クリミア半島内の「Simferopol」市に、露軍が「移動火葬装置」を搬入した。

 ウクライナ系パルチザンの「Atesh」が報告している。
 この移動焼き場は、外見は商用大型トラック(パネル荷台)だが、中味は焼却炉なのである。

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 Alex Babenko 他の 記者による2024-3-11記事「Exhaution, dwindling reserves and a commander who disappeared: How Ukraine lost Avdiivka to Russia」。
  いかにしてアウディウカは陥落したか?
 ある旅団は同じ街区の工場建物を数ヵ月間、休息無しに守備していた。別な旅団は開戦いらい2年間も、交代無しで陣地にはりつけられており、ヘトヘトに消耗していた。

 弾薬は乏しくなっていた。露軍は「滑空爆弾」を、こっちの築城陣地に叩き込んで来る。

 露軍の地上突撃は波状だった。まず第一波は徒歩の素人兵。軽武装で、その任務は、ウクライナ軍に稀少な弾薬を消費させることにあった。

 第二波は、かなりのベテラン兵たちだ。この第二波に同期して、トンネルから奇襲的に特殊部隊が湧いて出たり、潜伏していた「第五列部隊」が後方で騒ぎを起した。特殊部隊は、少し狙撃を加えるや、また地面の穴の中に消えてしまうのであった。

 士気の急落した大隊長が、2人の部下の兵隊を引き連れて、どさくさにまぎれて前線から自動車で逃亡する事件も起きている。部下数百人が置き去りにされた。逃亡3人組の1人は射殺体で発見された。大隊長ともうひとりの兵隊はいまだに見つかっていない。奔敵したのだ。それはアウディウカが陥落する数日前のことであった。

 総司令部として、死守命令を出すのは簡単だが、そうするとマリウポリの二の舞になる。マリウポリでは数千名の兵隊が捕虜となった。今回は、その事態を避けさせた。

 2年間、塹壕を掘り続けたという兵士の話。2年間、人力の円匙しか土工具が与えられなかったという。露軍は2014年からアウディウカを狙い続けているのだ。にもかかわらずウクライナ政府は、この方面に塹壕工事用の「重機」を送らなかったのだ。

 おかげで多くの塹壕は「膝の深さ」しかなかったという。これでは一時的な退却が必要となったときにも、第二線の陣地で踏みとどまることができず、とめどない敗走になってしまう。

 11月に、ハッキリと流れが変わった。露軍は、古い在庫の投下爆弾をグライダー化して、次々と落下させてきた。グライダー爆弾が空を覆い尽くしたように見えたという。また、ビルの内部に籠もるこっちの守備兵を熱線の動くイメージで探知してそこに半自動的に自爆ドローンを突っ込ませてきたという。

 宇軍は在庫のあらゆる口径の砲弾を手当たりしだい発射した。射表が異なるから、それらは命中など期待できない。乱れ撃ちだ。それに対する露軍の撃ち返しは、8倍から9倍の弾数であったという。

 1月に入ると、グライダー爆弾は連日、数十発、落ちてくるようになった。
 ある兵士は、じぶんの立哨中に74回の空襲を数えた。

 一中隊長いわく。宇兵はさすがに、敵の砲撃にはもう慣れていた。しかし、グライダー爆弾による空爆には慣れることができなかった。爆発威力が砲弾とは桁違いであり、これが味方の士気を沮喪させた、と。

 このような情況では最前線の守備兵はローテーションで後方に下げて休息させなくてはいけない。ところがその交代部隊はいつまで待ってもゼロだった。

 最前線の無人機部隊(旅団麾下)が退却するときは、資材を敵手に渡さないように、徹底して破壊せねばならなかった。装甲車に積み込める機材は、ぎゅうぎゅう詰めに積み込んで、脱出した。

 露軍による無線傍受を回避するために、命令伝達は極力、直面談とした。コークス工場を放棄して一斉に離脱する段取りの相談が、殊に守秘の必要があった。

 ※タマが無いならますます穴を掘らねばならない。ところが、攻め手の露軍はそれをやっているのに、守り手の宇軍がそれを2年間サボっていた実態が、判明した。いったいどういう軍隊なんだ? ハマスやヒズボラにはできることを、なぜかウクライナ人はできないらしいのである。

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 Peter Weber 記者による2024-3-8記事「How the US quietly became the world’s top oil producer」。
   最新統計によるとアメリカ合衆国は現在、世界最大の原油生産国となっている。

 10年前には、まったく考えられなかったような事態だ。採掘技術がハイテク化したのが背景。昔のようにやたらめったら新規の井戸を別の場所であらためて掘る必要がなくなったのだ。米国内の油井に関しては。

 このことがバイデン政権にはたいへんな外交オプションを与えている。内政でも、ガソリン価格を引き下げて国民の生活を楽にしてやることができる。だが、恩知らずにもバイデンとそのとりまきは、原油やガスの採掘そのものに大反対なのである。気候を悪くするというので。

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