AISは漁船にも搭載しろ

 国際航海する300トン以上の船舶と、国際航海するすべての客船は、2004年から「AIS」の搭載と運用が義務付けられています。(軍艦は対象外です。)
 オートマティカルに船舶をアイデンティファイするこのシステムは、商船のレーダーや、海保の海上交通センター(これは東北、北海道には無い)の監視レーダーを補完する、頼もしい技術です。
 わたくしは沖ノ鳥島に出かけたときに、ブリッヂでこのシステムを見せてもらいました。肉眼では見えない距離で針路が交差しているコンテナ船から、自動的に信号が入ってきて、その船名、船種、位置、速力、針路、目的港などがディスプレイ上に文字表示されるのです。
 ですからこの前、ニュースをにぎわせていました、釧路の漁船に当て逃げをしたイスラエル船籍のコンテナ船の同定などは、おそらく釧路の漁港近くに泊まっている巡視船のブリッヂにおいて、ほぼリアルタイムでAIS情報から容疑船を絞り込むことができたはずだと思われます。
 このAISは、どうも高額なシステムであるためにGPSのように一挙に普及しないようなのですが、日本の漁船にはすべて(低廉な簡易版を開発して)搭載させるべきでしょう。万一、大型船のレーダースクリーン上で見過ごしてしまいそうな背の低い漁船でも、このAISがトランスポンダになりますから、「いちおう見張っていたが、気付けずに衝突した」といった事故は(当直員の本格的居眠りのケース以外は)ほとんど防止できるはずです。
 ヨットやプレジャーボートや遊漁船は外航船からぶつけられるシチュエーションになりにくいと考えられます。まず、漁船にとりつけることです。
 この措置による副次効果は、北鮮のスパイ船が日本漁船に偽装することを不可能にし、シナや台湾の密漁船も巡視船が遠くから見当をつけることができることです。敵味方識別装置のIFFのような機能を果たすわけです。