イケメンの蝿型ドローン「バエはえ」。

 ネタニヤフは歴史に名を残すかもしれない。いま、イスラエルは、順調に、米国を対イランの長期戦争に巻き込みつつある。というのは、バイデンが11月の選挙で勝つためには、これから11月までかけて徐々に米国内の有権者の「敵愾心」が高まってくれることが、まことに都合がよい。トランプを確実に蹴落とせる、それが唯一のシナリオかもしれないのだ。米国の軍人や外交官ならみんな心の中で「イランをいつか滅ぼしたい」と念じているから、他の地域への軍事介入とは、風向きの違う話になるのである。カーター政権末期、テヘランのアメリカ大使館員を人質に取られたまま手も足も出せなかった、あの最悪の屈辱の復仇をキッチリと果たしていない胸のつかえが、米国指導者層のあいだでは、去らぬままだ。よって共和党員も「イランと戦争してはならない」などと叫ぶ奴はひとりもいない。トランプだけが、困ったことになるだろう。ネタニヤフは、文字通り「うちてしやまむ」の精神で指揮を執っていると思う。今、イランを滅ぼせないとしたら、10年しないで亡ぼされるのは確実にイスラエルの方なのだ。イスラエルの国土の狭さでは、数発の核爆発(地表爆発)で、万事が休する。そこには半永久に人が住めなくされてしまう。いつも口だけのヘタレのトランプ政権などができる前に、対イラン戦争をぬきさしならなくさせる絶対の必要が、イスラエルにはある。バイデン政権の続くうちに対イラン戦争をおっ始めて、とにかくケリをつけるしかないのだ。イランはもう原爆は持っているだろう。だが、それが数十発に増え、米本土まで届くICBMと結合されぬうちに、米国やイスラエルと正規の、烈度の高い戦争は始めたくない。かたやイスラエルは、対テヘラン核攻撃の本番用に、長射程の弾道ミサイルは温存したいだろう。イランも、みずから烈度のノッチを上げないように気をつけて、できるかぎりドローンを主用するだろう。しかしネタニヤフは容赦なく、イランを有人爆撃して烈度を上げて行くだろう。ある段階からは、IDFの有人戦闘機がサウジアラビア領空を利用してイラン領内の石油関連施設・電力インフラ・防空拠点に、空対地ミサイル(非核)を撃ち込むだろう。イランももはや、ロシアに特攻ドローンを売っている場合ではなくなった。ウクライナ人は福音を聞くはずだ。

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 Rachel Sapin 記者による2024-4-16記事「Alaska senator wants EU to join US in ‘economic war’ against Russia seafood」。
    アラスカ州選出の連邦上院議員 ダン・サリバン(共和党)は、今月中にブリュッセルに飛び、EU首脳に対して、《ロシア産の水産物を輸入するのを禁止しろ》と説得するつもりである。

 地元コディアクで開催中の漁業トレードショーの会場にて、ブチ上げた。

 サリバンによるとロシアの水産物輸出業者は、《この魚はアラスカ産》と産地偽装をして欧州に売っているのだという。

 サリバンは今、米政府に働きかけて、ロシアの水産物が中共の貿易業者を経由して、対露制裁をかいくぐって米国市場に輸入されているのを、阻止させようとしている。

 サリバンの認識では、アラスカ州の水産業界はまさに、ロシアとの経済戦争中なのである。

 サリバンは、ロシアの水産物が日本の商社によって買われていることも問題視している。

 サリバンの認識では、ロシア水産業は、世界の水産物の取引価格を押し下げている元凶である。それによってアラスカの業者を大損させているのだ。

 げんざいEUは、中共経由でEUに入ってくるロシア産魚介類に関税をかけている。かたや米政府は、そうした迂回輸入も全面的に禁止している。サリバンにいわせるとEUは生ぬるいことをやっていたらダメだ。

 アラスカにはスケトウダラをすりみ〔surimi は完全に英語になっている〕にして日本へ輸出する加工業者が集中している場所があるのだが、彼らは、ロシアの業者がすりみを日本に輸出していることによって商売を脅かされている。

 このロシア業者の動きも、米国が経済制裁の一環としてロシア産の水産物がどこを迂回しようと米国市場に入ってこないように禁じていることと関係がある。米市場に売れなくなったので、対日輸出にドライブをかけているのだ。

 ※本土の農家と違ってアラスカの漁民は「票田」として小さいため、中央政界から「保護」を引き出しにくい。この議員に地元の期待がかかるわけだ。

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 Rob Fletcher 記者による2024-4-15記事「Genome edited fish are already being grown by commercial aquaculture operators in Japan, ……」。
    げんざい、25種類以上の魚類が、養殖用に遺伝子改編されている。
 遺伝子改編が先行したのは「ティラピア」。しかし養殖用のエビや貝類にもその試みが及んでいる。

 ティラピアは、たくましく、多産で、短時間で世代交代が進んでくれるため、これまで、最も遺伝子編集の研究が進んだ。
 病気や寄生虫に強くできる。

 日本では、ゲノム編集されたマダイやトラフグも、養殖が許可されており、しかも市場で売られている。未だ規模としては小さいが。

 ※遺伝子改編養殖漁業の未来でおそろしいのは、設備が杜撰な中国沿岸で、外国の先進業者から盗んだ改編養殖種の「不妊化遺伝子」を勝手に解除して交雑可能にしてしまい、それが生簀網から脱走して日本近海の魚介類がハイブリッドだらけになること。たとえば、外敵に遭わなければ無限に巨大化が止まらず、アナコンダをしのぐサイズに育つ鰻だとか、マンボウなみに巨大な鯛……などというわかりやすいものではない、リバイアサンの出現。

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 Isabel van Brugen 記者による2024-4-19記事「Ukraine Downs Russian Tu-22M3 Bomber in War’s First」。

   ウクライナ中央情報部HURが金曜日に発表。バックファイアを1機、撃墜した。場所は露領のスタヴロポリ地区。
 国境からは300kmも離れている。

 バックファイアは4-19夜のミサイル攻撃に任じていた。

 ※一報道では、オデッサに向けて空対地ミサイルを放った帰り道で墜とされた。

 露軍の戦略爆撃機が空中で撃破されたのは、今次戦役はじまって以来、初めて。

 ロシア国防省も「Krasnogvardeysky」地区にバックファイアが墜落したことを認めている。
 4人乗っていたうちの3人はエジェクトして救助されているが1人は行方不明だと。

 雑報によるとこの墜落機がいきがけに放ったかもしれない空対地巡航ミサイル「Kh-22」のうち2発は途中で迎撃されたと。

 ※ロイターによると、宇軍は旧い「S-200」を独自に改造したSAMによって、このバックファイアを落としたそうだ。

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 Svetlana Shcherbak 記者による2024-4-19記事「Satellite Images from Dzhankoi Reveal Ukrainian Forces Adopting an Interesting Strategy of Missile Strikes」。
    先日、クリミア半島の「Dzhankoi」航空基地に対して、初期型のATACMS(射程165km)による精密攻撃が加えられたが、その痕跡を、4-19撮影の「Planet Labs」(民間衛星サービス企業)の写真で点検したところ、様子が分かってきた。

 この飛行場はクリミアにおける露軍最大のヘリ基地であるとともに、兵站のハブ拠点になっていた。

 巧妙な攻撃だった。「S-400」システムを狙うと同時に、弾薬集積所を直撃した。その大爆発によって、飛行場所在の全軍用機にデブリが降り注ぐようにしたのだ。

 ※近刊の『自転車で勝てた戦争があった』を書く時に最初に取り寄せて調べた洋書が、豪州人の Jim Fitzpatrick 氏の著『The Bicycle in Wartime』です。これには1998年の初版と、2011年のリプリント版があって、私は両方とも入手してみたのですが、そのリプリント版の方は、先月、「靖國偕行文庫」に寄贈(あちらでは「奉納」と呼ぶ)してあります。拙著が取り上げてない米軍の自転車事情などを細かく承知したい方は、それをご利用になれるだろうと思います。このフィッツパトリック本は、挿絵写真の情報量も豊かです。それにつき、ご注意。もし写真を細密に調べたいという方でしたなら、少し高額であっても1998年版の古書を購入されるべきです。2011年の reprint 版ではなく。写真の印刷クオリティ=情報量が、段違いに初版の方が優っています。リプリント版はあきらかに、初版本の写真複製と思われます。ついでに情報。日本国内からネット注文しますと、2011年版は、1ヵ月しないうちに届きましたが、古書の方は、私の場合、1ヵ月半強、届くまでに時間がかかりました。