
「源氏物語絵巻 第55++ 帖」 /Y.I.画伯, 2026
「兵頭二十八による解説文」
紫式部の『源氏物語』は、第五十四帖を以て話が途切れています。あきらかにストーリーは宙ぶらりんのままです。作家は、どういうつもりだったのでしょう? これについて、私はこう考えています。54帖の時点で物語の世界と一体化しすぎた式部は、肉体の加齢もあり、執稿の速度が、構想生成の速度にまったく追いつかなくなりました。構想は楽しすぎ、書いている間は身体が辛い。それでついに擱筆しましたが、尼の姿の作者の脳内では、話はノリにのって、延々と続きまくっています。とうとう作品世界に完全に没入し、いつしか肉体の滅却後も、物語は生きていて勝手に展開しているのでございました。式部の魂魄が、今も、それを続けさせている。五十四帖が西暦1010年に書かれたと仮定すれば、それから1016年経過していますから、1年に1帖書き足すだけだったとしても、パラレルワールドにてはすでに千七十帖くらいまでもひろがっておりましょうか・・・。
(令和八年正月 兵頭 二十八 識)