まもなく地方書店に『近代未満の軍人たち』と『有坂銃』が出ます。

 ディフェンスニューズの2009-10-26記事、豪州海軍の制服の親玉 Vice Adm. Russ Crane へのインタビュー。
 なんと提督は、兵曹からの叩き上げだ。掃海の専門家。
 豪海軍は Arabian Gulf に7年間も艦隊を派遣して米国に協力しつつある。
 その豪州海軍もいよいよイージス艦を持つ。ただしMDをやるとは言ってない。
 また、スペインの造船所に2隻の 26,000トンの強襲揚陸艦を発注する。これが豪州で最大の艦となる。強襲艦の導入により、海軍定員を700 人増やさねばなるまい。
 すでにスキージャンプは有しているが、海軍が固定翼機を運用するかどうかは決めていない。F-35がどうなるかもまだあいまい。
 6隻の既存潜水艦は近代化する。
 ところが乗り手が足りない。人数としてホントは半分足りない。
 豪州西部でレアメタル鉱山がブームになっている。そっちの給料がいいから、誰もが水兵になるより鉱夫になろうとするんだ。潜水艦基地も豪州西部なのでとりあいになってしまう。
 米海軍はこれから潜水艦に女を乗せようと計画しているが、なんと豪州海軍は1999から乗せている。水兵もいれば将校もいる。
 ゲイだろうと構わん。complete diversity【多様性】が豪海軍のポリシーだ。
 ※ここを読んで「インザネイヴィ」という歌を思い出した人はわたしだけではないはず。「キミを求む!」「潜水艦でいったいナニすればいいんだよ!?」
 シナ海軍は脅威とは思わん。経済成長に伴っているだけさ。
 次。 ASIAN DEFENCE の2009-10-25の記事「Gulf Air Forces In Review」By Mohammed Ahmedullah氏。
 サウジはロシア製の高性能防空システムを買おうとしている。狙いはひょっとすると、サウジがロシアの良い客になることによって、ロシアがイランに防空システムを売るのを邪魔したいのではないか、という。
 ※正しい「外貨」の使い方でしょう。日本の外務省ではこうはいきません。
 次。タイム誌の2009-10-24「Germany’s New Government to U.S.: Take Away Your Nukes!」という Peter Gumbel 氏の記事。
 ドイツの新内閣は古い原発を廃炉にしないだろう。
 その一方で、新外相は米国の核兵器撤去を求めるだろう。
 ドイツ国内にはまだ20個の核弾頭が貯蔵されているようなのだ。
 新経済相は、1990の暗殺未遂事件いらい車椅子の男だ。
 ※地球温暖化対策の決め手は原発の増設しかないことに、欧米有権者は合意しつつある。腐れサヨクは環境ロビイングで一儲けしようとしたのだが、あにはからんや、それが大原発ブームに結びつこうとは……。日本の現状はここでも周回遅れです。
 余談。
 『サウンド・オブ・ミュージック』のDVDを見て、こういう凝りに凝った映画は若い時にいくら観たって何も把握しちゃいねえもんなんだなぁってことが厭というほどよく分かった。「わたしは今やガウライターなんだ」「バロネス、あなたはマキャベリですな」――こんな台詞も、日本語吹き替えで生かせっこない。おっそろしく集中力のある(つまり伏線を見逃さない)、かつまた教養の深い米国東部インテリに訴えかけようという脚本だ。
 さらにアッと驚いたのは、さいごの音楽祭で二等賞をとった合唱団の成人男子の格好です。戦中の「国民服」は、これのマルパクだったんかよ……と合点が行く。清沢洌ほか複数の戦中日記が、〈なぜ当局は国民服にいちいちゲートル着装をやかましく言うのか〉と不思議がっている。不思議は何もなかったのだ。日本のゲートルはドイツの銃後民間人のソックス/スパッツの代用だったのだ。統制派官僚どもは、そこまでもドイツ人のケツを舐めたかったのだ。1966年まで生き残っていた戦中派のオッサンたちは、きっと映画館でその事を悟っただろう。そして、そんな発見をいちいち若い者に語り聞かせるほどには、若い者がヒマじゃなかっただろう。
 細かいところには凝る一方で、大きな疑問はスルーさせるのがミュージカルの力技だ。ザルツブルグから徒歩で山越えをして、一晩でスイスにまで辿り着けるわけがない。(ついでに言うと、『大脱走』の収容所は何処にあるつもりなんだろうか。ある者はスイスへ、ある者はスペインへ行ける場所とは……?)
 さらに余談。ブロードウェイ版の『アニー』には「N.Y.C.」という耳に残る名曲が入っている。これが映画版ではカットされて、代わりに「レッツゴートゥザムーヴィーズ」が新たに作曲された。あるいはチャールズ・ストラウスは、「N.Y.C.」が、リチャード・ロジャースの「エーデルワイス」に似ていることを、ずっと気にしてたんじゃないか?