行)が、評価を下した。その結論。
シミュレーターにて、F-16のエンジンが止まってしまった状態での着陸をさせてみたが、彼らはそれができた。
シミュレーターにて、低空飛行をさせてみたが、その技倆は平均以上であると認められた。
この人たちは4ヵ月以内の訓練でF-16を任せられる。すなわち、8週間にて機種転換を習熟、ついで2週間にて低レベルのステップダウン訓練〔すまん、意味不明〕、さらに3週間にて空対空戦闘を覚えられる。
空対空戦闘は、具体的には、2機1組の邀撃で、有視界内でAMRAAMとサイドワインダーを使う。そこまでできるようになる。
唯一の不安が英語スキル。ディスプレイ表示も、器材の刻印言語も、すべて英語なので。
※キリル文字体系がなまじいにアルファベットであるがゆえの混乱が、咄嗟の場合に、あり得る。CなのかSなのか、どっちなんだ、とか。
次。
『NYT』の2023-5-19記事「U.S. Will Support F-16 Training for Ukraine」。
F-16の乗員の訓練は、欧州にて、実施される。これをバイデン政権は決めた。
その戦闘機をどの国が具体的に宇軍へ与えるのかは、決まっていない。
もし欧州のNATO加盟国が、保有するF-16を宇軍へ与えるのであれば、米政府の事前許可が必要。その許可についてバイデン政権は、与えると公言した。これが今の段階。
アエロフロートは部品を得ている。UAEおよび中共からの迂回ルートでスペアパーツを調達しているのだ。これを米国政府は許せないと思っており、制裁の網を強化するつもり。
ロシアは、小粒のダイヤモンドの輸出国として世界最大だが、米国はこれも潰すつもり。ちなみに2021年のロシア産ダイヤモンドの輸出額は45億ドル。デカい。化石燃料の次くらいに稼いでいる。
フォルクスワーゲン社は、ロシアのカルーガにある生産工場を売却したと、金曜日に公表。地元の自動車ディーラー企業「Avilon」が買い取ったという。ロシアメディアによると、買取金額は1億2500万ユーロほど。工場は今次侵略開始後、操業をストップしていた。
なおメルセデスベンツ社は先月、ロシア支社と同国内の組み立て工場の売却を完了した。売り先はロシアの投資会社「Avtodom」。
2007年にカルーガ工場を建設するときにVW社が使ったカネは7億7400万ユーロ。
操業停止前の製造能力は 22万5000台/年 であった。
VW社はニジニノヴゴロドにも工場を開いていた。そちらはロシアの「ガス・グループ」に売却されている。
VW社は、カルーガ工場の従業員4000人に、去年ずっと、給与を払い続けていた。まさに大損失。
ロシア政府統計によると、2021年に同国内では、30万人が、自動車メーカーに雇用されていた。またその裾野産業では350万人の雇用があった。
この自動車製造業が一挙に77%、落ち込んでいる。西側資本が一斉にロシアから手を引いたので。
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Karen Freifeld 記者による2023-5-20記事「From sunglasses to milking machines, US halts more exports to Russia」。
バイデン政権は金曜日、広範囲の民生品の対露輸出を禁じ、さらに71のロシア企業をブラックリストに載せた。
たとえば、コンタクトレンズやサングラスも、これからは対露輸出が許されなくなる。
ブラックリストに載った企業は、露軍を支援していると認定された。よって何人も米政府の許可なくその企業と取引をしてはならない。
★《続・読書余論》Jim Fitzpatrick 著『The Bicycle in Wartime』1998初版・ほか