おかげさまで、無事、発売されました(通販先行)。『自転車で勝てた戦争があった』をAMAZONその他でポチられていた方へは数日中に届くはずです。

 すでに配達されたところも、あるかもしれません。楽しんでいただけましたか?

 かれこれ数十年もNHKが繰り返している《失敗の本質》式解説に飽き飽きしている向きは、是非、拙著によって、視野を広げていただきたいと思います。

 それと、ひきつづきまして、自転車の《試作改造工房》を買って出てくれる有志を募っています!

 最近、考えているのが、こんな感じです(一案です)。

 全体レイアウトは「ペニーファージング(Penny-farthing)」だが、乗用は考えず、サドル無し。ペダル無し。

 前輪は52インチ(=132センチ)。これは段差での安全を特に重視するため。ニューマチックタイヤとせず、ソリッドゴムとするのが、整備上は好適か。

 後輪は、ホームセンターで誰でもスペアが手に入る、「一輪車」(ネコ車)の主輪を流用。耐荷重の不安なく、非常時に蛮用も効きそうなので。

 ダウンチューブ(ハイウィーラーの場合、主輪上のヘッドチューブと後輪軸とを結んでいる唯一のパイプ)は、後方から眺めた場合に「梯子」の如き複列構造にし、普段はそこに、荷物運搬用の「袋状容器」を複数、ひっかけるように積載して、プッシュバイクたるカーゴバイクとして運行せしむ。

 もしくは梯子構造を、ダウンチューブ(1本管構造)からは浮かせ、「sacktruck/stair climbing sacktruck」(わが国で言うところの、飲料ケース運搬台車やボンベキャリーの如き道具)の如くに使えるものとする。
 すなわち、その梯子だけを垂直に立てれば、山伏の「(四脚型)笈」のように2脚+「すくい板」の縁が接地し、それが自転車の「スタンド」となってくれる。梯子構造とダウンチューブ(単管)とは「ヒンジ」で接合されているわけ也。

 後輪を、ネコ車よりも小径の運搬台車用車輪にすることも考え得るが、決して、ダブルタイヤや「サイドバイサイド2輪」としてはいけない。あくまでタンデム2輪にこだわるべき理由は、拙著を読んで戴き度し。

 この梯子構造の中段に片膝を乗せれば、「Chukudu」と同じような無動力のキックスクーターにもなるはず。(余談ながらフランス語では Chu はシュと発音されるので、この語源が「スクーター」であったことの見当もつくわけ。最初からカタカナで表記してしまうとそこが想像できなくなります。)

 大震災発生などの緊急非常時には、この梯子部分に「独歩不能患者」を1名、ボンベ台車のチェーンよろしく紐で縛り付け、1人の介助者の人力によって、危険な場所からエバキュエートさせることができるはず。

 また、離島作戦中の普通科隊員は、この特殊プッシュバイク/スクーターによって200kg前後のミサイルを人力運搬できるはず。

 拙著をお読みの方は、ここからどんなバリエーションが可能になるのか、すぐにご想像がお付きだろうと思います。そう。最新の81㎜迫撃砲を、この特製プッシュバイクで運搬することも考えられるのです。(弾薬車には、別な1台~数台を、カーゴバイクとして随伴せしむ。)

 しかし、ともかく試作品をこしらえてサイズ感やバランスを見ぬことには、見直しの要否からして掴めず、改善案も生じません。篤志の皆様の自主参加を念願致す所以でございます。

 また、こうしたマルチユース機能を有する「荷車」を普及させる場合にアップデートが望ましい法令の整理・統一等につきましても、併行して世間に提言して参りたいので、斯界に詳しい方の御助言をお待ち申し上げています。

 次。
 Bill Rivers 記者による2024-4-19記事「A Rockefeller of the Seas」。
     ※この記者は2017~19年にマティス国防長官のスピーチライターであった。

 中共に戦争をあきらめさせる米軍の切り札は潜水艦なのだが、それが予算不足で建艦ペースが巻き上がらない。どうしたらよいか?
 過去の伝統に戻り、億万長者のイニシアチブで無人潜航艇を先行納品してもらったらよい。

 南北戦争中の1862にテネシー川を支配することによって南軍の西部諸邦を大いに脅威してやった北軍艦隊は、セントルイスの実業家 James B Eads がグラント将軍のために一肌脱いだもので、その甲鐵艦の最初の1隻は今でも国有財産ではなく、私有財産だという。

 イーズは、4000名以上の職工を働かせてこの河川艦隊を建造させ、グラントに引渡した。
 プロジェクトのスタートから100日以内に、その艦隊は進水している。その間の建造費用すべて、彼の個人資産で賄った。
 もちろん、連邦政府との契約があった。しかし、代価が支払われたのはかなり後だった。

 今日の話をすると、米海軍は2028年になるまで「年に2隻」のペースでは攻撃型原潜を取得できないそうである。これは海軍が2023-3に発表している。

 台湾近海は浅海である。そこでは「無人半没艇」や「ロボット潜航艇」が活躍できる。それを、今日の米国の富豪たちは、自己資金で建造して米海軍に納品できるはず。後払いで米政府から補償を受ければいいのだ。そんな公平な仕組みを考えようではないか。

 2023年に議会調査部は、米海軍は全世界で31隻の原潜を作戦させられるとしている。インド・太平洋域だけでもこれでは足りない。まして全世界用としては。

 31隻というのは必要量の「五分の三」なのである。建造もメンテナンスも、ペースが、本来の必要水準まで追いついていないのだ。

 『WSJ』紙が調べ上げた事実。『ヴァジニア』級の攻撃型原潜は現状では、年に「1.2隻」しか新造ができない。本来なら「2.0隻」を建造し続けないといけないのに。

 だとすれば中共は2027に台湾侵攻すれば、その時点で米海軍は最も潜水艦戦力が弱体化しているので好機に乗ずることが可能だ。

 台湾防衛に関して米海軍の最後の期待はいまや、急速量産が可能な無人の水中ロボットだけだ。しかしその政府予算も未だついていない。「レプリケーター」イニシアチブは、DoD内部の一政策提言であって、政府は公式にその予算はつけていない。もっか、議会にはたらきかけて、その将来予算を確保しようと道を模索している最中なのだ。

 他方、米国内外の複数の中小メーカーは、今すぐにでも、AUV(自動潜航艇)を製造開始して米政府に納品することは可能なのである。足らないのは米政府の初期発注資金だけなのだ。

 民間造船所が米海軍を助けたのは、南北戦争が最初ではない。1813のエリー湖の勝利に貢献したのは、ノアとアダムのブラウン兄弟が自己資金で建造したブリグ船であった。

 「富+スピード=抑止」という方程式が、今の対支政治では、妥当するのである。
 遅すぎる調達では、対支の抑止にまったくならないのだ。それがいくら高性能の兵器でも、調達が何年も先では、もう手遅れなのだ。中国による侵略を止められずに、既成事実をつくられてしまう。

 米国は富んでいるのに予算がない。しかしここに予算の必要がある。だったら、われわれはもっとクリエイティヴになるべきだ。
 ベゾス、マスク、ザッカーバーグらは、1862年のイーズのように行動すべきだ。彼らの資金力で、中小のベンチャー・メーカーを動員することは簡単だ。

 パブリックとプライベートを臨機に結びつける枠組みを、発明するべきなのである。

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 Joseph Trevithick 記者による2024-5-2記事「Israel Is Shooting Down A Lot Of Its Own Drones」。
   米海兵隊内で航空戦力の指揮の統合について考究している部門の長、マイケル・プルーデン中佐が、衝撃的な数値をあきらかにした。なんとイスラエル軍は、昨年ガザで、自軍が飛ばした無人機の4割を、てめえで撃墜してしまったというのだ。

 無人機の敵味方の識別がつかないので、見境無く、撃墜したわけである。

 狭い土地に、濃密に無人機が飛びまわるようになれば、とうぜん、そうなっちまうわけだ。
 ライフル用のAI照準器も、イスラエル国産で、あるしな……。

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 The Maritime Executive の2024-5-1記事「Australia “Not Concerned” by Possible Hanwha Acquisition of Austal」。
   豪州政府は、韓国のハンワが豪州のオースタル造船会社を買収するとかいう『Yonhap』発のガセネタを、ぴしゃりと否定した。

 次。
 Alex Wilson 記者による2024-5-2記事「China’s newest carrier likely several years away from regular deployments, experts say」。
    公試運転を始めた空母『福建』は、就役するまでにもあと2年かかる。それから艦隊の中軸として米軍との実戦に遺憾がないようになるまでにはさらに5年くらいもかかるであろう。

 電磁カタパルトとやらの調子が安定するまでにも7年くらいかかるとしてもおかしくないのだ。

 次。
 Defense Express の2024-5-2記事「Ukrainian UAVs Strike Unexpected Target: Railway Power Supply is What russians Cannot Protect with Air Defense」。
    ウクライナ軍は、ロシアの鉄道線路を爆破しても「数時間」にして修理されてしまうと学習し、饋電[きでん]用変電所(traction substation)を自爆無人機で空襲し始めた。

 ※「饋」は訓読みすると「おく・る」。電車の架線に給電するための電力線のこと。サブステーションは、高電圧を低電圧に変電する施設。

 ロシアの鉄道では、饋電用変電所は、線路に沿って15kmから50kmおきに多数ある。そのすべてを防空アセットで万全にカバーすることなど、とうてい不可能。よって、どの変電所を空爆するかのイニチアチブはウクライナ側に確保され、常に爆破は成功する。



自転車で勝てた戦争があった