政局はやってくる

 西村真悟議員はなんで自民党ではなく民主党なんかにいるのですか──という誰でも感ずる基本的な質問に、西村事務所のウェブサイトはどうも「ガツン」と一発答えておらぬように見受けます。そのため、全国の隠れ支持者が混乱を覚えている。
 そこでまったくの大きなお世話ですがわたくしがちょっとだけ解説を加えましょう。
 むかし、民社党という中道政党があったんです。支持基盤は、全国の右寄りの労働組合でした。「右寄り」ってことは、反日スタンスをとる共産党や社会党なんかには死んでも忠誠を誓わない。そういう真人間路線の労働組合は今でもあるわけです。
 で、その民社党の委員長で西村栄一さんという代議士がいらした。この次男だか三男だかであったのが、西村真悟氏である、というヒストリーの重みがあるわけなんです。血筋はカリスマを構成する要素です。
 民社党は、概略ですけれども、今の民主党に吸収されています。ですので、真悟議員が自民党に入っちゃったら、栄一氏の遺徳を慕う右寄り組合の間では、真悟議員のカリスマ性が薄れてしまうかもしれないでしょう。
 次に大衆が抱く二番目の大きな疑問は「なんで西村議員は選挙区が堺市なのに、いつも全国区の話ばかりするのですか?」ではないでしょうか。
 裏をかえすと、「今や日本にとって得難い国策リーダーの一人となっている真悟氏には、全国区の問題提起に集中し続けて欲しい。しかるに今の小選挙区制では真悟氏のような代議士キャラの選挙戦は不利であって、公明や自民を向こうにまわしての勝負となっては落選の危険が高すぎる。だから、近いうち自分で首相になる気があるというなら衆議院にこだわるのも仕方ないのだけれども、もしそうでないなら、いっそ、任期6年の参議院から立ってくれ。そうなりゃー全国から票は集まる。楽々と当選できるから、同胞奪回作戦発動や核武装の大仕事に専念して貰えるんじゃ〜」という期待です。
 これなら兵頭は諸手を挙げて賛同いたします。
 ところで、<平成17年7月17日「真悟の会・堺」西村真悟国政報告会>の録音テープがウェブで公開されているのですが、これは今の国会運営の裏話に興味のある向きには必聴の内容になっています。
 この講演の冒頭および最後のところで西村議員は、郵政民営化法案が8月の参議院で否決されれば、自民党は分裂し、総選挙となり、そうなれば、民主党も分裂する、と示唆しています。ばら色の未来、と評せますでしょう。
 これを兵頭の勝手な想像力でさらに大胆にホンヤクしますと、人権擁護法案に反対する正気の自民党議員が造反し、志を同じうする──すなわち旧社会党の売国メンタリティは大嫌いな──民主党議員がそれに投合し、漸く待望の「パトリオットのまっとうな新党」ができあがる。それに、そろそろ知事には飽きてきた石原慎太郎氏が衆議院議員となって加入する……。
 これが現実的であり得るのは、まさに、西村議員が民主党の中に居て、民主党の若い議員を説得しやすい立場にいるからこそ、であるのです。西村議員が自民党員でしたら、こんな新党、現実味も無いわけですよ。