必要なのは超低空用パラシュートではないのか?

 『MILTECH』のスタッフライターによる2009-10-26記事:「Soldiers Test Army’s Newest Parachute」。
 米陸軍が50年以上も使ってきた「T-10」型落下傘が、ついに新型の「T-11」型に更新される。
 キャノピー(傘体)は長方形で、畳めば、よりコンパクト。しかし、面積はT-10より大。よって沈降速度はT-10よりもだいたい4秒遅くなる。
 また、今までより100 pounds 多い重量も吊り下げられる。
 開傘(canopy deployment)はスムーズだし、降下中の動揺は最小である。
 着地がソフトになるから、〔足や背骨の〕負傷も防げる。
 2009-11に最初の部隊がこいつの慣熟訓練を終え、2014に、全陸軍がこの落下傘に切り替わる。
 ……というのだが、昔どこかで聞いた説明では、軍用傘はレジャー用の落下傘よりも沈降速度をわざと大にしてあり、だからこそ、空中で長時間モタモタすることがなく、奇襲任務に適している――んじゃありませんでしたっけ?
 かつて、日航機が御巣鷹尾根に墜落したとき、自衛隊はその夜のうちにヘリから偵察員を先行降下させることができなかった。というのは、当時の自衛隊のヒューイにはIRカメラどころか白色光サーチライトすらなく、夜間のNOEができない。もちろんレーザー高度計などもない。高圧電線のありかも分からない場所だからリペリングどころじゃない。さりとてテキトーな高度から空挺隊員を飛び降りさせるのも、ためらわれた。それはいくら厳重な股間プロテクター、フルフェイス・プロテクターをつけさせたところで、やはり樹木に激突したり、険悪なガレ場に落ちて重症を負わせる危険があったからだ。平時の活動で虎の児の隊員に大怪我させるわけにはいかなかったのだろう――とわたしは想像してます。
 軍用傘の沈降速度を高めに設定しておくことは、地図情報も十分で、暗視装備が充実している米軍ですら、デメリットの方が大きい、と認定されたのでしょうか? だとしたら、自衛隊の需品科も、思い切って「パラフォイル」のようなものを工夫し、夜間にどんなところへ降下を命じても平気なものを研究したらどうでしょう。いまどき、平時の訓練で背骨を傷める空挺隊員を量産し続けるのは、時代錯誤のように見えます。