薬室に入って いる/いない、の「二分の一」だったのか?
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Defense Express の2023-7-16記事「Switchblade 300 in the Ukrainian Warfare: Why This Weapon is Not Against Entrenched Infantry But for Other Important Targets」。
「NIP Tysk」というメディアが、宇軍の「スイッチブレード300」のオペレーターにインタビューして、相当のディテールを聞きだした。それを要約した記事。
この自爆機が内臓している爆発物は、小銃の銃身下にとりつけて発射する30ミリ擲弾と同程度の威力しかない。ただし、信管が特別製で、近接信管なのである。それも、オペレーターが、作動距離を選択することができるのだ。
次に大事な事実。「スイッチブレード300」は、本体があまりに小型であるため、自前のカメラは低性能な解像度しかない。したがって、攻撃する標的は、あらかじめ、他の偵察専用UAV等によって、発見され確認され触接されている必要がある。「スイッチブレード300」がみずから捜索・探知するような用法は、たんに高額機材の無駄遣いにおわる。
「スイッチブレード300」にはアジャイリティがない。急旋回や急上昇させるような操縦はできない機体なのだ。したがって、動いている標的をこいつで狙うのは愚策である。止まっている目標を攻撃する専用品だと思うべし。
この高額なロイタリングミュニションをぶつける価値があり、しかも静止している目標とは、どんなものが該当するのか。
敵がタワー上などに据えつけてている監視機材(光学式や電子式の)。敵の野戦通信所の枢要設備。敵軍のレーダー。爆殺する価値があると考えられる高級将官や、部隊指揮官だ。
逆に、最悪の無駄遣いと言っていいのは、「スイッチブレード300」を敵の塹壕内に突っ込ませて敵歩兵に破片を浴びせてやろうと試みること。このような無駄遣いの証拠ビデオが多数、SNSに上がっているが、すべて、質の低いウクライナ部隊による。その馬鹿どもには本来、「スイッチブレード300」など持たせてやってはいけなかったのだが、供給される兵器が多くて、それを扱うにふさわしい質の高い兵員が少ないという需給のミスマッチが解消され得ない現況では、このようなムダもどうしても生じてしまうのである。
「スイッチブレード300」で敵のUAVに空中戦を挑もうという思いつきは、忘れろ。そんなチャンスはほとんどないし、もし偶然に空中で会敵できたとしても、その相手は、すこぶる値段の安いオモチャだ。
露軍は「ランセットでTB2を撃墜できる」と吹かしているが、相手にする必要はない。ロシア人は嘘しか言わないということは、もう世界中がよく知っているだろう。
※ロシアは、BMP-3を無人化できる「フロメテイ」(プメメテウス)というコンピュータ製品ができた、とも宣伝している。
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Isabelle Khurshudyan and Kamila Hrabchuk 記者による2023-7-15記事「The biggest obstacle to Ukraine’s counteroffensive? Minefields」。
ザポリッジア戦区では、露軍の設けた地雷原は、縦深が3マイルから10マイル。対戦車地雷と対人地雷のミックス。信管にはトリップワイヤーも混用。これで完全に宇軍の前進は止まった。
地雷が一定密度を超えると、AFVはおそかれはやかれ地雷を踏んで足を止められる。止まったところに敵軍の砲撃が集中する。そのAFVは回収できず、おそかれはやかれ、完全に破壊される。そうなるのが分かっているので、もう誰も車両を前に出そうとしなくなる。
爆薬入りの長いホースを投射して前方の地雷原に一本の啓開路をつくる、米国供与品の「M58」MICLICは、敵からも目立つ。露軍はそれが出現すると優先的に特攻ドローンを差し向ける。
ドイツから供与された戦車に取り付ける対地雷ローラーは、最初は有効だったが、ノイズが大きいのと、上空のUAVからすぐにそれと分かるので、今では、出現するとすぐに敵から袋叩きにされておしまいである。
工兵がせっかく啓開してやった前進路を、あとから超越して進む戦車とAPCが間違えて、地雷原の中に踏み込んで行くという、仲間内の連絡の悪さも、宇軍においては目立つ。
地雷ローラーを付けた戦車は、敵からまっさきに狙い撃ちされる。それさえ破壊すれば、こっちは前に進めなくなると、敵はよくわかっている。
徒歩の工兵チームは4人で一組となり、道路上の対戦車地雷を金属探知計で探して、その信管をロープで引っ張って除去する。この4人組は、昼も夜も、どうしても目立つ。持っている道具が。
そこでじっさいには、道路上を這って進まねばならない。
※もうこうなったらトンネルを掘って毎日1mのペースで前進しろよ。それがふさわしいよこの軍隊には。
※まじめな話、そろそろ次の「冬営」を考えなくてはいけない。地下室が無数に掘られていれば、来年の春まで快適に過ごせるだろ。
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The Maritime Executive の2023-7-14記事「The SINKEX Ship That Got Away Prompts Rescue Mission」。
2020年に除籍されている元フィリピン海軍の給油艦『BRP Lake Caliraya』は、予定では7月13日に米比合同のSINKEX演習で実艦標的となって撃沈されるはずであった。
重さ4500dwt、長さ325フィートの『レイク・カリラヤ』はもともと比国営石油会社の所有船だったが、2014に比海軍に寄贈されていた。
このたびの米比合同演習の期間は、7-6から7-21である。
ところが、サンアントニオ湾沖、きっちり12海里の地点に移動させる途中で、密雲を伴うモンスーンの襲来が予報されたので、撃沈日を演習最終日にずらそうということに決まった。雲底が低すぎるのは、この実験に関しては、面白くないから。
そこで標的船を港まで曳航して戻そうとしたのだが、その途中で座礁してしまった。
比海軍は2023-4にもSINKEXをやっており、そのときはWWII時代のボロ船が沈められている。
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2023-7-16記事「Lithuanian Armed Forces Receive New Tactical Vests from Germany’s Mehler Vario System」。
リトアニア軍はドイツのメーカーに、最新の防弾鎧を1万着近く、発注した。
これはもう「防弾ヴェスト」と呼ぶにはふさわしくない。従来、プロテクトされていなかった兵士の上体の左右の側面を、西洋甲冑風の「肩当」――当世具足の「袖」――によってカバーできるデザインなのだ。
もちろん脇腹の下半分は、胸当がそのまま延長して背中まで連続することで、防護している。
納品は今年の9月から開始される見通しだ。
※だんだんマッドマックス2の風情に近づいて行く。
※まじめな話、ヨーロッパには「防弾ベビーカー」も必要だぞ。