チラウラそらだま旬報・1

 「勝手にソーラーライトを愛好する会」の既報の比較テストで、性能は最高であるとおりがみをつけている〈送料込みで5000円の「ソーラーライト マルチムーン」(イエロー)〉は、目下、売り切れになっている。しかも、どうやらその同じ製品と思われるものが、他の複数の通販サイトで、8000円前後の非常な強気の値段設定で売られているようだ。
 じつは、日頃お世話になっている市内のある人から、勝手口用の常夜灯が欲しいといわれたので、ならばこの製品をプレゼントしようかと思って久々に検索してみたら、こんな現況に気が付いた。
 どうも迷ったが、フェアリーガーデンという通販会社が送料抜き税込み3880円と広告している「ソーラーライト マルチムーンイエロー」をとりよせてみた。
 ちなみに、同ウェブサイトの商品説明は、わたしには隔靴掻痒だった。
 というのは、わたしが以前に購入し、「ソーラーボール(黄)」(1000円台)に比較しても発光持続時間が短いという結果が出ている類似品:〈送料抜き3990円の「ソーラーボール グローブライト」(アンバー)〉――ではない、との確信が、同ウェブサイトを見ただけでは、いまいち、持てなかったのだ。
 〈ニッケル水素電池が(1本ではなく)2本入っている〉との一言が広告のスペック表示中に書かれてあれば、それは、過去の比較テストで最高性能と判明している、送料込みで5000円で買った「ソーラーライト マルチムーン」(イエロー)と同じものだと、ダメ押しの断定がほぼできるのだが……その情報は載ってないのである。
 ソーラーライトは外見上の類似品・クリソツ品が多く、しかも通販では通販会社ごとに勝手なまぎらわしい命名をしていいらしいので、ウェブサイトをみただけでは「商品同定」をハッキリさせ難く、しかもユーザー・サイドに情報が足りぬため、一物一価でもない。高くて低性能の商品があり、安くて高性能の製品があるという、博奕のような市場になっている。
 もし、電池1本の低性能品が届いたら、情けない話になるところであった。が、届けられたものは、〈過去のテストで最高得点の、送料込みで5000円だった「ソーラーライト マルチムーン」(イエロー)〉と同じものであった。それが、より安価で手に入った。
 ところで、くだんの〈市内のある人〉のご自宅には、このライトを固定できる木製の台のようなものはない。ポールを別途、調達する必要があった。
 そこで、内径19ミリのステンレスの細長いパイプを、DIYショップで数百円で調達した。これを地面に垂直に差し込んだ。その上端口に、あらかじめ「マルチムーン」付属のABS製の杭をねじこんでおいた球体をスポリとはめこみ(ゆるく嵌合する)、接着剤で固定した。一丁あがりだ。
 この製品は発電性能がとてもよいから、ことさらに太陽方向に向けなくとも大丈夫だろう。また冬の積雪については、オーナーに心配してもらうしかない。研究心のない普通のユーザーに細かすぎる注意を与えることは適当ではないのである。
 固定台といえば、別な話も……。
 付属の梱包剤である透明ブリスターを、木柵上の台座代わりにしておいた初代「ソーラーボール(黄)」であったが、紫外線と強風のために、ネジを貫通させた箇所からヒビが入り、ついにブリスターが裂けるように割れて吹っ飛んでしまった。
 そこで百円ショップに行った。
 調達したのは、白いプラスチックのメッシュ状の円筒状の鉛筆立てと、透明のプラスチック製で、底板を分離することのできる「箸立て」。
 それぞれ接着剤で、(黄)と(マルチカラー)を載せてみたところ、接着具合は強固で、耐候性がある。
 メッシュ状鉛筆立ては、2本の木ネジを斜めにさして、木柵上にネジ止めすることができる。箸立ては、底板のセンターに1本の木ネジを打ち込めばよい。
 箸立ての上で変色するマルチカラーのソーラーボールを夜間の庭で眺めていると、地上核実験のように見える。またつまらぬ発見をしてしまった。
 わたしは、ソーラーボール(黄)を現在、2個光らせているが、そのどちらにも、アクリル球体の内部に結露が生じ、少しづつ水が溜まってくるという、よくない現象が観察されている。冬はこの現象は目立たなかったけれども、春になったら、昂進してきた。
 たぶんは、球体の合わせ目のどこかに微細な隙間があって、好天の昼間と冷涼な夜間の日較差で、内部の空気が膨張&収縮し、そのさいに外部との空気の出入りがあるのだと想像される。
 回路部は内部でさらにプラスチックによって密封されているようなので、結露や水溜りが点灯の動作に問題を及ぼすことはなさそうである。が、球体が曇りガラスのようになってしまう。
 現在、錐で下方にピンホールを1つ開けて排水を試みている。もちろん、これで結露をなくすことなどはできない。また、この小孔を開けたことにより、そこから虫が入ってしまうなどの別な問題も生ずるかもしれぬ。また、続きをリポートしたい。
 なお、興味深いことに、同じオーム電機製でも、マルチカラーに自動的に変色するソーラーボールの方は、この内部結露が生じない。おそらくはアセンブルのラインが別で、造りがより丁寧であり、密閉も良好なのだろう。販価は、ソーラーボール(黄)と同じなのだが……。
 おしまいに、宣伝。
 アメリカ政府がエタノールをどんどん買おうというので新大陸では畑の作付け品に激変があり、これにともなって柑橘市場などは混乱している。例によってこのブームに触発されて、「日本の農業を救え」とかいう農本主義の素人提案が続出するだろうと思われるが、日本の現代史は、「日本の内地での農業にこだわる者は馬鹿を見続ける」という教訓に満ちている。名物農相が現役時代にどんな提案をなしえたか、ふりかえってみるといい。
 農本主義がなぜ日本においては間違いなのか、一からじっくりと勉強してみたい人には、ぜひ有料の「読書余論」の購読を、おすすめする。