「読書余論」 2009年10月25日配信号 の 内容予告

▼伊呂波会『伊号潜水艦訪欧記』2006
 日本海軍は、対艦用のロケット加速爆弾の実物資料を要求していたのではないかと思われるのだが、本書によって、それは結局届かなかったと察することができる。
 ドイツは戦時中、空襲警戒警報と同時に中波を停止していた。中波ラジオ局は、まさに敵爆撃機にとってのビーコンになってしまうのだ。※現代の敵国は日本を巡航ミサイルで攻撃するのにGPSもマップデータも必要とはしまい。東京タワーのMW周波数とVHF周波数にホーミングさせれば良いだけだ。
▼マックス・ウェーバー『都市の類型学』世良晃志郎tr.、S39
 アジアにおいては、非血縁盟約をさまたげる血縁が強く、産業同盟たる市民は生まれなかった。同じ事情から、キリスト教も不可能であった。
▼レーリヒ『中世ヨーロッパ都市と市民文化』原1964、魚住&小倉tr.S53
 ドイツの都市民主主義は、分権化からけっきょく広域防禦力の弱体化を招いて、三十年間、すべての周辺国の傭兵隊が好き放題荒らしまくり、トドメをさされたのである。〔日本もこの道を辿るのかな? 近畿地方かなりヤバイよ。〕
▼藤田弘夫『都市と権力』1991
▼原田伴彦『都市発達史研究』1984
▼季亜農『中国の奴隷制と封建制』中村篤二郎tr.S31、原1954
▼堀敏一『中国古代の身分制――良と賤』1987
▼長坂金雄ed.『美談日本史 第四巻 産業美談』S15
▼『美談日本史 第八巻 復讐美談』S16
▼『美談日本史 第十一巻 武芸美談』
▼伊藤貞夫『古典期アテネの政治と社会』1982
▼『戦記名著集 vol.11 日露観戦記 弾痕抄』S5
 所収の「弾痕抄 露軍の内幕」。独の戦時通信記者マックス・ベールマン著、斉藤鉄太郎tr.、1904-8-20。
▼中村賢二郎ed.『都市の社会史』1983
▼リクワート『〈まち〉のイデア』前川道郎tr.、1991、原1976
▼高柳俊一『都市の思想史』S50
 ベーコンいわく、「国家については実験をしない方がいい」。
▼藤田幸一郎『都市と市民社会』1998
▼谷和雄ed.『西洋都市の発達』S40
▼原田伴彦『中世における都市の発達』S17-10
▼アンリ・ピレンヌ『中世都市論』佐々木克巳tr.、1988、原19世紀
▼ハンス・プラーニッツ『中世ドイツの自治都市』林毅tr.、S58、原1944
▼ブラウンフェルス著、日高健一郎tr.『西洋の都市――その歴史と類型』1986、原1976
▼宮下孝吉『西洋中世都市発達の諸問題』S34
▼瀬原義生『ヨーロッパ中世都市の発達』1993
▼Milo Roy Maltbie著『都市発達論』M35、杉山重義ed.
▼上田正昭ed.『日本古代文化の探究・都城』S51
▼桐生政夫『都市住宅の防空防火戦術』S18-3
▼東京都総務局基地返還対策室『都内基地のあらまし』1975-12
 戦前は立川飛行場がいちばんよく整備されていたのだが、戦後、ジェット化と大型輸送機の登場でどうにも狭くなってしまい……。
▼津田素彦『射的術』M32-11
▼足立栗園『武士道発達史』M34-6
▼『國文学 解釈と教材の研究』1987-10月号所収、桑原三郎「立川文庫と少年講談の冒険譚の主題――『宮本武蔵』論」
▼『法政大学教養部紀要 人文科学編』1991-2所収、大東俊一「九鬼周造と武士道」
▼森銑三『宮本武蔵言行録』S15-2
▼石田外茂一『宮本武蔵五輪書詳解』S18-6
▼日本文化研究会ed.『日本精神研究 第四輯 武士道精神』S10-1
▼坂本辰之助『日本外戦史 附・兵器考』S10-5
▼竹本尉『日本の弓箭』S17-8
▼江口卯吉『銃剣術』S17-2
▼瓜生喬『江戸時代の武士』M33-11
▼秋山梧庵ed.『武士道叢書』M38-12
▼高橋富雄『武士道の歴史 2』S61
▼高橋富雄『武士道の歴史 3』S61-5
▼小瀧淳『武士道逸話』S15-10
▼高木武『太平記と武士道 日本精神叢書 第42』S13-11
▼『明治文学全集8 福沢諭吉全集』筑摩書房S41
 所収の「明治十年 丁丑公論」と「痩我慢の説」について。
▼渡辺世祐・八代国治『武蔵武士』大2初版、S62repr.
▼西鶴「武道伝来記」、谷脇理史校注『新日本古典文学大系77』所収
▼飛田茂雄『アメリカ合衆国憲法を英文で読む』1998
▼永積安明・島田勇雄校注「古今著聞集」『日本古典文学体系84』1996所収
 弓箭関係の説話について。
▼竹村英輔『グラムシの思想』1975-6
 グラムシは公務員なんか全部かたづけろと叫んでいたのに、日本の共産主義者は大概が公務員だもんだから、その話をスルーし、矛先を天皇制に向け変えているのだと察することのできる本。
▼小倉卯之助『暴風の島――新南群島発見記』S15-12
 戦前は「南沙」などと呼んでなかった。ちなみに著者は『初瀬』が触雷沈没したときそこに乗組んでいたという、貴重な生き証人である。
▼中 正夫『航空の書』S19-4
 本書は、イタリアの自殺飛行隊「デスペレータ」についてレイテ戦以前に紹介していた日本語文献のひとつ。ただし日本人の紹介者は、1940の「イ・ディスペラティ」と、1935~36の「ラ・ディスペラータ」とを混同していたのではないかと兵頭は思うようになった。それについて詳しく述べよう。
▼田尻昌次『元寇』S3
 武器に詳しい。
▼布施秀治『上杉謙信傳』大6
▼柴田眞三朗『航空部隊』S18-10
 著者は陸軍浜松航空隊の草分けの爆撃教官だがS18-5に急死。
 本書には、昭和4~5年に、浜松陸軍飛行学校の教官たちが、「五機一艦相撃[あいうち]主義」の航空必死隊をとなえた――という興味深い証言が……!
 それが本当なら陸海軍を通じても最も早い特攻隊の発案。もちろんイタリア人よりも早い。
 S18前半にすでに離陸時から自爆覚悟で爆弾の風車安全装置を外し、実際に敵艦に突入している飛行機があるのだという見解披露。
 特攻史研究者ならば、この資料は必読。
▼『東京・横田基地』1986
 1970前後の東京からの核の傘撤去に関する米支密約について推理するためには、米空軍の核攻撃機F-105Dおよびその後継F-4部隊の移駐の跡を辿る必要があるだろう。
▼東京都昭島市pub.『基地とあきしま』S47-3
 これもヨコタの話。
▼『続 基地とあきしま』S50-3
 ◆  ◆  ◆
 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。(配信されるファイルはPDFスタイルです。)
 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。
 大きな図書館に毎日通えない人も、最低費用で、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。
 「読書余論」は、毎月25日に「武道通信」から最新号が配信されます。1号分の購読料は200円です。
 バックナンバーも1号分が200円で、1号分のみでも講読ができます。
 2008年6月25日号以前のバックナンバーのコンテンツは、配信元の「武道通信」のウェブサイト
http://www.budotusin.net
 の「告知板」をスクロールすれば、確認ができます。
 ウェブサイトでわからない詳細なお問い合わせは、(有)杉山穎男事務所
sugiyama@budotusin.net
 へどうぞ。