対人用ミニチュア・ミサイルへの一里塚

 David A. Fulghum 氏による「New Weapons Look And Act Strangely」という09-9-30の記事。
 サーモバリック・ヘルファイア!
 すなわち成形炸薬ではなく、固体炸薬と気体爆薬を組み合せ、燃焼速度を抑え、ヘルファイアが貫通した後の密閉空間内の殺傷力を増す。
 チャイナレイクでは、分子の格子状配列をカスタムしてしまうことにより、緩燃で爆発の持続時間が長く、しかもピーク圧力が高いサーモバリック炸薬も追究中。
 コラテラル被害のない誘導爆弾も、チャイナレイクで開発中。
 500ポンド爆弾でSUV×1台を吹っ飛ばして、その周りへは無影響とする。
 旧来の、弾頭と弾底に2ヶのフューズをつけるかわりに、弾長に沿った紐状の信管をとりつける。そして爆弾のどの部分が先に着地したかによって瞬時に最適の起爆を引き起こすようにすればコラテラルは減らせる。
 やはり Fulghum 氏による「/China Lake Naval Air Warfare Center」という09-9-30の記事。
 陸軍の新製品。汎用のミニ・ミサイル「スパイク」はたった2フィート。重さ5.5ポンド。
 歩兵がこれを発射するときは、バックブラストは考えないで良い。初速は時速100マイルで、ゆっくり。
 スパイクの構成は、2.25インチ径の量産品のロケット弾の先に、チープなハンディカムをとりつけたようなもの。
 燃焼時間は1.5秒。それでマッハ 0.85 まで加速され、惰性で3.2km飛翔し、終速は600マイル/時くらいである。
 地対空モードでは、たった1秒で発射準備完了。標的が30フィート以上離れていさえすれば、あたかもショットガンを使うように発射できる。肩打ちだが。なお、12ボルトのバッテリーは必要だ。
 UAVのヘルファイア・ランチャーにもとりつけられる。
 09-6-15には無人ヘリの「ヴィジラント」からも発射テスト済み。
 今年、9度テストして7度成功。そのうち一度は、小型高速ボートの吃水を狙って貫通した。
 目標が時速60マイルで横行していても命中させられる。まっすぐこちらに向かって来る敵や、まっすぐ逃げていく敵ならば、もっと高速移動していたとしても当たる。
 次の目標は、この量産品の納入価格を $5,000-6,000 per missile に抑えることだ。
 修理するなどバカらしいくらいに安くしたい。前線の部隊で簡単な作動チェックをしてみてもし不具合が分かったら、補給処の修理部隊へ後送するのではなく、その場に投げ棄てさせる。そういう兵器。これが陸軍経費の圧縮につながる。
 市販品の流用によってこのコストが実現できる。イメージCCDセンサーなどは100ドルで民生品が調達できるのだ。
 あとでもっと安い市販部品やプログラムソフトが入手できたら、それにすぐ差し替えられるようにも設計してある。
 推薬の発火は光ファイバーのレーザー信号(市販の通信用部品)による。だから静電気や迷走電圧などで勝手に暴発する危険もない。
 やがてすべてのセンサーと回路が1枚のチップに載せられる時代が来る。そうなればこの種の製品はもっと安くなる……。
 兵頭いわく。
 この調子でいけば、歩兵対歩兵の戦闘にミニ・ミサイルが湯水のように使われるようになりますよ。
 そしてこれもゲリラの手に渡るのは時間の問題です。宮内庁は早く皇居の大改造をした方がいいんじゃ……?
 ところでわたくしはテレビを視ていないのですが、シナ軍は、敵UAVのイメージングCCDを韜晦するためのAFV/ソフトスキン用の「デジタル迷彩パターン」塗装(レゴブロックみたいな模様)を、パレードで公表しただろうか? 公開しなかったとしたら、かなり本気で研究中なのに違いない。外国人の広帯域光線カメラの前に生資料を提供したくはなかったのだ。
 日本にはまともな政治家がいないので、残念ながら核武装は半永久に不可能です。ではどうやって対北京の戦略報復力を確保するか。答えはロボット/小型無人機です。ロボットはコラテラルな被害ゼロの選別的大量破壊(対権力直接アプローチ)を可能にする唯一の手段でもあるのです。しかし日本人がぼやぼやしていれば、この分野でも米国の世界支配が確定するでしょう。新刊『「自衛隊」無人化計画』(PHP研究所)をお読みください。近くに図書館のある方は、購入リクエストしましょう!
 JOHN T. BENNETTT 氏による「U.S. Could Send Army Patriot Missile Unit to Poland」という09-10-1寄稿記事。
 国務省幹部が下院(の共和党の)議員たちに語る。パトリオット部隊でもポーランドに出しますか、と。
 ポーランド政府の希望を煎じ詰めると、米軍部隊が国内に駐留し、ロシア軍の侵攻の壁になってくれることに尽きている。だから、米軍部隊なら何でもいいじゃないか。
 ブッシュ計画にはなかったセンサー複数を配備することになるかも。
 〔移動式Xバンドでもなく、固定Xバンド・レーダー基地でしょうか?〕
 GBIは1発25トン。SM-3は1トン前後。よって安いんですよ。
 そこへ共和党員たちの突っ込み。SM-3なんて “a paper missile”(空想上のミサイル)だろう。その改良はイランの長BM完成に間に合うまい。
 だいたい、あと10年も長BMを防がないつもりなのか。その間、欧州に配備されている米軍はどうやって守るんだ?――云々。
 兵頭いわく。日本の国会でどうしてこういう質問が出ないんでしょうね。東京は、1960年代からシナの核弾頭付き中BMで狙われ続けているんですが(そしてノドンは東京には届きません)。日本こそGBIを10発すぐによこせと言わなければおかしいでしょう。