室蘭の日本製鋼所がパトリアの8×8装甲車をライセンス生産するという朗報。ついでに砲弾も室蘭で頼むよ。

 Julia Daye 記者による2024-5-7記事「Lost  Air Force satellite orbited Earth undetected for 25 years ―― until now, scientists say」。
    天文物理学者のジョナサン・マクダウエル氏が4-29にXに投稿。「S73-7」衛星を見つけたぞ、と。この衛星は25年間も軌道が分からなくなっていた。

 再発見軌道データは4-25に、米宇宙軍の記録簿に登載された。

 この衛星は「赤外線カリブレーション・バルーン」と呼ばれるもので、径2フィート強。
 1974-4-10に米空軍がピギーバックとして軌道投入した。打ち上げロケットの主ペイロードは、もっと大きな偵察衛星。

 このバルーンは、宇宙で膨らむはずだったが、うまくいかなかったという。
 地上監視部隊は1970年代に一度見失い、ついで1990年代にもまたその軌道を追えなくなった。

 こうした軌道上の人工物をすべて追跡している管轄部隊は、「第18宇宙防衛スコードロン」である。

 マクダウエルの説明によると、このバルーンは素材が金属でないために、レーダーには映り難いのだという。

 無視できない大きさの人工物体はいま、軌道上に2万個以上ある。その中にまぎれてしまっている、たったひとつの特定デブリを再発見できたということは、管理ソフトウェアに何か進歩があったのか? ※これもAIのアシストじゃね?

 宇宙デブリは極力、そのすべてが追跡されていることが望まれる。知らずにいれば、不意の衝突事故を回避しようもないからだ。デブリの周回スピードは、時速1万7500マイル。

 ※5-8に川重が「即応型マルチミッション実証衛星」を防衛省から受注したというネット記事を読んだ。わざとレーダーに捉えられ難い外皮にするんだという。ぜんぜん関係ないが、ロシアや中共が宇宙で核爆発を起してバンアレン帯との相互作用でLEO衛星をすべて使いものにならなくしてしまうというリスクが、例のイーロン・マスクに対する「パールハーバー」脅迫事件いらい、リアリティをもって語られるようになってきたと思う。今回再発見されたバルーンはみずから発光していたわけではないが、それを発見したのは望遠の赤外線センサーだろう(ひょっとして宇宙プラットフォームだったのかもしれないが、仮にとりあえず、地上から見つけたものとしておく)。そこから、こんな可能性を空想する。もし、意図的に、赤外線レーザーパルスを、発光灯台のように下向きに、それも、日本海の中央部のような、周辺400km内に陸地のない海面でのみ、特定のパターンでフラッシュさせるようにしておいたら、そのLEO衛星群は、有事に特定国だけが特定海面で利用ができる「軍用ビーコン」になると思う。コーディファイされていて、特定タイミングで変更もされるフラッシュのパターンを知らない敵国は、それを利用することはできない。また、核爆発のEMPでは、その赤外線レーザーを、妨害することもできない。もちろん衛星の外皮は耐EMP仕様だ。

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 Dylan Malyasov 記者による2024-5-6記事「US Navy looks to buy foreign, used ships」。
   米海軍作戦部長(旧海軍の軍令部総長)のリサ・フランチェッティ提督が、下院の国防委員会で、予算審議に関して証言。いわく。
 即応予備艦隊の輸送船を急いで充実させるため、外国から中古の輸送船を買い付けることを検討していると。
 具体的には「Ro-Ro」船。船齢15年ぐらいなら、1隻6000万ドルで買い集められる。もし新造させると5億ドルも予算をつけねばならない。
 ちなみに軍の輸送船は、船齢30年を耐用限度と考える。いま、米海軍が使っている輸送船は、船齢40年に達しており、ガタガタだ。

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 Michael Liebreich, Lauri Myllyvirta, and Sam Winter-Levy 記者による2024-5-8記事「Why Ukraine Should Keep Striking Russian Oil Refineries」。
   2023年にロシアは、1010万バレルの原油を日産した。その半分は輸出されて、外国の精油所へ。のこり半分は、ロシア国内の製油所へ行った。

 ロシア国内で精製した石油製品は、トルコ、中共、ブラジルを筆頭の買い手として、輸出されている。北鮮にも売られているが、これは国連制裁決議違反である。

 ウクライナがロシア国内の精油工場を無人機で破壊しているのは合理的だ。
 ロシア国内で原油を精製できなくなったロシアには、原油を今以上に多くタンカーで海外へ売るか、原油の採掘をセーブするか、ふたつにひとつしか選択がなくなるからだ。

 原油をダンピング輸出するといっても、大口の買い手は中共、インド、トルコだ。
 そしてこれを続けると、ロシア国内の消費者が買わねばならない石油製品の価格が、じりじりと上昇する。産油国でありながら、燃料費の高騰に苦しまねばならなくなるのだ。

 ロシアが原油の採掘量を絞ると、国内の石油製品価格が上昇するダメージは、もっと急になる。だから国内向け政治を考えると、国策としてそれを選ぶことはできない。原油のダンピング輸出をもっと増やして行くほかに道はない。

 今年の2月いらい、ロシアからの石油製品(ガソリンや軽油など)の輸出量は甚だしく落ち、他方で原油輸出量は増加している。ウクライナの無人機による精油所攻撃は、効いているのだ。

 ロシア政府は、国内のガソリン価格の暴騰をおさえるために、カザフスタンからガソリンを輸入することを迫られている。

 おそらく今後、ロシア政府は、国内市場で売られるガソリンの「質」を下げることを許可するだろう。それで市価上昇は抑制されるが、ロシア人が走らせている乗用車のエンジンにダメージが行くはずだ。

 ※雑報によると露軍はウクライナの発電所を破壊するために、空対地巡航ミサイルの「Kh-101」の400kg弾頭を、800kgに倍増させているという。もともと5000kmもレンジがあるので、その燃料を減らせば、弾頭は増やせるのだ。

 ※EU主導で石炭火発の全廃が急がれているが、これで迷惑しているのが、欧州最大の石炭火発を有するポーランドと、露天掘りの優良大炭鉱があるブルガリア。

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 Defense Express の2024-5-8記事「Ukrainian Warriors Tell About Pros and Cons of American M1A1 SA Abrams Tanks」。
   ウクライナ兵が、米国から貰ったM1戦車に不満な点。「劣化ウラン装甲」が入っていない。なのに、それを補うための爆発反応装甲も附加されていない。

 国産の「ARAT」という爆発反応装甲は、露軍の「コルネット」ATGMのメタルジェットをうまく逸らしてくれるそうである。

 ただし、M1についてきた、徹甲弾の弾芯は、しっかりと、劣化ウランである。

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 Defense Express の2024-5-8記事「France Finds ?Sending SCALP Missiles to Ukraine Four Times Cheaper than Scrapping Them」。
   フランスがウクライナに供与している「SCALP」空対地巡航ミサイルのうち半数は、保管年限の近づいたもので、これをリファービッシュしたり廃棄するコストよりも、無償供与した方が、コストは四分の一で済むのだという。

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 The Maritime Executive の2024-5-8記事「Philippine and US Forces Sink Tanker in S. China Sea Exercise」。
    水曜日、米・豪・比軍が合同で、中国製の廃船の石油製品タンカーを、実艦標的として撃沈した。
 中国政府、憤慨。

 小型タンカーは、フィリピン政府が保有していた『BRP Lake Caliraya』。もともと中国の造船所で建造されたフネだという。

 野砲、「C-Star」「スパイクNLOS」「GBU-38(500ポンド) JDAM」、「APKWS(70㎜)誘導ロケット弾」が次々に命中した。

 C-Starは、韓国製の対艦巡航ミサイルで、ハープーンの後継として開発されたもの。射程が伸びている。

 ※雑報によるとカナダでは税率の変更があり、年に25万ドル以上の稼ぎがあった人のキャピタルゲイン所得税が66%になったと。