見破る力

 ローエンフォーサーが読む某雑誌にこんな話が寄稿されていました。
 ジム・シュナーベル著『サイキック・スパイ』と、ジョー・マクモニーグル著『FBI超能力捜査官』〔いずれも小生は未読〕を典拠としているそうなのだが……。
 いわく。
 ――ジョー・マクモニーグルなる1946年生まれの米国人は1970にドイツ南部の電波諜報部隊にいたときソ連の手の者から毒を盛られて臨死を体験。いらい、超能力者に生まれ変わり、すぐにアメリカ陸軍の情報保安司令部に見出されて、ソ連指導者の頭の中を読んだり、最新兵器を透視することになった――。
 これ、信じる人いますかい?
 こういう仮説が成り立つと思いました。
 有能なスパイの存在や、圧倒的に敵よりも優れた新機能を備えた衛星や盗聴装備の実力を、敵に対して隠蔽しておくために、「じつはウチには超能力者がいてね。これ、ひみつですけどね、エッヘッヘ……」とディスインフォメーションかましておく。
 愚かな敵は、『そうか、敵は千里眼透視術者を擁していて、それでこの前の戦略兵器軍縮交渉では、こちらが押され気味になっちまったんだな』と勝手に妄想してくれ、『ならばこっちも超能力者を育てようや』と無益で実らない努力への投資を誘導される。我が方のエスピオナージ戦力の配置は何年もバレないで、貴重な情報を吸い上げ続ける……。