暖冬季・大船温泉の現況

 国道278号線を、川汲から鹿部町へ向かって北上する。右手が太平洋である。
 短いトンネル(豊崎トンネル)を抜けると、そのあたりは「臼尻」という土地だが、広い左折路がある。そこで左折する。
 もし大船川の橋を渡って「大船小学校」を過ぎてしまったら、行き過ぎ。広い左折道は、一本しかない。
 これは地方道の980号線で、大船川に沿って西へ遡行するが、舗装は山の途中で行き止まっている。(6月から11月の無雪期、オフロード向きの軽4×4を使えば、さらに悪路を辿って三森山の西麓を巻き、トラピスチヌ修道院まで出られるが。)
 なお、私設道標に、「大船」ではなくて「大舟」と書かれているものが認められた。
 この980号線の舗装のほぼどんづまりに「大船温泉・上の湯」がある。ただし、2007-1-5時点では工事中で、営業していない様子だった。
 「上の湯」が工事中ということは、とうぶん278号線から車両の往復は頻繁にあるということであり、980号線の舗装部分は、雪が降ったとしても適時に除雪されるものとおぼしかった。
 上の湯から278号線まで引き返しつつ、左手、つまり大船川の谷底を見ていけば、「大船温泉・下の湯」の建物が見つかる。炭焼き農家のような風情である。
 「下の湯」は2007-1-5の昼の時点で営業中であった。
 この「下の湯」の案内標識や看板等は、途中にも現場にも、皆無であった。
 980号線の途中にある、大きな石切り場の付近に、谷へ降りる細い斜路が2つあるのだ。このうち、上流側の細道を下りなければならない。目印は、金網製のゴミ置き場くらいだ。ものの見事に「下の湯」の看板などは無い。
 ちなみにもうひとつ下流の斜路、まちがった道を下りると、ちょっとした砂防ダムが見え、そこは人工の滝のようになっている。
 正しい斜路を降りると、モータープールがある。そこから歩いて鉄板製の橋を左岸に渡る。渡りながら左手、すなわち上流側の大船川左岸を見ると、樹林の間を濛々と湯煙がただよっている。
 橋を渡ると「下の湯」の住人らしい若い女性が屋内から出てくるので入湯の意志を告げると、大人ひとり¥200-を申し渡される。
 木造の小屋は女湯と男湯に分かれており、引き戸を開けると、8人くらいは入れる、ただし暖房も自販機も無い脱衣場があり、そのすぐ奥が、5人くらい入れる内湯である。トイレはない。
 洗い場になるような板張りのスペースはあるが、カランも鏡もない。洗面器だけが置いてある。要するに、ここは身体を洗う温泉ではなく湯治場だというメッセージと見えた。
 河っ縁だが窓の眺望などもない。天井に明り採りがある。露天風呂はない。青森県の酸ヶ湯温泉のサイズを極小にして、混浴でなくした感じに思えた。
 熱湯は、戸外から引っ張ってきて、木製の樋から細々と落滴供給され、逐次に洗い場へと溢れ出している。調温などはできない。
 酸ヶ湯ほど刺激性はないけれども硫黄臭があり、かなり混濁していて湯槽の底は見えず、熱めであった。短時間で異常に暖まる。
 しかしファミリー連れにはまったくおすすめできない。
 以上、この温泉に関する最新の情報がネットで見つからなかったので、大きなお世話乍ら、リポートした。