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 2月のグァム島のコープノース演習で築城のF-2が米空軍のF-22と異機種対戦闘機戦闘訓練をやってきますたという体験談が最新の『朝雲』(2009-6-11号)に載っていて、「私自身、戦果はともかくF22を相手に“空自ここにあり!”の心意気を十分に示せたことは、貴重な経験とともによい自信にもなりました」などと書いてありました。
 なんてことだ! これじゃ米国指導者はF-22を英国以外のどの外国にも売るべきではないと判断するのが当然ではないか――と思いました。(もちろん英国はF-22を欲しがりません。国連安全保障理事会の常任理事国として世界に威張れるための外見的な資格のひとつとして、「自前で核武装していること」の他に、「エンジンまで純国産の主力戦闘機をもっていること」もあると英国人やフランス人は思っているからです。シナ人もこのことはしっかり分かっています。日本の政治家にこれを理解するセンスが備わらないうちは、P5入りなどとうてい無理です。外務省の温室官僚と日本の馬鹿マニアには、このセンスの受容体がどうも無いんですよね。リアルな国際政治はこういうダンディズムの意地の上に成立しているってことが……。三菱重工はたぶん分かってますが、彼らのポリシーはサイレンスです。)
 現代の航空作戦は「空中管制機」や「ジャマー専用機」と戦闘機がチームで行なうものでしょう。米軍の空中管制機や給油機等にとって、自国の虎の子のF-22と識別しづらい同盟国の飛行機が空中に存在するのは、ハタ迷惑でしょう。空自が米軍機をよそおって半島勢力その他とトラブルになったときも、米国務省は困っちゃうでしょ。
 米国が韓国に300kmSSMをもたせたり、スペインに戦術クルーズ・ミサイルを持たせるときは、「二重キー」を確保するはずです。ミサイルだと「二重キー」をかんたんにつけられる。有人飛行機だとそうはいきません。だから米国がF-16を中進国に売るときはホントに慎重ですよ。重い旧式原爆を余裕で運搬できますのでね。
 日本が米国から対地巡航ミサイルを買えば、やはり「二重キー」をつけられてしまいます。自民党議員はそれが分かっているのだろうか? イージスの場合「リンク16」が二重キーそのものです。
 だから韓国も国産SSMにこだわっている。米国はその射程が180kmを越えるのを阻止しようとしています。おそらく日本がM-Vを廃止していちばん喜んだのがシナ(と米国内の親支派)でしょう。まさかF-2の調達中止も、シナの工作だった……ってことはないでしょうね?
 ところで、AFPが、サウジアラビアが英国製のユーロファイター・タイフーンを2機、6-11に引き渡された、と 6-12に報じています。
 サウジはこれを72機注文していて、その代価の 20 billion pounds (=$32.9 billion) の中に、兵装と長期間サービスも含まれている、と。
 この正式契約が2007-9だったってんですから、2年弱で納入開始ですかい。
 この最初の24機は完成機で売り、残りの48機はサウジ内でノックダウンですと。いったいサウジは誰を相手に戦っているのかといえば、宗派が微妙に異なるイランです。イランは(また青年革命が起きたとしても関係なく)間違いなく核武装するでしょう。それをサウジに潰させようと英国は考えているのか?
 AFPによれば、サウジは米国にF-16を売れと要求中であると。タイフーンの他にF-16を求めるというのは、これは「イラン爆撃機」が欲しいからでしょう。
 ところでゲイツ氏はF-16の退役を早めるつもりだと発表していましたが、生産はまだ続くんですか? サウジが新品を買えるのなら、空自もそれを純国産無人機完成までのつなぎとして買ったらどうですか? スクランブルは戦闘機だけでやるもんじゃないし、これからは対支エアレイドもやってやるぞという強い意思表示にはなるでしょう。性能の劣ったところは、自前でできる周辺システムの増強で補うことです。タンカーしかり、ジャマーしかり、OTHレーダーしかり。
 たとえば下地島飛行場を空自(それもF-2)用に利用するという政治決定を下すだけで、F-22を買ったのと同じくらいの対支威圧効果があるんじゃないですか。ここを考えるのが政治でしょう。
 頭に孫悟空のタガの嵌った武器ヲタみたいな議論をいつまでも展開してちゃ、日本の救いはないですよ。
 北鮮が7月30日以前に大気圏内核実験をすれば、久々にEMPを計測できるでしょう。MDシステムなんて、わざとコースをずらせた超高空のEMP一発で無効化されますぜ。それと、あえて直撃を狙わない水中核爆発による対艦隊攻撃は、『長門』実験いらい、世界の海軍が検討している戦法です。主要航空基地が核攻撃を受けたとき、F-22とF-16と、どちらがよく生き残れるか。リアルワールドで真に頼りになるのは何なのか、これはよく考えるチャンスになるでしょう。
 米国籍ジャーナリストの裁判が、〔フェイクの?〕核実験と連動している様子を見れば、さいきんの動きが(日本のワンパターン・ジャーナリストが大好きな)「軍の暴走」のわけがない。外交宣伝上の言葉遣いだって絶妙でしょ。国家指導部の打つ手が立派にオーケストレイトされている。「日本の戦前政治と一緒にするな」という声が聞こえてきそうです。