セントコムの発表によると、シリアで対ISの任務飛行中の「MQ-9 リーパー」×3機に対して露軍の有人戦闘機が、パラシュート付きフレアを前路にばら撒くというイヤガラセを展開中。

 Kurt Robson 記者による2023-7-5記事「Ukraine looking for cheaper ways to destroy Russian ‘suicide’ drones」。
   ウクライナは2023-5月に、300機の「シャヘド」による自爆空襲を受けた。

 「シャヘド」無人機は1機が5万ドルらしい。それに対して、西側が援助してくれたSAMは、1発が100万ドルする。とうてい、釣り合わない――と、ウクライナの副首相のミハイロ・フェドロフ。

 彼いわく。「シャヘド」対策専用の、安価な手段を開発しなければならない。

 それで先月、ウクライナ政府は、300万ドルの資金を用意して、3つのチームを呼び、対策を諮問したという。

 そのうちの1チームからの答申。他のドローンより速く飛行でき、かつ航続距離も長い「クォッドコプター」を使うのがいいだろう、と。

 それは垂直に発進して、「シャヘド」を空中で撃墜、もしくは、ECMで飛行妨害するのだという。

 ※ウクライナ政府は良いアドバイザーにめぐまれているとは言えないね。そもそも戦車にこだわって乾季まで攻勢を待ったという時点で「前線の鼻」が利かなすぎる。

 ※ゼレンスキーは、「反攻」が遅々としているのは西側がF-16を早くくれなかったからだ――などと、またしても責任転嫁にいそがしい。この素人司令官が西側戦車にこだわったのが大間違いの大元なのだという反省は、ぜんぜんしてなさそうだ。

 次。
 Defense Express の2023-7-6記事「How Many Shahed Type kamikaze Drones Did the russians Launch over Ukraine in 10 Months」。
   宇軍大本営の作戦次長が公表。ロシアはかれこれイランから1800機近く「シャヘド」型の無人特攻機を受領したと。
 そしてすでに1600機以上を使用した。

 西側ではこの「シャヘド」のことを、そのエンジン音から「空飛ぶモペッド」とあだ名している。

 ※「シャヘド136」が搭載するイラン製エンジンのMD-550は、ドイツのリムバッハ・フリューグモトレン社製L550EFのコピーで、2ストローク、4気筒、548cc.、水平対向、空冷。10馬力から55馬力を出す筈。90オクタン・ガソリンにエンジンオイルを混ぜたものを燃やす。エンジンオイルは、燃料50に対して1の量で混ぜておく。今日、市販のバイク用に2サイクル・エンジンは用いられない。排ガスが良くないのは明白だし燃費も悪い。しかし使い捨ての自爆無人機用としては、これほどシンプルで高出力が期待できて安価なエンジン形式もないだろう。

 イランはロシアのために「シャヘド136」の製造工場も建ててやる。場所は、タタールスタン州のアラブガ工業特別区。ウクライナ国境からは1000km離れている。

 投入される資金は15億ドルになるだろう。

 次。
 Defense Express の2023-7-6記事「What Happens to a russian T-90M After Being Hit With SMArt 155-type Guided Projectile」。
     155ミリ榴弾砲から発射されると、小翼を使って滞空時間を延ばしつつ敵陣上空へ至り、子弾を2個、放つ。おのおのの子弾はパラシュートで沈降しながら、敵戦車を赤外線で捜索しミリ波レーダーで標定。敵戦車の頭上100m前後で炸裂するや、熔融金属弾が砲塔天板に撃ち込まれる……。

 そのような複雑な仕組みのスマート砲弾である「BONUS」弾が、実戦場で、1両のT-90の砲塔天板、中央よりやや後ろ寄りを、ものの見事に穿貫したシーンが、初めて空撮された。T-90Mはボカージュラインの切れ目に潜んでいた。

 ウクライナ軍の第47機械化旅団による、最新戦果。
 金属熔融塊の速度は秒速5000mなので、分厚い装甲鈑だろうと貫徹できる。

 ※敵も負けてはいない。スウェーデンがウクライナ軍に寄贈した高性能IFVである「CV90」――主火器は40ミリ機関砲で全重28トン――が、ボカージュ中に隠れていたのに露軍の無人機からは丸見えで、おそらく小型のHEAT弾で車体上面をやられて、内部で火災が起きたように見えるビデオが、露側からSNSに上げられている。この「CV90」は車体に対空偽装をいっさいしていないのが、動画からよくわかる。いくら高額な最新兵器をあてがわれても、対空遮蔽のような基本の基本も励行できないような低教養の分隊は、人よりも先に殺されておしまいだ。

 ※せっかく40㎜のボフォースを搭載するなら、これからは、歩兵のお客さんなどは乗せず、対ドローン用の対空車両としてまとめるのが、時代の要請に合っていると思う。スウェーデン人は、言われなくとも、もうそこに気が付いているだろう。