わたくしはインターネットに加入する前は「誰もが利用する情報なら地上波TVと同じだ。そんなものはエクスクルージヴな情報の作り手であるオレには必要ない」と思っていました。
しかし函館転居後に加入してみたら、そうでないことが分かりました。
インターネットのたとえばgoogleのキャッシュ機能は、地球上の誰かが過去に書き込んだ(しかしほとんど誰にも読まれもせずに埋もれている膨大な)情報を、かなりの長期間、保存してくれている。これはわたくしがかねがね主張してきました「ストック情報の保存機関」たる理想の図書館の機能を果たしてくれる可能性が将来は有るぞ……と今では思っています。
そこに04-12-15に、興味深い報道がありました。
一館で数百万冊も蔵している英米の古い大学図書館とgoogleとが提携し、著作権切れの古書はすべてデジタル化して検索も閲読も可能にする──というのです。
これは英文字の場合、印刷された活字をスキャナーにかけますと、文字の形を光学的に読み取ってバイト文字に自動変換してくれる(それを後で人間のプルーフ・リーダーが校正する)ソフト&ハードウェアがあるから可能なのだろうと想像します。さもなきゃ網羅的な単語検索などは不可能ですからね。人間が電子的カード(書誌分類データベース)の中にいくつかの内容キーワードとしてついでに入力しておいてくれるサービスならばとっくにあったわけです。
日本では国会図書館と防研と国立公文書館で、戦前の資料を画像取り込みし、それをインターネットで誰でも読めるようにしようという作業が進行中ですが、著作権が切れていることがはっきりしない文献は放置されております。また作業は人手頼みなのに予算が乏しいため、馬鹿にゆっくりしたペースで行なわれております。もちろんバイト文字に変換するのではなく、あくまで1ページまるごとの写真画像です。本文中の単語検索などはできません。
それは、ナナメ読みに適した日本語のデメリット面なので仕方ないんですが、許し難いのは、このせっかくのリモート閲読サービスは24時間アクセス可能ではないんです。深夜・早朝などは使えません。お役所です。まるっきり、研究者の波長と合っておりません。不便だから、したがって普及もしていない、誰も知らないという悪循環であります。悪い店はますます悪くなる。
わたくしも地方在住者としてこのサービスには大いに期待していたのですが、なにしろ甚だしく疲労しますもので、今では利用することを考えないようにしています。残念なことです。