レノンに腕押し

 「なっちゃんReRa」がファースト・シーズンでいきなり航路廃止になると聞きました。
 言っちゃ悪いが、あのHPでは仕方無いなと思った。
 兎にかく、肝心な情報がちっとも取れないんだから。(これは函館の他の観光施設のHPも同様です。)
 たとえば、出航時刻の何分前(または何十分前)に埠頭のどこに車をつけたらいいのか? そういう、外来利用者にはいちばん心配になることが、HPのどこを探しても、書いてないわけです。(けっきょく、電話で訊ねるしかありませんでした。だったら、古い旅館みたいに、予約手続き一切が電話口で済むようにしてくれよ!)
 また、〈車1台に4人が乗って乗船する場合に割引になる〉という予約申し込み者特典が夏休み前まであったんですが、その4人の中に乳幼児が1人とか2人混ざっていても、普通に4人分にカウントしてくれるのかどうか、いくら見ても分からない。書いてないのです。(船内座席の申し込み画面で2歳児の年齢を入力すると、その名前の入力がはねられてしまう。つまり乳幼児は手荷物扱いになっているのです。とすれば割引の適用も……? と不安になるでしょう。)
 イチゲンで利用する客が何を不安に思うか、それについての想像力が一向に働いていないようでした。わたしが10年前に『ヤーボー丼』で指摘せねばならなかった、日本語でマニュアルを書く能力は、ここでは依然として、自省されていないように見えた。
 乗船予約のときに、車検証書に基づいて、自動車の3サイズだとか、面倒な入力をしなければならないのですけれども、そもそも3サイズに上限のある軽自動車に、そんなの必要? ナンバーの申告だけでじゅうぶんなはずだ。もし国交省の規制でそういうシキタリになっているのだとしたら、これも官製不況です。
 あたかもローカル鉄道の駅でも利用するような感覚で、通りすがりや思いつきでフラリと利用できるようになっていなかったら、既存のフェリー航路が新しい利用者を発掘することは至難だった。そんな予想が、3年前に船を建造しようというときに、できなかったようです。
 たとえば、デスクトップPCからの、面倒で時間のかかる入力(および、予約暗号の印刷出力!)を前提とするのではなく、あくまで電話からイージーに予約できるようにするべきだったでしょう。コンビニ等で料金を前納するまでは、その予約はフィックス/コンファームされないのですから、電話予約でも何の問題もありはしますまい。構造不況の業界の側で楽して儲けようとしたら、もう営業は失敗が約束されていたでしょう。
 ところで余談なんだがなぜ函館市の産業道路沿いにやたらに新しい巨大大型電器店が建つのだろう? 高松城攻めの一夜城のようにケーズデンキの新店舗が立ち上がってきたし、テックランドは規模が当初計画よりおとなしくなったみたいだとはいえ市内最大規模でしょ。過当競争が辛くない業界なんて、無いはずなんだが……。JRの五稜郭駅前も、巨大電器店が2店向かい合ってすごいことになっています……。もしかして銀行は、サブプライムの余波で、貸せるところが少なくなっちゃっていて、何らかの安全基準の判断の上に、電器の巨大小売店に対して集中豪雨式に貸し込むことに決めているのだろうか? だとしたら、これも将来の反動が怖いですね。
 確かに石油高でクルマが売れなくなっているらしいので、もう今後の消費は地デジ頼みの電器くらいしかないっ――と銀行でも見ているのかもしれません。地デジがコケれば、すぐにインターネットでテレビニュースを視る時代に変わるでしょうしね。
 そしてそれと前後して、「電気的に旅行する」時代になるでしょう。客が、旅行代理店で、従来のツアコンではなくて、「動画リポーター」を一人雇う。そのLIVEの動画を、客は、巨大液晶モニターで鑑賞するわけです。