政治はタイミングがすべて。ここで「ポストNPT」声明できないなら…

 朝起きたら放射能の証拠が出ているかと予期していましたら、まだ何のハードイビデンスも無いようですね。これは「フェイク核実験」の可能性が出てきました。バレれば大恥必至ですが、嘘をついても恥と感じない集団も北東アジアには存在します。
 ご記憶でしょうか? 何年か前、北鮮の鉄道駅で貨車の大爆発がありました。貨車が満載していた原料物質は硝安系の肥料であるといわれたものです。たぶんそれは事実でしょう。そして面白いことに日本の大衆メディアは、これは金正日に対する爆殺プロットではなかろうか、などと「期待」を書き飛ばしていました。
 わたしはその爆発について以前にこのコーナーで、あれはリアルの核実験ができなくて悔しい金正日が、朝満国境で宣伝用のフェイク核実験を命じ、そのために、部下どもは、安価に大量にかきあつめることの容易な肥料/鉱山発破薬原料たる硝酸アンモニウムに着目し、その輸入集積をすすめていた途中で、想定外な爆発事故が起きてしまったのだろうと示唆しておきました。爆発原因が自然のものか、シナの工作員等による人為的なものかは、分かりません。
 フェイク核実験を本物らしく見せかける方法にはどんな技法が考えられるでしょうか。あるいは、大量の硝安爆薬の中に、原子炉生成物を少量混ぜて、それをダーティボムのように大気中に漏出させよう──と考える連中がいるかもしれません。
 ところがこのような方法では世界は欺けないのです。原爆のリアル爆発によってしか生成しない放射性同位元素が、地中から大気中に必ず漏れ出てくるのですが、それが検知できなかったら、これはリアル爆発ではないと判ってしまう。
 このような説明を金正日は当然部下から受けていたはずですので、次には「硝安大発破」と「リアル核実験」の中間の技法に、努力の焦点が移された可能性があるでしょう。
 すなわちプルトニウム240の比率が多すぎる、不適当な原材料をやむをえず使うことにして、フィズル(不完爆・過早飛散)を承知で、リアル核実験の何十分の一かの核反応を実現し、足りない出力(震動)は硝安発破薬の同時爆発で補うことで、世界を欺こうというわるだくみです。
 ところがこれも、地震波の精密な解析ができれば、見破ることはできます。今回、北鮮国境に近いロシア領内に核実験監視用の地震計を設置しておくという着眼が日本に無かったことは、猛省されるべきでしょう。タテワリの役人どもにはこんなことは思いつけないし、思いついても、実行ができません。
 プルトニウム239ではない、プルトニウム240は、強い意志とカネさえあれば、どこの国でも密かに集積することができます。原子炉廃物であるプルトニウム240混合物を多めに使う「フィズル装置」で良いのであれば、どこの国でもすぐに「実験」は可能なのです。それは爆縮すら要しません。シンプルなガンバレル装置で間に合う話です。
 つまり「ウリナラは核武装したニダ」と北鮮政府が公言した時点で、プルトニウム240のフィズル装置によるフェイク核実験ぐらいは日本は予測しなければならなくなりました。
 このような実験は、北鮮ならずとも、世界の大抵の国々ですぐにも可能です。ただし、それを「核武装」とは呼び得ないでしょう。
 むしろ問題は、北鮮政府が数ヵ月前に公然と核武装を世界に宣言したことの方にあります。それがシナ政府の二心ある非協力によって有効に打ち消されず、とうとう10月9日の“実験”を迎えてしまった事実は今後、とても大きな意味を持つでしょう。
 フィズル装置のテストが失敗したにせよ成功したにせよ、その行為によって、朝鮮人は遠い将来の真の核武装のための「経験知」を、いくつか積んだことになります。これは人の脳の中に残る永久資産です。これに対して日本人にはその「経験知」は未だゼロです。
 北鮮そのものには未来はなく、金体制の消滅は時間の問題です。通常兵力による戦争を起こす体力も、もう何年も前からありません。フィズル装置の兵器化も現体制には無理でしょう。しかし朝鮮人の経験知は、体制消滅後の半島に受け継がれるでしょう。朝鮮人のビヘイビアは、こんご百年くらいでは変わらない。だから日本の首相は今日中にNPTに対する批難を公言しなければなりません。政治家は役人と違って百年後を見通して行動できないのなら、存在価値がないでしょう。
 シナ大陸の反近代主義精神と闘う気概のないヘタレの言論人が、北鮮の脅威をフレームアップすることで日本の核武装を世界に説得しようとする軽躁さは、百害あって一利ないので、わたしは過去一貫して事実に人々の注意を喚起しようとしてきました。
 北鮮の“実験”を可能にしたのは、パキスタンの核武装のときと同じく、中共です。中共はNPT加盟国でありながらNPTに二度、繰り返して世界の安全に重大なダメージを与えたことになるでしょう。
 もちろんいうまでもなく、パキスタンが核実験をしたとき、日本政府が中共制裁を呼びかけなかった卑怯が、今日の事態を招いているのです。これは今からでも遅くないので、中共制裁をすぐにはじめるべきでしょう。これを言い出す政治家がいまのところ、一人もいないというのが、あまりにもあさましい。
 反自由主義のマック憲法を小学生から高級官僚/裁判所研修生にまで丸暗記させてきた成果が、今日のありさまを招致しています。自由は、与えられることがあるかもしれないが、与えられ続けることはありえない。ひとびとが戦いながら維持するしかないものです。ところがマック憲法は、日本国民に、自由を戦って維持することを禁じた。戦後憲法の中に、日本をシナの奴隷に導くプログラムがビルトインされていたのです。とっとと廃止しなくては日本の滅びに間に合いません。
 北鮮の「脅威」は皮膚を刺す蚊のようなものにすぎませんが、シナの脅威は、脳の中に入ってくる寄生虫のように致死的です。この「脳を支配する寄生虫」を寄せ付けないために、世界に責任をもつ大国日本は核武装をしなければならないのです。
 どこの国でもすぐにできるフィズル実験を理由に、経済小国が核武装を宣言できるのであれば、世界は無秩序に向うでしょう。世界に責任をもつ大国だけが核武装している状態が、安定した、我慢のできる世界です。無責任な小国がどんどん核武装できるような理屈を、日本人が口にしてはならないのです。
 多くの「保守」評論家が、台湾にも核武装の権利があるだとか、北鮮がその弾道ミサイルに搭載できる核兵器をすでに何発も持っているだとかの、無責任な発言を何年にもわたって繰り返してきました。このような軽躁な煽り屋には、アメリカに日本の「独立」を納得させることはできません。
 1994年に北鮮を爆撃せず、シナに周旋を丸投げする「6カ国協議」でお茶を濁したアメリカの政治エリート層は、いま痛切に反省しています。いまこのタイミングなら、日本がNPTを離脱する予告の要人発言は、アメリカ国内で、うけいれられるでしょう。国際政治のタイミングは、いちど過ぎ去ると、あとから悔やんでも、とりかえすことはできません。
 日本人が自由のために闘う気概を示せないならば、アメリカはこんごもシナに周旋を頼み続けるだけです。それは誰のためになるのか? シナ人じしんや朝鮮人じしんのためにも、ぜんぜんならないでしょう。
 北鮮に資金を与えてきたのは歴代日本の国会議員どもです。次の国政選挙では、敗北主義者たちを全員、落選させましょう。