ロストブラッド氏の貧血報告

 わたしの著述の長年の愛読者であるらしい金○○氏が最後の頑張りを見せているようだ。
 地面に深い穴を斜めに掘り、そこに水を満たし、底部で原爆を炸裂させると、水鉄砲の力により、重い物体を軌道上に打ち上げることができるという。これは Thunder Well 理論といい、1991年の小説『臨界のパラドックス』に紹介されている(なお、この小説じたいは、とてつもなくつまらない)。
 この方法なら、日本軍の巡航ミサイル(その誘導はどうする気だよ? 準天頂衛星で日本独自のGPSを構成しなきゃ、満鮮国境山地の低空飛行中に精密な座標が取れないじゃない。詳しくは『正論』7月号でも見てくれ)が事前に策源地(あのさー、これってがんらいBaseの和訳でしょ。明治初期に策源と訳していたのに昭和の軍人は国語力がないから余計な地を加えんと意味がとれんようになった。だったら「基地」でいいじゃんという話だがあえて策源なんて古語を持ち出してるのは“テリトリー”と英訳させたい底意? もう姑息なダブル・ワーディングはやめようよ。ますます外国から信用されなくなるだけだからさ)を攻撃しようとしたところで屁でもなかろうしエアボンレーザーで邀撃される畏れもない。サイロ式固体ロケットのように無兆候で奇襲的な発射も可能だね。
 重さ4.5トンくらいある初歩的原爆モドキを、飛行機によらずに日本列島まで投射することができる手段としては、今の北鮮にはこれ以外にないだろ。逆にいうと、この方式を採用したことが立証されないうちは、北鮮は「核投射能力」のある核武装国ではない。「核地雷」の実験国にすぎません。