そのバスには乗り遅れろ!

 オーストラリアのラジオ放送が僻地同胞のために短波の英語ニュースを送信しているのは、外交戦略というより国土事情からの当然の措置だろうと思われるが、北京放送の海外向け英語報道の努力はおそるべきものだ。24時間、必ずどこかの周波数で北京発の英語版宣伝放送が聴取できるようにしている。
 太平洋地域向けのVOAはこれと勝負する気がまったく無いようだ。放送を止めている時間帯がある。また出力をケチケチしているせいか、他のノイズに負けて、感度も明度も悪い。
 BBCの東アジア向け放送が唯一、24時間体制をとっていて、極東の電波空間において北京のライバルだと言えるが、サイマルで送出している周波数の数が北京放送より少ない。(つまり、その日の電界状況により全部が聴こえにくくなってしまう確率がそれだけ高い。サイマルの少なさと出力の小ささは、端的に動員予算の困窮度の関数であろう。)また、送信所の位置の差のせいなのか、しばしば、感度・明度で北京放送の最良の周波数に負けている。
 こんなことになっているとは、新調短波受信機の性能限界を試みるまで、迂闊にも気づかずに過ごしていた。
 おそらくオーストラリア人は、この北京発の、大出力ゆえにヤケに近くに聞こえる英語版短波放送に、すっかり魅入られてしまったに違いない。
 なにしろ米国の属国でしかない日本のNHKの国際放送などとは、報道し得る内容がぜんぜん違う。シナ人がアメリカ人とだけ張り合い、ロシアやインドなど歯牙にもかけず、全世界の経営に関わっていることを、ニュースの読み上げによって印象づけることは簡単なのだ。オーストラリア人は、この英語ラジオ報道上のシナ人の国際プレゼンスを無視していることはどうしてもできないと思ったのだ。
 平壌もけなげに英語放送の努力を払っている。時間帯とサイマル周波数の多さは、すくなくもタイやベトナムの対外放送よりは多額の予算をはたいていることを間違いなく示しているが(予算に余裕さえあらば北京放送並の24時間シフトを組みたいのであろうことも想像に難くないが)、いかんせん、あの金正日宣伝を英文化すると、ほとんど精神病の放送局としか聴こえないのだ。英語圏住民に対するPR力は、ゼロだろう。原稿書きの労力、アナウンサーの才能も含め、せっかくの国家資源をドブに捨ててるようなもの。おなじ平壌発でも日本向け日本語放送の方がまだ正常に聞こえる。
 意外だったのは、韓国の国際英語放送のショボさ。時間帯も限られ、サイマルも少ない。出力も低い。内容には、北鮮を含む他国と張り合おうという目的意志のようなものが感じられない。下手な発音でお国自慢をしても英語圏に対しては逆効果だと悟っているのか?
 さて夕方の三沢のAFNの聴こえ方だが、函館では、15:45くらいから、17時頃まで聴こえ、その後しばらく混信で聴こえないが、なぜか22時台前半頃に、また聴こえることを確かめた。ラジオは、ICF-EX5で、外部アンテナなどはつながずに、だ。
 夕方の横田のAFNは、同じくICF-EX5で、17:00前後から聴くことができるものの、17:43にはもう聴こえなくなってしまう。19時頃には、また聴こえるようになるが、それから徐々に混信がひどくなって聴き続けられなくなる。
 DE1103でまた気づいたこと。フリーズしてリセットをかけても、いちど入力してある周波数メモリは不揮発である。(もちろん、全消去も可能。)
 もうひとつ。シナ製のニッケル水素電池は定格が1.25ボルト。日本製電池の規格は1.2ボルト。この違いは何? 電圧が不安定なので規格に「余裕係数」の下駄を履かす必要があるのか?
 1.25ボルトを4本直列につなぐと、5ボルトになるはずだろう。ところがラジオの裏面には〈4本の単三電池で8.0V〉と表記してある。どういうこっちゃねん?
 附属の英文オペレーションマニュアルにも、〈外部電源はDC8V〉だと書いてある。しかるに、輸入業者で附けてくれている日本国内用アダプターは6V。
 この辺りがどうにも不安であるので、電池は日本製のニッケル水素電池(パナソニックHHR-3XPS、2400ミリアンペア)にして、パナソニックの充電器を別に買ってきて充電しつつ使うことにした。いまのところそれで何の問題もない。