幸福実現党の《リッチな》ビラが来た。

 ウェブ上の噂は読んでいましたが、現物を初めて見ました。
 宅配されたビラは、B5サイズ、両面カラー印刷で、表面に、大川きょう子党首のバストショット、右側に2行タテ書きゴナ書体で「北朝鮮のミサイルから、この国と国民の未来を守ります。」とあり、左側には2行タテ書きゴナ書体で「消費税・相続税を全廃します。」とあるものです。
 表面の下半分には13行横書きで「自民党は深刻な経済不況の中、~《中略》~だからこそ、第一党を目指します。」と見えます。
 裏面はぜんぶ横組みで、いろいろ具体的に自民党および民主党との違いを訴えています。
 読んで興味深く思いました。このビラで書かれている「幸福実現党」の主張について、何点か、評論しましょう。
 「危機を前に無策の自民党政権は、黒船に右往左往した幕末の江戸幕府そのものです」(裏面、ファイン活字)
 この2行はイイですね。喝采です。でも江戸幕府ってのは、今の自民党と官庁の官僚をぜんぶ合わせた政権だったんですよ。そしてまた、今無策なのは自民党だけじゃないですよね。
 「不況下に増税を予告すれば、消費は冷え込み、経済はガタガタになります。」
 消費税を12%に上げようとしている自民党への批難は正しいと思うんですが、幸福実現党の不況対策も、とりとめがないですね。「消費景気を起こし、経済を成長させます」(裏面)というのですが、贈与税、相続税、消費税の全廃、金融緩和、証券優遇税制だけで景気がよくなるとは思えません。
 兵頭ならば次のように提案します。まず財務省が問題としているのは社会保障費なんだから、「福祉力役」による国民年金保険料の納付を認める。これでヒキコモリ&プータローが介護戦力になるので一石二鳥でしょう。彼らの社会性のなさは、介護の主力をロボットにすることで解消されるでしょう。つまりロボットの運び屋をやらせるのです。消費税が5%になったときから日本経済はおかしくなりました。だから3%に戻します。そして韓国式の厳密な帳票制度を義務付け、脱税や益税を不可能にします。これにより食料品への適用を外すことも可能になる。他方で、国民総背番号制を導入して、個人所得税の累進度をキツくします。以上で税制に起因するモラルハザードは解消されるでしょう。景気刺激策は、「ハイテク軍備一点かけながし」の財政出動を採用します。目的は、無数のベンチャーに優れたロボットをつくらせることです。ロボットがすべてを解決するでしょう。そのベンチャーが日本の経済的軍事的競争力を復活させます。じつは日本は今まさに、ロボット2流国になろうとしている崖っぷちなんです。「生活互助会」化している日本の縦割り利権官僚機構には、この頽勢を挽回する構想は描けません。ロボット技術で米国に逆転勝ちするためには、「ハイテク軍備一点かけながし」しかないでしょう。防衛省以外に余計な予算を与えていたら、せっかくの税金が、天下り公務員たちの老後保障に消えてしまうだけです。(たとえばNASDAのやっていることは国民の福祉と何の関係もない遊びです。)
 「3億人に向けての人口増大策をと」る。
 これはいただけませんね。人類の歴史は、個人の自由が増進する歴史です。このごろ日本の人口が減っているのは、個人の自由が増進している事象とまさに併進の現象。基本的に良いことなのですよ。それが他方で国民の老後の不安をかきたてているとしたら、問題は人口の絶対数ではなく、人口構成の変化が早すぎることや、住宅政策、都市政策が老人本位になっていないことにあると考えるべきです。そのギャップを、ロボットや都市住宅関係法規の改革で緩和すべきなのに、その政策を考えられる政党も官庁もないのです。黄金時代の都市国家アテネの人口は30万人でした。ロボットが国民の幸福に関するすべてを解決します。おそらく10年後には自動車そのものも一種のロボットになっているでしょう。3億台のロボットを作りなさい。
 「世界中にリニアを走らせ、「交通革命」を起こします」「ユーラシア大陸一周リニア鉄道で、世界を結ぶ構想を推進します」「日本の都市もリニアで結び、一体化します」
 なんでユーラシア? まさか日韓トンネルを掘れとか言い出すんじゃないの? そういえば竹島のことも、このパンフレットには書いてないような…。
 「ロシアとの協商関係を目指す」
 めざさんでいい。宗谷海峡トンネルを掘れとか言うのですか。ほかに優先すべき事業がいくらでもありますよ。
 「日本の主要都市にミサイルを向けている中国や、核ミサイル開発を進める北朝鮮に対し、原子力潜水艦や人工衛星から防衛できる抑止力を築きます」
 モノじゃないんだよね、防衛問題は、まず。人、特に公務員に勇気がなくなっているのが根幹の問題です。その疫病の根源はマック偽憲法です。ですから、
 「憲法9条を改正し、国の防衛権を定めます」
 と主張しているのには反対じゃないんだが、その改正手続きをする前には一体どうしようっていうのかな? どこかノンビリしている。
 シナ発の間接侵略はもう猶予のできない段階に来ているという認識がこの政党にも無いようです。北鮮の核ミサイルなんて0.4キロトンですよ。抽出プルトニウム全部使っても数十個分。ちなみに0.4キロトンは、焼夷弾6トンを積んで1945-3-9夜に飛来したB-29の67機分(東京大空襲の全投下機は279機だった)。9.11にペンタゴンに突っ込んだB757は、機体自重が58トン、残燃料20.5トンで、ほぼTNT400トン相当ともいう。それで小破ですよ。湾岸戦争でスカッド×40発打ちこまれたイスラエルで、爆発で死んだのはビル直撃くらってビルが崩れて死んだ2人だけ。日本のビルは耐震構造なので崩れない。それにノドンは東京に届かない可能性すらあるのだ。1000km以上の射程で弾頭の原爆がちゃんと炸裂するかどうか、北鮮は一度も証明していません。失敗率や不発率が高いのが世界にバレるのを恐れて、試射を自制しているのだ。
 大した脅威じゃないのに大した脅威のように騒ぐのは、すでに間接侵略勢力の術中にはまってるんですよ。
 国民の国防の義務を憲法典で明文化する、と長期目標を謳っておいて、短期的には、国家叛逆罪新法をつくり、全公務員に適用する、という主張をして欲しいですな。決して間接侵略の手先(トロージャンホース)でないことをあかし立てるためにもね。