ロシアは、戦時には70歳まで、事実上の一般市民徴兵ができるようにする。

 ゴム印国会が、そういう新法を可決する見通し。

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 退役米海軍大佐 Talbot Manvel 記者による『プロシーディングズ』2023-7記事「The Lightning Carrier Isn’t Either」。
    『アメリカ』級の強襲揚陸艦が完成してからこのかた、これこそ「軽空母」だ、と評価する向きが多い。

 寸法的には同じくらいの、WWII中の『エセックス』級の空母『フランクリン(CV-13)』は、爆弾の命中にも生き残ったじゃないか。それに2003年のイラク戡定作戦に参加した『バターン(LHD-5)』は「ハリアー空母」といっていいことを証明したじゃないか……というわけだ。

 事実を指摘しよう。

 米海軍の艦艇には「生残性レベル」というものが指定されている。それにもとづいてキッチリと設計され、施工されているのだ。
 空母は「レベル3」だが、強襲揚陸艦は「レベル2」。したがって、同じ打撃を受けたとき、強襲揚陸艦の方が、ピンチに陥り易いことは、まちがいないのだ。

 揚陸作戦のさなか、艦内に多数の「防火仕切り」「防水仕切り」があったら、海兵隊員も、各種車両も、また大量に揚陸せねばならない需品も、艦内で素早く動かすことができない。だから、「レベル2」の強襲揚陸艦の中は、通路もひろびろとして移動しやすくされている。
 そのかわり、敵から1発くらったときのダメージや火災の燃え広がりは、多少は許容するしかない。設計の当初から、そこは妥協がされているわけである。

 すなわち、今の『アメリカ』級のLHAと、WWII中の古い空母『エセックス』級に、同じミサイル被弾があったとして、今の『アメリカ』級は、昔の『エセックス』級のようには、もちこたえることはできんのである。排水量が同じでも、撃たれ強さには懸隔があるのだ。

 1945-3-19、空母『フランクリン』は九州南方沖で航空爆弾を2発喰らい、それはハンガー内で爆発した。
 爆発威力は大したことがなかったが、ガソリン火災が激しくなり、艦内搭載爆弾、ロケット弾が誘爆し、消火するための大量の海水による自損も加わった。火災は10時間、消せなかった。煙と炎熱のため機関員は避退。そのため動力もダウンした。しかしその後なんとか自航して3月20日には「Ulithi」(ウルシー環礁)まで戻り、そこから東海岸の海軍工廠まで帰った。

 当時の戦闘詳報にコメントが付けられている。艦の設計がすばらしかった。格納甲板の防火間仕切りと、装甲鈑の囲みのおかげで、助かったのである――と。

 『エセックス』級の格納庫は防火カーテンで三分割することができた。また格納庫の床は三分の二インチ厚の特殊鋼で、この防弾甲板のおかげで下層の居住区にはダメージが及ばなかったのである。※これは言い過ぎで、爆弾被害は下まで及んだようだ。

 すぐ下のデッキにはダメコン資材が格納されていて、ダメコン要員(消火班)もそこに配置されていた。そこが無事だった。

 エセックス級の水線下の舷側は、耐魚雷設計になっていた。外舷燃料槽も、魚雷からバイタルパーツを守るバルジの役割を受け持たされいてた。

 もちろん船体は横断隔壁でいくつにも区切られている。艦の中心部では縦通隔壁も舷側に沿って4枚あり、横断隔壁との間は熔接されていた。

 熔接隔壁は、爆圧でへこむことはあっても、千切れにくかった。

 『アメリカ』級は4万5000トンである。1980年の海軍水上コマンドの研究によれば、平穏な地中海を除いた四大洋において、特定の場所の特定の時刻に、海象が荒れているせいで4万5000トンの空母から飛行機を発着させることができないという確率は、55%ある。言い換えると、今日では、4万5000トンの空母は、荒海を相手とするのには、軽すぎる。

 南シナ海のある海域では、6万5000トンの空母であっても、飛行機を任意の時刻に運用できる確率は54%にしかならない。

 では2003イラク沖での『バターン』の活躍は?
 忘れてもらっちゃ困る。あのときは、正規空母が近くに3杯もいて、そこから早期警戒機やSEADやCAP機がわんわんと飛んでいたのだ。『バターン』はその庇護の下で安全であったに過ぎぬ。

 『アメリカ』級は格納甲板の床が防弾鈑ではないから、上下どっちかで火災が起きれば、それが全艦に拡がるおそれが高い。

 また『アメリカ』級は、弾庫の容量が小さすぎる。もともと、6機のハリアーが1週間、上陸地を爆撃できるだけの爆弾しか収められない。それは『マキン・アイランド(LHD-8)』の基準を引き継いでいるからである。

 それに対して『ニミッツ』級の『ジェラルド・フォード』だと、60機の戦闘攻撃機が2週間空爆を反復できるだけの弾庫がそなわっている。容量にして60倍なのだ。

 弾庫が足らなければ他のデッキに爆弾を置いたり、「垂直補給」(ホバークラフトで補給艦から次々に燃弾を送り込んでそれをF-35Bにもたせて発艦させ続ける)させればいいじゃないかというのは、バッド・アイディアだ。
 思い出そう。垂直補給が自在にできる構造であるということは、ダメコンは皆無に等しいということなのだ。それを最前線に出すのか? 中共軍を相手に? 荒れる南支那海で?

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 Joseph Trevithick 記者による2023-7-14記事「Taiwan’s Retired Hawk SAMs Headed To Ukraine」
   台湾軍がもうじき退役させる「ホーク」SAMを米国が買い戻し、それをウクライナへ供与するという。

 台湾紙が報じた。

 ※それができるのならばM60戦車もぜんぶ買い戻したらどうか。

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 Joyce Lee and Olena Harmash 記者による2023-7-15記事「South Korea’s Yoon pledges more military supplies, aid to Ukraine」。
   韓国は、追加の対宇支援として、1億5000万ドルを用立てる。

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 Adam Swierkowski 記者による2023-7-13記事「Kryl Howitzer Cancelled. What About Dana in Poland? 」。

   ポーランドは国産のDana自走砲(152㎜)のアップグレード開発計画を諦めた。

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 Andrew White 記者による2023-7-14記事「UK official sees ‘unique’ partnership chances for next-gen fighter」。
   英国防省内の未来戦闘機担当部長いわく。
 英伊日のGCAP計画に、豪州および他の太平洋国家が加わる潜在的な可能性はある。

 また、米国がF-35の後継にしようと開発中のNGADや、仏独西合同計画のSCAFと、部分的な協力をすることもありだと。というのは、GCAPを運用するときは、米軍機や欧州の戦闘機ともインターオペラティヴでないと困るから。

 GCAPは2035年に戦列化させるつもり。それはSCAFに5年先行する予定である。