イタリア製の装輪戦車がウクライナ軍に渡った模様。

 Boyko Nikolov 記者による2023-5-21記事「Unannounced delivery: Italian 105mm B1 Centauro tanks to Ukraine」。
   イタリア製の「B1 チェンタウロ」装輪戦車駆逐車(オットーメララ製52口径長の105mm施条砲搭載)が貨車に載っている写真がSNS(ツイッターの Clash Report)に5-20に投稿された。撮影されたのは数週間前ではないかという。
 公式アナウンスなしでウクライナに供与されたのだという噂が飛んでいる。

 イタリア政府は今次戦争の初期から、ウクライナ軍に引き渡す装備・需品については、積極的に公表をしない態度で一貫している。

 先にはIveco社製のかなり使い古された「VM90」(4×4の汎用軍用トラック)が複数、トレーラーでウクライナ国内のモータープールに搬入された現場のビデオがユーチューブに出回っている。

 チェンタウロは2006年に製造が終了しており、最新兵器ではない。
 イタリア軍の他には、スペイン、オマーン、ヨルダン軍が運用中である。
 2012年、つまりロシアのクリミア侵略の2年前には、ロシア軍がこの戦車駆逐車の輸入を検討し、120ミリ砲搭載タイプをロシア領内で試験していた。

 ※フル規格の120ミリ戦車砲の反動に軽量AFVの砲塔構造が耐えられるとはとうてい思えない。しかし、日露戦争の主力野砲だった31年式「有坂砲」のように、発射反動をプラットフォーム全体が大きくあとずさることによって受け流す方式とするなら、フル規格の120㎜戦車砲の発射も不可能ではあるまい。「S戦車」のレイアウトを、8×8の無砲塔装甲車で再現すればいいのである。もし、前につきだした砲身が狭い市街走行で邪魔になるようであれば、さいしょから、主操縦席とは反対向き、すなわち尻に向けて発砲する形とすればよい。WWII中の英軍の「アーチャー」17ポンド自走砲の流儀である。いずれにせよ、無砲塔とするからには、全独立サスペンションを可変油気圧式にして、車体傾斜そのものも自在に微調整できるように図らねばならぬ。現代の技術ならばさして難しくはない。それにて大仰角や大俯角、傾斜地での追随照準も可能になる。

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 2023-5-21記事「Japan to transfer 100 trucks to the Armed Forces of Ukraine」。
   ウクライナの大統領府がそのウェブサイトで発表した。
 日本は、いすゞの6×6の73式(3トン半)トラックなど100台を追加で供与する。
 日本政府はその前(2023-3)には、ピックアップトラック×20台を贈与すると報道されている。

 ※このほかに金銭的支援があって、その金額もウクライナ大統領府のウェブサイトには載っているのだが、それを《庶民にもわかりやすい国際宣伝》として評価するなら、残念ながらインパクトがゼロに近い。記事のタイトルにもフィナンシャルのフの字も無い。とうぜんだ。しかしわが外務省には、このとうぜんの感覚が欠損している。日本国民の血税をひたすら無駄にしてしまっているという自覚が、そもそも無いのだ。天下り先のJICAが儲かるならそれでいいのか? イタリアは、コンディションがかなり悪いはずの中古兵器「チェンタウロ」を数両、写真に撮らせるだけで、日本の援助の総額を凌ぐ印象を、世界の庶民に与えた。これが《戦略宣伝》の要諦だろう。

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 Ritu Sharma 記者による2023-5-21記事「China Emerges ‘Biggest Winner’ Of Russia-Ukraine War; Regains Vladivostok Port After 163 Years, Beats Japan In Auto Market」。
   2023年の第一4半期についての、中国自動車工業会の統計。
 2023-1~2023-3の自動車輸出は、前年同期と比べて58%増。

 この期間に、中国は107万台を輸出。くらべて、日本は95万台を輸出している。

 2023-1から2023-3のあいだにロシアへ輸出された、中国製の全種類の車両は、14万台。これは前年同期の3倍だ。

 2022-2以降、トヨタ自動車やフォルクスワーゲンがロシア工場を閉鎖して市場から出て行ったのと入れ替わりに、中共資本の「チェリー自動車」「長城自動車」が、ロシア国内での営業を拡大している。

 中国からロシアへは〔2023-1~3月に?〕、3万台近いトラックが輸出されている。前年同期とくらべて、これは7倍増だ。

 ※露軍がたった3ヵ月のうちにも3万台のトラックを増強している最中なのに、日本からウクライナ軍への寄贈が、これから数ヵ月をかけて「100台」とは、どういうことだ? 外務省は、そのていどの《支援》で役人の体面が保てたつもりでいるのか? 常人の感覚が通じない世界で生きているとしか思えない。

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 ストラテジーペイジの2023-5-21記事。
   北鮮は中共の船会社からまたも中古貨物船(3000トン)を購入した。今年に入って、これは6隻目である。

 2022年にも北鮮は6隻を購入している。
 北鮮ぜんたいでは商船は130隻しかない。いずれも小さな船で、瀬取りに適している。ほとんどが中国製。


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 「mil.in.ua」の2023-5-20記事「The Netherlands will not sell F-16 to a private company」。
    オランダの軍事アナリスト氏によれば、オランダ政府は、年式の古いF-16戦闘機×40機を、「ドラケン・インターナショナル」という、民間飛行訓練会社に売却するこころづもりで、すでに昨年、12機を売ったのであるが、のこり28機(オプション)については、売却は思いとどまるという。

 その機体がウクライナへ渡されるのではないかとの噂が出ている。

 ドラケン社は、米政府と契約を結び、空軍や海軍が演習するときの「仮装敵」を演ずる、OB集団である。

 その28機についてはオランダ国防省は、2024年に解役させると決めていた。2021年の決定である。

 ※日本にも、民間訓練会社をつくろう。場所は、下地島がいい。