Sam Skove 記者による2024-4-19記事「Army SOF’s new drone course teaches gamer and maker skills」。
FPVドローンの訓練には「DRL(ドローン・レーシング・リーグ)」という市販のシミュレーターゲームが役に立つ。
※2017年からあるソフトウェアらしい。今は9ドル99セントで売られている。
米陸軍内にはFPVドローン操縦(特殊部隊員)を育成するコースがある。その修了者は、ポーランドへ派遣され、そこで、ウクライナ兵たちに稽古をつけてやる。
RUSIC=ロボティクス&アンマンド・システム・インテグレーション・コースは、米陸軍の「ジョン・F・ケネディ特殊戦センター&学校」内に用意されている6週間の教育課程である。教育隊長は中佐。
入校すると、最初の2週間は、関連するFAAの航空法規を覚えさせられる。
3週間目で訓練は本格化し、敵からジャミングを受けている電波環境下でドローンを操る術を学ぶ。
また「アンドロイド・チーム・アウェアネス・キット」の使い方も習う。これはアンドロイド・スマホに入れるアプリで、ドローンによる攻撃ミッションをプランニングするのを助けてくれるツールである。
4週目に入ると「カウンター・ドローン・システム」も学ぶ。
もしそうしたシステムを使えないときに、敵のドローン脅威下に入ったならどうするかも。
具体的には、上空から発見されることのないルートだけを縫うように地上を移動する、そのルートを頭の中で素早く考えるのだ。
第5週目では、異なる重量のペイロードにそれぞれ最適な電池パックを計算し、それを実物のドローンに取り付けて飛ばす。ドローン教官としてポーランドに派遣されるときに、これが最も価値の高いスキルである。これを現地の友邦軍隊の兵隊たちに教えてやれなくてはいけないのだ。
最終の第6週では、学生たちは、いままで習ったことをすべて動員してテスト演習に挑む。
入校時にはドローンを一度も飛ばしたこともなかった兵隊が、修了時には、片道FPV特攻機による攻撃を巧妙に計画して実行できるまでになる。
ドローン専門スキルを標榜する隊員は、部隊で、かならず、「こいつを直してくれ」と不具合ドローンを持ち込まれて頼まれることになるだろう。その機体はじつにさまざまだが、RUSICでは、実物サンプルを多数揃えて教育をしているから、その隊員には、すでに機体の見覚えがあるはずである。初見の機体だと、不具合箇所の見当もつかないのはとうぜんで、持ち込んだ者からは、役立たずな奴だと思われてしまうだろう。
RUSICはFY2023で初予算がつき、2023-10に開講したばかり。1回24人の学生を、年に4回うけいれる。別な基地には、まったく同規模のコースも、もうひとつ、ある。
修了者には「マスター・トレーナー」の公認資格が与えられ、他の隊員を教育することがゆるされる。
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Joseph Trevithick 記者による2024-4-22記事「Russia’s Historic Submarine Rescue Ship Looks Undamaged After Claimed Strike」。
ウクライナ軍は、ロシア海軍の潜水艦救難艦『コムナ』をセバストポリ軍港内でやっつけたと言うのだが、最新の衛星写真でたしかめると、無傷のように見える。
『コムナ』は双胴(カタマラン)構造で、上甲板のかわりにアーチ状の鉄構があり、その天井から吊り下げワイヤを伸ばし、そこへ深海救助艇を吊るしている。潜水艦救助の現場に到着すると、ホイストで潜航艇を海面に――すなわち双胴の中間がすべてムーンプール――下ろす。
下ろされた潜航艇はすぐには潜らず、まず自航して『コムナ』の艦尾から遠く外へ離れてから、潜水する。揚収はこの逆順。
おそらく、このアーチ鉄構からちょくせつに海底までケーブルを垂らせば、軽い物ならサルベージもできるのだろう。
『コムナ』は1915年に帝政ロシア海軍の潜水艦サルベージ船として就役している。革命前は『Volkhov』という船名であった。造船所はサンクトペテルスブルグ。進水は1913年。
1917年には、じっさいに潜水艦を引き揚げている。それも2回。1隻は米国から買った『ホランド』級。もう1隻は、それをロシアでコピーした『Bars』級。
※このカタチのフネには「とても修理しやすい」という大メリットがあるのではないか? これはひとつ研究する価値があるであろう。
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Defense Express の2024-4-22記事「Shahed-136’s New 90-kg Warhead and Other Findings of the Alabuga Data Leak」。
アラブガとは、ロシア国内の産業団地で、そこで今「シャヘド136」の国産品を組み立てている。
この工場の内部資料が、どういうルートなのか、リークされて、インターネットで閲覧できるようにされた。
この資料から、いまや「シャヘド136」には重さ90kgの弾頭が装置されていることが知られる。
オリジナルでは弾頭重量は50kgであった。
弾頭を重くしたので「重心」を元に戻すために、胴体内の燃料タンクの配置はすこしいじったようだ。
オリジナルの50kg弾頭の中には、炸薬は28kg入っていた。
最新の90kg弾頭の中には、炸薬は62kg、詰まっている。しかも、HEATと対人破片と焼夷剤を、ご丁寧にすべて盛りつけてある。三色丼だ。
オリジナルの「シャヘド136」は、航続距離1350kmだった。
しかしロシア版は、弾頭を重くしたかわりにレンジが650kmに縮んだ。これは静穏な天象下での数値である。
計画では、ロシアはこの特攻機用の弾薬として、別に、サーモバリックを3000個、HE焼夷弾を7000個、量産するつもりらしい。しかし、いつまでに、という情報は、無い。
三色丼弾頭は、実験用のプロトタイプが30発、製造されただけで、すぐに1000発の量産が指令された模様。最初の実験は2023-11だった。
いま、露軍は1日平均30機の「シャヘド136」を飛ばしている。毎日30発の弾頭を製造すると、1年で1100発弱になる。これは、量産指令数と符合しているように見える。
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Defense Express の2024-4-22記事「With Chinese Help, russia is Working to Turn Shahed-136 into a Lancet-Type Loitering Munition (Document)」。
アラブガのリーク資料によると、ロシアは中共の「VCan グループ」という会社(そのブランドは「iVcan」)、「TX900」というビデオ信号伝送用のデバイスを輸入して、国産品の「シャヘド136」に組み込んでいる。
これはつまり、シャヘドをGPS座標特攻機としてではなく、FPV操縦機にもしようという試みだ。「TX900」を使うと、高画質の動画データを220kmも飛ばすことができる。
その弁当箱の重さは243グラム。出力10ワット。電送速度は30Mbit/秒。1448メガヘルツと826メガヘルツを自動で切り替える(調子が良い方を選ぶ)。暗号化方式は「AES128」準拠。