UXO問題は、火薬と水と微生物で解決するしかなかろ。

 David Hambling氏の2009-10-19記事「Treaties Prompt Redesign Of Cluster Bombs」。
 クラスター爆弾の問題は、unexploded ordnance (UXO) を戦場に残し、民間人を殺傷することである。
 そこでオスロ条約が、子弾の1発が20kg未満の集束爆弾を禁じた。
 2008に107カ国が賛成。この条約は主要30カ国の批准で成立するが、まだ17カ国しか批准していない。米国とシナとロシアは調印すらしていない。
 2008-6にロバート・ゲイツいわく。クラスターは役に立つ。しかし不発率を1%未満にしろ、と。
 米軍は、それを2018までに達成したい。
 Textron社は、新製品の Sensor-Fuzed Weapon (SFW) でそれが実現できまっせ、と売り込み中。
 子弾に、レーザーと赤外線のpattern-matching sensorを組み込む。車両目標が映れば、 an explosively formed penetrator (EFP)を飛ばす。ふさわしい目標がないときは、二重の電子回路によって自爆させてしまう。
 テストでは0.4%の不発があったが、それも安全だ。ただ拾ってトラックに放り込めばよい。不意に爆発することは決してないのだ。
  もうひとつのTextron 製の  Clean Lightweight Area Weapon (CLAW) は、重さが 100ポンドの爆弾である。単弾頭。これは数千の、三角形やひし形の破片を発生し、それは140ヤードの毀害域を構成。車両に有効。冗長な信管がついていて、不発になっても、衝撃や火炎では爆発しない。
 かたやスペインのInstalaza 社は、着発信管を安全にする工夫をした。
  sD2 つまり self-destruct and self-deactivation だ。たとえば120ミリ迫撃砲弾にとりつけて発射し、着弾して起爆しなかったとする。20秒以内に無害化する機能が作動する。その作動もまた失敗した場合、最終的に10分以内に電源電池の放電によって、無害化されてしまう。
 尤も、ペンタゴンは、こうした信管ではオスロ条約を満足させないとみなしている。
 米軍の手持ちの弾薬のうちでヤバいといわれているのが、600個の子弾をバラ撒くMLRS用。
 そこで米陸軍は代案をいちおう考えた。単弾頭にして、フレシェットや金属ロッドを撒いたらどうかと。
 もうひとつのオプション。単弾頭にして、その弾頭が、多数の EFPs【爆発成形徹甲弾】を四周に飛ばすようにする。これは海軍の弾薬としてもう使われている。〔知らなかったぜ……。〕これが広域の装甲車を破壊する力はフレシェット以上だ。
 以下、兵頭いわく。
 信管をどう工夫したって、ダメだね。炸薬や伝爆薬じたいを工夫するのが正答だと思うよ。
 一定の範囲の含水率でなければ、決して炸裂しない炸薬や伝爆薬を考案するべきだ。
 発射され着弾して不発に終わると、弾殻の一部が風化して、小孔が通じ、外気と炸薬が接触するようにしておく。そこが砂漠なら、次第に炸薬内の水分が抜けて、爆発しなくなる。そこが砂漠でないなら、逆に炸薬内の火薬の湿りが増して、やはり、爆発しなくなる。
 これなら世界のどの地域でも使えるだろう。
 次の記事。
 2009-10-19、HONOLULU ADVERTISER の「Pacific Command Remains a Force: Keating」。
  パールハーバーに司令部がある、アジア太平洋軍の司令官、Timothy Keating 提督がついに退役する。その直前のインタビューでいわく。
 太平洋軍は海軍と海兵隊とあわせて30万人だが、そのうち3万がイラク&アフガン&インド洋へ出ている。
 太平洋軍の幕僚たちは、仕事の3割はシナ関係だ。太平洋には米国とシナ以外にも36カ国が関与しているのだが。
 あるときシナ提督が、米支で太平洋を二分しようと持ちかけ、キーティングはキッパリとはねつけた話は有名だ。
 しかし、訓練ぶりを見れば、シナなど脅威ではないことが知れる。
 シナ軍の戦闘機パイロットは1か月にタッタの7~8時間しか飛んでいない。米軍戦闘機パイロットは20~22時間だ。
 ソウルの南の米軍は、遠征軍に再編成され、いつでもアジアのどこかへ転用できる。韓国は北鮮に対して単独で防衛できる。だから、過去には在韓米軍の転用はできなかったが、これからは、もう、できるのだ。
 兵頭いわく。もうじきゲイツ氏が日本と韓国を歴訪しますが、在韓米軍は完全撤収の流れですかな。この調子だと。
 次。 オレが雑誌の『正論』で、シナの10-1パレードに出てくる「最新兵器」なんてどうせロシアのパチもんだろ、と予想でクサしたのに、かれらとしては反論をしておく必要を認めたのか、こんな雑誌記事がシナ本土で出たらしい。
 Johnathan Weng氏がそれを英語に抄訳してくれている。ASIAN DEFENCE の「 Development of Chinese KJ-2000 AWACS」という紹介記事を見よ。
 引っ張りだされた技師は 1938生まれのロートルながら、かつて初めて三次元レーダーをシナ軍のために設計し、JY-8 と JY-9 の搭載レーダーの開発も仕切ったシナ電子兵器界のボス。
  KJ-1 (Air Warning-1)開発計画 は 1960s末に始まったが、グラウンドクラッターを解決できず、コンピュータも弱く、サイドロブもでかすぎたのでいったんキャンセルされた。
 しかし、ソ連が崩壊した1990’s初めには、やっぱりつくらねばということになった。
 しかし当時、イスラエルはフェイズドアレイの技術をもっていなかった。それで英国から「ニムロッド」を買おうとしたが、この話は、まとまらなかった。
 そこで、要素技術をイスラエルから輸入して国産しようということになった。
 1992にイスラエルと基本合意し、イリューシン76をベースにこしらえることに決めて契約したのがその4年後。
 だがイスラエルの「ファルコン」の方式だと、胴体と機首にレーダーを分載するため、360度警戒ができない。そこで、複合素材を一体成形した世界最大のレーダードームを胴の上に離してのっけることにした。
 ロシア製のイリューシン76はまずイスラエルに運ばれ、そこで器材が取り付けられた。これが1999のこと。そこに米国が圧力をかけ、契約解除に。イスラエルは違約金を支払った。
 かくしてシナはいよいよ国内開発するしかなくなった。
 しかし要素技術はイスラエルから学べた。データバスネットワークの設計をイスラエルは助けてくれた。
 ロシアは、最新型のA-50の開発に乗らないか、4機リースしてやろう、などと言ってきたが無視した。
 米海軍の EP-3E とシナ海軍の J-8II 迎撃機が空中衝突した「4-1」事件のおかげで、政府が本腰を入れてくれたので、ふつうなら10年かかる開発が、短縮できた。
 2002に地上テスト用の機体ができた。
 2003に試験飛行成功。
 2007-12に KJ-2000 はシナ空軍に実戦配備。
 つまり5年で国産したわけだ。
 こいつが完成すると、ロシアは IL-76 を売りたがらなくなった。
 しかしシナは Y-8 に載せる型も開発している。
 安いのでどんどん造るよ。
 次の課題は、コンフォーマルなフェイズドアレイだね。
 ハイハイ。シナえらい。