《火だるま特攻戦車》登場! 雑報によると露軍がT-55の内部に爆薬を詰め込んで無人で宇軍部隊めがけて走らせてきたが、途中で発火し、四散した。場所はドネツク州マリンカ市近郊。

 それをやるなら、廃タイヤに爆薬を充填して転がした方が、よっぽど気が利いている。

 ……そう思いつつネットを眺めていたら、「One Wheel Scooter」というジャンルの電動モーター駆動の商品が、すでに複数、発売されていることを知った。あるウクライナ兵が、野原でその商品(MonoRover?)に両足をかけて自走しながら自動小銃を発射するおふざけ動画をSNSに上げている。

 そこで、その類似商品のラインナップを調べてみて、わたしはこう断言できるようになった。おそらく今年じゅうに、「自爆攻撃型・無人1輪車」が、ウクライナ戦線に現れるであろう。

 すなわち、「地面を転がる対戦車兵器」が、デビューするはずだ。

 敵の塹壕線の方位と距離が分かっているのなら、暗夜にこの「1輪車爆弾」を転がしてやればいい。電池モーターを動力に、時速14マイルで、距離15マイル走る商品もあるようだから、専用の兵器として改造するなら、人体と同じ重さの爆薬を、数km先の塹壕に突入させて轟爆させることぐらい、たやすいだろう。

 いったん、基礎モデルが活躍を始めれば、そこから、進化の枝分かれも始まる。じきに、「鉄道レール上を自立的に転がるタイヤ爆弾」が創られるはずだ。タイヤの接地断面は、逆「凹」字状(=逆M字状)になるだろう。レールの上は抵抗がすくない上、勾配もない土地柄だから、軽量のバッテリー電源でも、数十kmも転がって行くはずだ。これで露軍の後方補給を常続的に悩ませてやることが可能になる。挺進隊が奥地まで潜入するには及ばない。最寄の鉄道線路からこいつをスタートさせてやれば、あとは1輪車が仕事を引き受ける。何かに衝突するまで、ひたすら東に向かって走り続け、電池が切れて回転が止まったら、あるいはプリセットされた回転回数カウントに達したところで、自爆してレールを破断する。炸薬量が60kgもあるなら、起爆前に横倒しにしなくとも十分だ。

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 TOC 記者による2023-6-19記事「Ukraine will not get Merkava tanks, but Cyprus and Morocco will」。
   消息筋によるとイスラエルの中古のメルカーヴァー(2型と3型)が売られる先は、キプロスとモロッコだという。
 どちらの国も、その保有していたロシア製戦車(キプロスはT-80U、モロッコはT-72B)をウクライナへ寄贈している。その穴埋めとして、イスラエルがメルカバを供給するのだという。

 なおモロッコは、T-72をウクライナに送っていない、と公式には否定をしている。第三国を経由して届けられた模様である。

 イスラエルはキプロスとモロッコに対して、自由な「再輸出」は認めない。だから、このメルカバがウクライナへ行くことはないであろう。

 ※ルーモアでは、ポーランドじゃないかともいわれていた。しかしさすがにそれはありえなかった。ポーランド人はロシアを打倒するためなら何でもやる気満々である。ポーランドが買った兵器は、何だろうとそこから堂々とウクライナへ渡される可能性があるわけだ。わたしはアゼルバイジャンじゃないかと思ったが、陸送ルートがなく、空輸するには重すぎてダメなのだろうね。なお『サンデー・タイムズ』紙によれば、ポーランド国内では今、ベラルーシ人の叛乱部隊を訓練中であるという。そりゃ、核で脅されたら、そのくらいやり返すよね。

 ※RPGで近距離から、こっちのERA付きの戦車を正面から狙われると、どうなるのか? 砲塔上に固定されたカメラからのビデオ映像がSNSにUpされた。最初の1発はタンデムのRPGで、みごとに外れた。次の1発はタンデム弾頭かどうかが不明だが、別な露兵が塹壕から放ち、こっちの砲塔にヒット。ところがERAでHEATが打ち消され、乗員は無傷だったという。興味深いのは最初の1発はどうして大きく外れたかだが、分からない。ひとつ理解したのは、タンデムのRPG弾はどうしても加速が遅い。飛んでくるのがありありと見えるんだから。ロケットではなく無反動砲方式であるカールグスタフやAT-4がよく当たる理由も想像できた。

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 Phoebe Grinter 記者による2023-4-3記事「Northwest UAV Engine Powers Cargo Drone at US Navy Bluewater Competition」。
   軍艦から、超水平線距離にある岸へ。あるいは岸から軍艦へ。小荷物を届けてくれる、スカイウェイ社の「V2.6」という輸送用無人機のための内燃エンジンを、「ノースウェストUAV」社が開発し、それを米海軍の目の前で、うまく展示飛行させることに成功した。場所はメリーランド州のパックス川河口。

 このエンジンの品番は「NW-88」という。

 海軍はこの用途に使う無人機に厳密な信頼性を要求している。またエンジンの燃料も、ヘヴィフュール(灯油系ジェット燃料)の「JP5」でなくてはいけない。

 NW-88エンジンは、「リモート・スタート」が可能だ。また、改良された発電機も付属していて、無人機の蓄電池に充電できる。

 垂直離着陸時には電動でマルチローターを回さねばならず、そのためにはバッテリーが必要だ。このバッテリーは、水平飛行に遷移して機速が安定したところで、飛行中に充電される。だから、着陸した先でバッテリーを交換する必要はない。もちろんバッテリー・パックなので、交換しようと思えば、それもすぐにできる。

 NW-88も、その姉妹製品のNW-44、NW-230も、米国内でサプライチェーンが完結しているので、国防総省の規則(=中国政府から干渉され得ないこと)を満たしている。

 NW-88エンジンは、総重量75ポンドから150ポンドまでの大きさの固定翼機の動力として、応用性がある。

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 上述のメーカーのHPより。「NWUAV Commercial UAV Engines: NW-44, NW-88 & NW-230」。
  ノースウェストUAV社のエンジンは、小型の低空用の無人機に、効率的な動力と電力を提供します。

 「NW-44」は、単気筒でマルチ・フューエル。
 全重18kgから34kgのクラスの無人機用として適しています。

 「NW-88」は2気筒で、マルチ・フューエルです。
 全重34kgから68kgのクラスの無人機用として適しています。

 「MW-230」は2気筒で、ヘヴィ・フューエル専用です。

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 2018年〔?〕の別メーカーのHP。
  「UMS・スケルダー社」は、「サーブ社」と「UMSアエログループ」のJVで、欧州にあり、回転翼の無人機を広く供給します。

 かつては艦載の無人機は固定翼に限られたものでしたが、発進と回収のための設備が最小限で済む回転翼無人機の技術が向上してきました。「UMSスケルダー社」は、軍艦用に回転翼機無人機を提案しています。

 この場合、絶対条件とされるのは、使用する燃料が「ヘヴィ・フューエル」でなくてはならないことです。
 今日、いかなる軍艦も、爆発性燃料であるガソリンを艦内に搭載することは認めないからです。

 NATO諸国の各軍は「JP8」を主軸とした「単一燃料ポリシー」に従っています。

 ドイツのベニンゲンにある「Hirthエンジンズ」社は、2ストローク・エンジンでは60年の経験があり、また無人機用エンジンに参入してから30年以上の実績があります。

 「Hirthエンジンズ」社は、ヘヴィ・フューエルを燃焼させる無人機用エンジンとして「35シリーズ」をもっています。

 品番「35HF」は、2ストローク・エンジンとして「出力/重量」比が卓越しています。

 このエンジンが、「UMS スケルダー」社の主力製品である「V-200」に搭載されています。
 げんざい、ヘヴィ・フューエルを燃料として、滞空5時間可能な回転翼無人機は、「V-200」だけです。

 「35HF」は、燃料として、「JP5」と「JP8」(NATOでは「F-34」と称する)のどちらも使えます。

 極寒の艦上でも、このエンジンの始動にヒーターは必要ありません。

 2ストロークであることが、メンテナンスを簡略にしています。4サイクルエンジンや、ヴァンケルエンジン(ロータリーエンジン)では、もっと頻繁な整備が必要になってしまうでしょう。

 「スケルダー V-200」は、ドイツ海軍、カナダ海軍、ベルギー海軍、オランダ海軍からの注文をうけています。

 「スケルダー V-150」は、最近、「Hirthタービンエンジン」を搭載して試験飛行に成功しました。燃料はとうぜんヘヴィ・フューエルです。

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 Orbital UAV 社のHP。「Innovative Heavy Fuel Engines for UAVs」。
   オービタルUAV社は豪州のパースにある。米国支社はオレゴン州にある。

 同社のエンジンは、「空気アシスト・フレックス直接インジェクション」の技術を使っているので、ヘヴィ・フューエルに対応できる。そのおかげで、2ストローク・エンジンであれ、4ストローク・エンジンであれ、燃費を節約できる。ガソリン燃料にもそれで対応できる。また、スパーク点火式のディーゼルエンジンにも、この技術は使える。

 製品には、4.5馬力のもの、10馬力のもの、25馬力のものがある。

 シリンダーは、単気筒のものと、水平対向2気筒のものがある。後者は2ストロークで空冷。

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 Alina Dumitrache 記者による2010-8-12記事「HDT Military Motorcycle Runs on 7 Types of Fuel」。
  ※古い記事です。

   HDTは、Hayeswディヴァーシファイド・テクノロジーズ社の略。このたびJP8燃料で走る軍用バイク「M1030-M2」を完成した。排気量670cc.。今回のモデルは同社として第四世代のヘヴィフュールバイクになる。

 JP8だけでなく、JP5、JP4、軽油でも走る。

 33馬力。最高速度152km/時。
 米陸軍は、軍用オートバイに、静止状態から3.3秒にして時速30マイル(=53km/h)に達し得ることを求めている。それはクリアしている。

 2004年に同社は米海兵隊のためにJP8で走る「M1030-M1」を完成している。
  ※ウィキによると海兵隊は440台を発注した。
  ※ウィキによるとそれ以前の量産ディーゼルバイクはインドのロイヤルエンフィールド社のものが80年代にあっただけ。それは大気汚染防止法により販売中止。

 ※どうもよくわからない。電子制御のピエゾの直噴式とすれば、4サイクルのピストン・エンジンをJP8で走らせることが、今日では可能であるはず。ならばどうして大手のバイクメーカーがそれを米軍に提案しないのか? 排気ガス規制をクリアできないから?

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 Justin Scheck and Lara Jakes 記者による2023-6-19記事「In Rush to Arm Ukraine, Weapons Are Bought but Not Delivered, or Too Broken to Use」。
   案の定というか、外国からウクライナに搬入された大量の装備品の中には、まったく使い物にならない状態のものがある。ボロボロの状態で、カニバリズム整備の部品取りの役にしか立たないようなものが。

 また、ウクライナ政府が何百万ドルも代金を先払いしているのに、いまだに納品されない新品兵器もあるという。

 2022年の末時点で、ウクライナ政府は、外国へ8億ドルの軍需品の代金を払い込んでいる。

 宇軍のもっているすべての兵器のうち常に30%は、修理中の状態にあるという。

 特にひどい状態として印象されたのが、イタリア政府から寄贈された33両の自走砲。たとえばエンジンの冷却系統がボロボロ。あちこちを整備しないうちは、使いようがない。

 しかしイタリアの国防省にいわせると、もう何年も前に退役させた兵器なのだから、それは当然である。そしてウクライナ政府は、そういう状態でもいいから是非ともくれ、と求めてきたのだ。修理はじぶんたちでするから、と。ならば文句を言うな。

 ウクライナ政府の文書によると、同国はこの33両のSPの整備を、アメリカのタンパ市にある「ウルトラ・ディフェンス・コーポレーション」という胡散臭い兵器ディーラーに外注したと分かる。料金として1980万ドルを支払った。そして2023年1月に、そのうち13両がウクライナに戻ってきたが、その状態は「戦闘には使えないレベル」であった。騙されたのだ。

 会社にいわせると整備は完全にやり遂げているので、冷却系統が壊れた原因はウクライナ側にあり、不可思議だ、ということだ。

 どうやら他にも、無知なウクライナ国防省が、米国内の独立系ブローカーにマンマと騙されて、質の悪い整備を高額で外注しているケースがあるようだ。

 こんな事例もあった。昨年夏、クウェート基地に駐留する米陸軍の某部隊が「デポに保管されている29台のHMMWVを、対ウクライナ供与用として差し出せ」と国防総省から命令された。その部隊の長はそれに先立ち、29台のコンディションは1台を除いては良好です、と報告していたので。ところが実際には、29台のうち26台はガタガタで、とても前線に出せるような状態ではなかったのである。

 8月後半、これらHMMWVの修理を受注した〔クウェート基地の近くの?〕会社が、トランスミッションを直し、死んだバッテリーを交換し、オイル漏れを直し、壊れているライトを交換し、ドアの取っ手とシートベルトを新しくし、29台はウクライナへ送れますぜ、と報告した。それを現地の米陸軍部隊長も確認した。

 然るに、このHMMWVがポーランドの中継拠点まで到着したところ、酷い修理の実態がバレた。タイヤの25%は腐朽していた。そのタイヤの更新のためだけに、1ヵ月近くが必要であった。このくだらない作業のために他の装備品をウクライナへ届けるための人手が足りなくなり、それだけ支援が遅れてしまうことになった。

 このクウェート駐留の札付き怠慢部隊は、6門のM777榴弾砲も、ウクライナに送れと命じられた。それは2022年3月だったが、同部隊では、定期整備をそれまで19ヵ月間も実施していなかったために、あらためて本格整備をしないうちは、送れない状態であることがわかった。1門の榴弾砲は、もしそれを発射しようとすれば、砲側に死人が出るだろうというコンディションであった。

 それから3ヵ月かけて6門は整備され、ポーランドの中継基地まで届けられたのだが、そこで点検してみると、6門ともに、まだ実戦に使える状態になっていなかった。またしてもポーランド内において、余計な修理の手間が必要だったという。

 英国がウクライナに供与した「AS-90」自走砲の場合は、正直に最初から、その何割かは「部品取り」用だとしていた。カニバリズム整備を、ポーランドかウクライナでしてくれ、というわけだ。

 ※SNSにすごい動画が出ている。M2ブラドリーのナイトビジョンをそのままビデオ撮影している。TOWをたてつづけに2発、遠くの林縁の敵車両に向けて放ち、2発とも当たっている感じ。向こうからの射ち返しはない。というか、暗視装置の性能差で、こっちを見えてはいないのだろう。

 ※雑報に写真が出ているのだが、露軍も、サイドカーにATGM(コルネット)を搭載した改造兵器を戦場に送り出している。わたしゃあまり詳しくないが、このオートバイはエンジンが水平対向の空冷2気筒のように見え、しかもシャフトドライブのように見えるから、古い(2サイクル時代の)BMWかそのパクリモンだろう。緊急援助するなら、こういうものでいいんだよ! 自動二輪車の運転は素人がいきなりできるものではないだろうが、サイドカーに仕立ててやれば、とりあえず「転ばない」で、狭い道だろうと走れるわけである。スタックしたって、二、三人がかりで押せば脱出できる。中古のバイクなんて欧州にゴマンとあるだろう? あとは現地人でなんとかしますよ。

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 2023-6-19記事「Caracal 4×4 Light Air Assault Vehicle Chosen by Dutch and German Airborne Forces」。
   ラインメタル社の空挺投下できる4×4オフロードビークル「カラカル」を、オランダ陸軍が504台、ドイツ陸軍が1000台、発注するという。
 開発にはメルセデスベンツ社も協働した。

 オランダ軍がテスト用に最初の1台を受領するのは2024年になる予定。そして2025年から、毎年100台くらいが、納品される。
 ドイツ陸軍に対しては、毎年200台のペースで納品されるという。

 エンジンは6気筒の249馬力。
  ※ピストンエンジンは6気筒にすると理論上、振動を最小化できる。アーマーが皆無なので、せめてステルス性で生残させようという考えか。

 車体平面積は4.35m×1.81mとコンパクトである。
 超堤能力は段差33センチまで。超壕能力はギャップ50センチまで。

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 ストラテジーペイジの2023-6-19記事。
   後部ランプがない輸送機(たとえばKC-135は空中給油機ながら、37トンの荷物も搭載できる)の側面ドアから荷物を卸下したり搭載するためには、「K-ローダー」とよばれる特別なフォークリフトが、飛行場になくてはならない。

 普通のフォークリフトよりも、フレキシブルにカーゴ・パレットを荷役できる機械である。最大12トンのパレットを持ち上げられる。

 だがすべての飛行場に「K-ローダー」があるとは限らない。
 そこで米空軍は、PATR(梱包&輸送リローダー)なる、機内補助クレーンを開発した。これを側面のカーゴドアのすぐ脇に装置しておくのだ。