露軍が捕虜にしたウクライナ兵をポケットナイフで「去勢」した事例が複数、確認されている。捕虜交換で判明した。英紙『The Sunday Times』が詳細報道。

 Ashish Dangwal 記者による2023-6-18記事「Running Away, Faking Breakdowns, German Media Says Leopard-2 Tankmen Are Reluctant To Fight Russia」。
   『シュピーゲル』誌の報ずるところによると、ザポリッジア戦区にて宇軍の「レオ2A6」のクルーが、露軍の塹壕線に近づくのを厭がり、「故障」「被弾」を詐称して逃げ回っているという。

 また、戦車で敵の塹壕線を攻撃するときのテクニックとして、立ち木に榴弾を当てると良いという。そのシュラプネルが塹壕内にまんべんなく降り注ぐのだという。

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 Boyko Nikolov 記者による2023-6-18記事「Australian Bushmaster IMV survived a ‘Russian kamikaze’ impact test」。
   豪州からウクライナ軍に寄贈された4×4装甲車の「ブッシュマスター」に露軍の自爆型UAVがヒットしたが、乗員は無傷で済み、このAPCの性能が証明された。

 証拠写真は「テレグラム」にUpされた。
 側面の低い部位に命中して爆発したようだ。

 ちなみにオーストラリア軍はこの車両をAPCとは呼ばず、IMV=歩兵移動用車両 と称している。装甲を強調しないわけである。

 「ブッシュマスター」には10人が乗れる(車長とドライバーを含めて)。
 後続距離は800km。最高時速100km/時なので高速道路も不都合なく利用できる。

 ※要人輸送用にこのAPC(輸送防護車)を選んだ防衛省内の人は、誰だか知らないが、威張って可い。そして今気付いたのだが、この14.5トンという重さは、小松の8輪の「96式装輪装甲車」と同じなのな。おそらくC-130での空輸ができるように考えて。それでエンジンを調べたら、ブッシュマスターが300馬力で、96式は360馬力ですよ。これは何を意味するか? おそらくブッシュマスターの方が96式よりも装甲重量に多くを配分できている。窓ガラスが爆圧で外れるという弱点は、今回の写真でハッキリしたけれども、弾片の貫通を防ぐという機能では、96式よりも頼りにできるのかもしれない。96式は日本の山坂での不整地走破力を重視して、エンジンは重く、アクスルも4軸とした分、装甲はペラペラになっているとも想像が可能である。その装甲をもっと強化しろと防衛省から迫られ、小松は「できるわけねえだろ」と逆ギレしたのか。小松が装甲車事業から撤収してしまった経緯は、そういうことか?

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 Boyko Nikolov 記者による2023-6-17記事「US attack sub that shipwrecked off China cannot enter for repairs」。
    南シナ海で海底の山に衝突してしまった米SSNの『コネチカット』。たった3隻しかない『シーウルフ』級の1隻だ。
 しかし、なんと修理は2026年までできないそうである。ひとつには、修理コストが8000万ドルと見積もられ、そのカネをおいそれと得られないためだが、根底には、造船所が人手不足。

 『コネチカット』を修理する予定なのは、ワシントン州の海軍工廠の修船ドック。ほんらいなら今年2月に工事がスタートするはずのところ、スケジュールが遅れている。これはすべての米海軍艦艇が今、直面させられている大問題である。「レディネス」が全般に悪化している。

 ※それで日本の民間造船所を第七艦隊がフル活用しろという話が出てきている。やればいいじゃん。

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 2007-8-22記事「ScanEagle ―― Mini-UAV (Unmanned Aerial Vehicle)」。
  ※古い記事です。

 偵察用UAVの「スキャンイーグル」は、艦船上から運用することもできるし、2006年時点で早くも、C-130やオスプレイから空中発射することが研究されている。これは、エンジンがガソリンでないから、可能なのである。スキャンイーグルのピストンエンジンは「JP5」という、米海軍機用の最も火災を起こしにくい灯油系のジェット燃料を使用する。

 スキャンイーグルのエンジンは内燃機関である。出力は0.97kW。機体内には燃料は4.3kg、搭載する。
 2002年の開発当初はガソリンエンジンであった。しかし2007年には燃料が「JP5」に切り替えられた。※これはインジェクションの電子制御技術が普及してきたおかげ。

 ガソリン燃料でスキャンイーグルは連続22時間飛ぶことができる。しかし2007年にはJP5で28時間44分滞空してみせた。

 ※米海軍は、艦艇と艦艇の間でスペアパーツを輸送してくれる無人機を公募しているが、そのエンジンもとうぜんに、JP5を燃料とするものでなくてはならない。今日の米海軍は、ガソリン燃料が艦内に置かれることを拒絶する。その理由はWWII中の幾多の被弾火災を想起すれば当然なのである。したがって、わが国のメーカーが新無人兵器を開発する場合、そのエンジンがガソリン燃料であったなら、それは米軍にはさいしょから採用されるわけがないことはもちろん、米海軍の艦艇や輸送機で運んでもらうこともできないということを意味してしまうのである。

 ※4月に並木書房から刊行された『武装商船「報国丸」の生涯』(森永孝昭氏著)は、読みでのあるおそろしい労作で、改めて学べることに満ちている。戦後78年を閲し、わが国の兵器メーカーは、実戦の被弾損害を暗黙知としてもちあわせなくなった。そこは是非、戦後日本人の開発関係者としては、先の大戦の経験をデータ化することで、埋め合わせるしかないんだという自覚をもつべきなのだが、遺憾千万にも、その自覚が希薄なのである。もしその自覚があるなら、被弾すれば悲惨な結果になるのは必定の《欠陥兵器》がず~っと改修もされないで、用途廃止の日が来るまで放置されるなんてこともあり得ないのである。いったん「正式の制式」と決めてしまった「仕様」を後から修正できないという文化的な病気がわが国の風土病としてあるのならば、なおさら、「正式の制式」を決めてしまう前に、「先の大戦の経験データ」を「悪魔の論駁人」とする想像力が発揮されなくてはならない。1万439トンもあった優秀な武装商船(特設巡洋艦)の『報国丸』は、6341トンの空荷のタンカー『オンディナ』号を拿捕しようとして不用意に近づきすぎ、敵船の船尾に1門だけあった10.2センチ砲を1発喰らった。それで搭載の零式水偵のガソリンが火を発した。その水偵の搭載爆弾と中層甲板貯蔵の魚雷(味方潜水艦に補給する予定のもの)が火災の熱で相次いで誘爆。『報国丸』はインド洋で沈没した。これが、世界の水兵がガソリンを嫌う理由である。昔と違って、インジェクション方式とすればピストンエンジンを回すのにもJP5やJP8が使えるようになっているのに、今日の艦艇内に、わざわざガソリン発動機を置きたがる海軍は、どこにもない。

 ※昨日の八雲の5人死亡事故。意外だったのは、すぐ隣を高速道路が通っているのに、札幌からのバスがわざわざ下の国道を走っていたことだった。ネット情報によると、八雲ICから下の道に下りて函館までずっと国道5号線を来るらしい。これは運転士にはたいへんなストレスだ。八雲や森町で下車する利用客もいるために、そうするのだろう。だがもし私がバス運行会社の経営者なら、安全第一に運転士の心身疲労のことを考えて、むしろ長万部ICで下みちに降りるようにさせる。そこから八雲までは国道5号線をゆるゆると南下させ(広い直線道路で、景観に開放感があり、渋滞は無く、運転ストレスがとても低い)、八雲ICから再び高速へ乗せるのだ。悪いが、森町に用のある乗客は八雲で路線バスに乗り換えてもらう(八雲ICのバス停は観光施設内にあり、待っていて退屈しない)。都市間バスの運転士にとっては、長万部~八雲の地上区間が、走りながらの気分転換タイムとなるはずだ。そして都市間バスは、八雲からは高速道路終端の大沼公園ICまで、高速道路をノンストップでスイスイと走るべきである。なぜそうするのが良いか。国道5号の野田生から函館市街手前までの区間は、カーブの狭い山道や、渋滞しがちな海岸道が連続し、ひるまの乗客は面白いだろうけれども、操縦者はどうにも精神的に楽じゃないのである。おまけに札幌方面から走り続けてくれば、身体疲労もそこらへんでピークに達してしまう。今回の事故は、バス運転士の疲労とは無関係と考えられるものの、会社の経営者は、もはやそこは無視すべきではないと信ずる。もうひとつ、こんかい再確認できる大事なこと。激しい衝突事故であったにもかかわらず、燃料の火災は起きなかった。バスもトラックもディーゼルエンジンであったおかげで、さらに悲惨な事態に発展することが、抑制されているのです。



武装商船「報国丸」の生涯