「レオパルト2A4」が1両、露軍の野砲の間接射撃によって破壊された。偵察ドローンからの俯瞰撮影。

 雑報によるとロシア軍はSNSに、ザポリッジア戦線で、道路上に密集しているウクライナ軍の機械化部隊に野砲弾を雨下させてそのうち数両を破壊炎上させたと見られる空撮ビデオを公開した。複数両の「レオ2」と複数両の「M2A2ブラドリー」も映っている。

 長年の疑問がついにひとつ解けた。戦車砲用の砲弾を砲塔後部の弾庫内に密閉格納していても、野戦重砲の至近弾の衝撃波で、内部火災が起きるのである。

 ということは、ロシアと中共は、これから開発するATGMやロイタリングミュニションの充填炸薬量を7kg以上にしておくだけで、HEATにもタンデム弾頭にもする必要なく、西側陸軍に対抗できる可能性がある。コストを考えたら、サーモバリック一択かもしれない。
 さらなる実戦場データの蓄積を待とう。

 ※こんかい、「移動する意欲」を欠くネアンデルタール人の軍隊に高性能な西側製戦車を援助してやっても、ひたすらカネと時間の無駄になるばかりだという証拠事例が出たとも言える。
 敵の砲弾が次々落下するシチュエーションで、「レオパルト2」の車長は何のイニシアチブも発揮せず、ボカージュに飛び込むでもなく、隊列中心から数百m離れるでもなく、ただ漫然と上長の指示を待ってフリーズ。そのままむざむざと野砲弾の至近爆発にやられているようだ。
 こうなることはじつは最初から知れていた。レオ2のような高等装備を手間をかけて援助してやるための人的・物的な戦争資源は、他のはるかに有効な使い途にサッサと回されるべきだったのである。それで戦争の趨勢は半年早く切り替わったはずなのである。
 具体的には、全欧から古いバイクを掻き集めて荷車やリアカーやサイドカーと組み合わせ、そこに82ミリ以下の軽迫撃砲、擲弾発射機、130ミリ以下のロケット弾やその簡易発射台、対戦車弾薬や需品を山と積んで無尽蔵に補給してやる。
 もう何の訓練も要らないし、陣地を動きたくなければ動かなくてもいい。
 だいたい西側戦車1両のコストで「歩兵用重火器拠点」が100箇所強化される。それで1km正面の対峙線が敵方へじりじりと動いただろう。それを1000倍するのに、西側の財力をもってすれば、はしたガネで済むのである。EUはガソリンエンジン車両そのものをなくしたがっているのだから、これさいわいと市中のバイクをぜんぶ始末できて、八方得だったろう。

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 ストラテジーペイジの2023-6-8記事。
   これから米海兵隊が太平洋でやろうとしていること。
 LRUSV(長距離無人水上艇、全長40フィート、航続距離2000km)に、ロイタリングミュニションである「Hero-120」をわんさか積載させて中共軍の立て籠もる岸を襲わせる。
 「Hero-120」は、飛翔体の全重量12.5kg、そのうち弾頭重量4.6kg、60分間滞空し、ラーンチャーからの通信可能距離は40km。

 NATO軍は、シリア、イラク、マリ、アフガニスタンで、DJiの「Matrice 200/210」の世話になってきた。

 「DJI 210」は、重さ4.7kg、ペイロード1.45kg(その重量をバッテリーに使ってもいいし、カメラに使ってもいいし、手榴弾や改造擲弾に使ってもいい)。滞空30分。最高時速は60km/時。

 最大8km先からリモコン操縦できるが、いっぱんには5km以内で飛ばしている。

 さかのぼると、DJIのクォッドコプターが中東の戦場でよく目撃されるようになったのは2014年からである。無人偵察機として、正規軍もゲリラ軍もこれを役立てていた。

 DJI製のカメラドローンは2013年から世界の市場で知られていた。「Phantom 2」は2013年末に出ている。新興メーカーながら、いらい、矢継ぎ早に、高性能化した新製品を次々と量販した。

 同社は2015年に新製品の「Phantom 3」をリリースした。売価1000ドル。全重3.9kg、滞空20分、リモコン可能距離2000mであった。高度は500mまで(ただしそこまで上昇する間に電池がなくなってしまうから、ふつうはそこまで行かぬ)。とにかく操縦が容易で、しかも暗視ビデオカメラのオプションが普通に利用できた。
 これがNATO軍に広く受け入れられた。

 「Phantom 4」はビデオが4K画質となり、そのリアルタイム電送距離が5kmに延びた。単価は1500ドルというところ。 

 しかし米陸軍は2017年に、DJI製品の使用を一切、禁じた。

 「Phantom」系列の商品ラインナップは、いまでは、低価格帯の「Mavic」系と、高価格帯の「Matrice」系に分岐して、それぞれ発達を遂げている。

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 Alius Noreika 記者による2023-6-8記事「Australia could provide F/A-18 for Ukraine. Which are actually better than F-16」。
   豪州空軍がこれから退役させる古いF/A-18を40機強、ウクライナ軍に引き渡せるんじゃないかというので、両国ならびに米国の三者間で相談が始まっているという。

 米政府はこの「再輸出」について許可を与えるつもりだという。
 供与には、ロシア領空内へは飛ばさないという条件がつけられるだろうという。

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 Sofiia Syngaivska 記者による2023-6-8記事「Sweden Sells Gripen Fighters to Philippines, But Not to Ukraine」。
    スウェーデンの国防相は、フィリピンの国防相と、シンガポールで会談し、「グリペン」の売り渡しについて、覚書きに署名した。

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 雑報によるとオランダの暇人たちが2023-6月7日、全長54mの自転車を100m以上走らせて、ギネスに登録されたという。

  構造はトラス橋桁の四角柱を横に長くつないだもので、2人が跨乗。最前方の1名が前輪の操向ハンドル担当、最後尾の1名~数名が後輪の足漕ぎチェーン駆動担当らしい。後輪がダブルタイヤになっているので、静止状態でも倒れない。
 過去のニュースを検索すると、2015年11月に、同様構造で全長117フィートの自転車が世界最長認定されているようだ。

 ※このトラス桁の素材が鋼管なのかアルミ管なのかチタン管なのか炭素繊維管なのか、ビデオではよくわからないが、「軍用手押し自転車」の可能性を示す資料としてとても貴重だと思った。このトラス部分に歩兵分隊の大荷物を懸吊させて、みんなで押して行けばいい。このトラス桁は、そのまま「軽徒橋」にもなろうから、工兵部隊の装備にしたっていい。ぶつ切りに分解してトラックで途中まで運べばいいのだ。さらに空想できること。このトラス桁に大きなソーセージ状の空気入りのバッグを沿わせるようにくくりつけたら、そのまま「軽浮橋」になるじゃないか。渡河作戦にも、水害救助にも、使える可能性がある。当然、前輪もファットタイヤにするのだ。もっと研究すべし!

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 David Roza 記者による2023-6-7記事「C-17 Tests Magnetic Navigation System That Works When GPS Doesn’t」。
    先月の11日から15日にかけ、米空軍は、1機のC-17を使って、GPSがまったく使えなくされた環境下で、「方位磁石」と「AI」を駆使して航法する実験を、成功させた。

 磁北と、真北とは異なる。またコンパスが指す磁北の向きは、土地によっても微妙に変わってしまう。さらに飛行機には、磁石に影響するノイズを発する器材が山積みである。しかしAIを使えば、これらのノイズや偏差をキャンセルできる。すると、原始的な方位磁石が、とても使えるコンパスになるというわけだ。