モスクワにある、「Ostafyevo」航空基地で、夜間、挺進破壊チームが「カモフ32」ヘリの1機に放火するビデオがSNSに上がっている。

 近くには他のヘリコプターも駐機しているのが見えるのだが、このたびの戦果は1機だけだったと報じられており、だとすると、彼らは1機に火を着けたところで、すぐに、ずらかったらしい。

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 Defense Express の2024-4-26記事「Abrams is Unfit for Ukrainian War: Tanks are Withdrawn from the First Line」。
   APが報道した。宇軍に与えられていた「M1A1」戦車は、すべて、第一線からは引き払われた。こんなもの役に立たないと認定された。

 米軍高官は、不振の理由として、戦場がUAV(偵察型と自爆型)でみちみちているからだ、とAPに語った。
 エイブラムズは、去年の9月いらい31両が供与されたが、すでに5両が戦闘で損壊。

 教訓。どんな優秀兵器も「大量に」使えないなら、戦況を変える力は無い。
 「M1」戦車は、露軍から見ると、目標プライオリティとして「ナンバワーワン」だから、発見するや、すべての火力をそこに集めてくる。それでやられてしまう。

 西側諸国がウクライナへ戦車をくれてやるときに、いっしょにタマもつけてやるわけだが、その弾種が、対戦車弾にばかり偏っていた。そんなもの、ウクライナ戦線では使う機会は無いのである。対人弾だけが必要だった。ところがその弾種が、わずかしか含まれていない。「チャレンジャー2」に至っては、その主砲用の「対人榴弾」を、そもそも製造すらしていない。

 アウディウカの防戦にては、M1戦車は、ギリギリ後方に退がって、「自走野砲」となって、対人榴弾を間接照準で遠射し続けたという。もし前方に出れば、露軍のATGWチームによってすぐに仕留められてしまっただろう、という。

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 Joseph Trevithick 記者による2024-4-25記事「Have Ground Launched Small Diameter Bombs Been ‘Thrown Aside’ By Ukraine?」。
    ウクライナへ供与されたGLSDBの調子がぜんぜんよくない。どうも、まともに飛ばないらしい。言い訳として、露軍のEWが効いているからだというのだが、それは嘘だ。

 GLSDBは、ボーイングとサーブの共同開発。
 量的にありあまっている航空爆弾に翼をつけて火薬ブースターで地上から飛ばし、150km先を精密に攻撃できるはずだった。

 どうも原因はECMじゃないようだ。
 この新兵器を使うのは、技術的・戦術的にとても面倒らしい。と同時に、ウクライナ軍部隊は、この新兵器をうまく役立てるためのドクトリン、組織、訓練をもっていない。
 それで、3回くらいも、たてつづけに失敗してしまい、前線では、もうこの兵器は役に立たないと認定し、二度と、持ち出そうとしなくなっている。末端のウクライナ兵の立場としては、とうぜんにそうなるのだ。

 ※そこで私は最初から言っている。ボロ乗用車やバイクでも運搬ができる81~82㎜迫撃砲をとにかく大量に――穴掘り道具とともに――与えるのが、あの戦場では大正解なんだと。人を見て法を説け、という話。

 米国がGLSDBをウクライナに与えると言い出したのは2023-2だったが、それから1年間、まったく実戦使用の報道がなかった。
 つまりはシステムとして未完成だったものを見切り発車で与えようと急いだのだ。

 しかも、いまげんざいに至るまで、宇軍がGLSDBを発射しているところの写真も動画も、ひとつもリリースされていない。発射からして大失敗しているのでは?

 露軍が撮影した、GLSDBの残骸の動画は、SNSに上がっている。

 GLSDBはダメらしいという新情報は、ATACMSの長射程型を追加供与しますというニュースと、ほぼ同時に出てきた。
 HIMARSやATACMS後期型も、GPSが頼りである。而してこっちは何も問題がない。調子よく、当たっているのだ。

 ということは、GLSDBだけが、欠陥兵器なのだ。EWのせいじゃなくて。

 米軍は空対地でJDAMの有翼型をなんども使用しているが、こちらにも問題がない。とすると、不具合箇所は、地上から火薬ブースターの力で発射するフェイズにあるのかもしれない。

 ※《ボーイング社の中の誰かが出世したいあまり見切り発車をやらかした》説に、私は百円賭ける。2022-11-28のとくだねニュースとして、ボーイング社の方からペンタゴンへ、この未完成兵器をウクライナに援助しましょうと提案していることが報じられていた。それから1年半では、新型ロケットは成熟しなかったのだ。ボーイング社内の「風」がいまどんな感じなのかは、あの社長さんの顔を見ればわかる、と、おそらく全米の人が思っているだろう。

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 The Maritime Executive の2024-4-25記事「Just Months After Mysterious Rupture, Finland-Estonia Gas Line Restored」。
   7ヵ月前に支那船が破壊した「フィンランド~エストニア」の海底パイプラインの修繕が完了した。
 ふつう、この規模の修理は1年以上かかるものだが、突貫工事の能力を示した。

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 Jon Harper 記者による2024-4-25記事「US to give Israel $1.2B for Iron Beam laser weapon」。
    水曜日にバイデンが署名した「2024イスラエル安全保障追加支出法」(総額264億ドル)の中には、イスラエル政府が「アイアン・ビーム」を調達するのを助けるための費目(12億ドル)も含まれている。

 出力100キロワットの地対空レーザー高射砲である。

 2023-10-7のハマス奇襲開戦の直後にホワイトハウスが議会へ要求した追加支出法案では、イスラエルに与える総額143億ドルのうち12億ドルがアイアンビームの開発や試験を助けるための費目とされていたが、今回は、開発や試験のためではなく、調達のためだと説明し直されている。

 今回の12億ドルは、ペンタゴン予算の総枠の中から、転用される。

 アイアンビームを開発しているメーカーはラファエル社。社いわく、対UAVの有効射程は数百mから数kmである、と。

 今回の12億ドルの支出は、2026-9-30=FY25の年度末日 まで有効である。
 イスラエル軍は、2025末までには、このレーザー高射砲を実戦展開する計画である。

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 Svetlana Shcherbak 記者による2024-4-25記事「How AI Passed the “Baptism of Fire” in the Ukrainian Armed Forces, and Also in the IDF During Battles in Gaza」。
    権威あるシンクタンクのIISSが、その特設ブログの中で、ウクライナ軍がFPVドローン以外にもAIを使っている事実を紹介している。

 それによると、宇軍の将校たちがすでに2022秋、ヘルソン解放の戦いのさなかに、ロシア兵を心理的に屈服させるため、AI分析の力を借りていたという。
 HIMARSがしきりに撃ち込まれていた折だった。

 ブログによると、AIは「対諜報」に役立つものだという。ロシアが、こちらの誰について関心を抱いているのか、浮かび上がらせることができれば、おのずから、敵はその人物に関してさまざま工作を展開するだろうと予測できるので。

 戦争中は、敵の「一歩先」の予測が、AIによって可能になる。それは防御にだけでなく、こちらからの攻撃に役立てることができるのである。

 イスラエルは現に、ガザにおけるハマスとの抗争にさいして、この攻勢的なAI援用プランニングを、実践中なのであるという。

 イスラエル軍のAI作戦立案システムには、「エヴァンゲリー」および「ラヴァンダ」という2つのコードネームが与えられたものがあるという。
 それは次に集中攻撃するべきターゲットを絞り込んでくれるという。また次に敵がどう出てくるかも予想してくれるという。