コンデンサとディーゼルのハイブリッド! こいつは日本メーカー殺しかもなぁ。

 とうとう雪がチラついて来やがった今日の函館市内……。そしてまた william matthews記者のいつもながらのホットな記事「A Different Kind of Hybrid—Oshkosh Hopes Electric-Powered Truck Will Win Over U.S. Army」2009-11-2付。これはマジヤバそうだと震えたぜ……。
 米陸軍は「ハイブリッド・ハンヴィー」やら燃料電池トラックやら、ここのところ、いろいろ試したが、どうも電気式はモノにはならんわいと失望していたところ、オシュコシュ社が、ついに本命の技術を実現しちまった。
 4輪駆動車の「HEMTT-A3」がその試作品だ。これは各輪に付いた電気モーターのトルクだけで走る。
 ディーゼルエンジンは積んでいるのだが、それは常に電気モーターのための発電のためだけにまわす。したがって完全に定速・定負荷回転のみだから、燃費は理想的に最上ってわけだ。パワートレインも超単純で済む。
 プリウスみたいに、内燃機関のトルクだけで走るモードや、内燃機関のトルクと電気モーターのトルクを併用して走るモードはない。
 兵頭いわく、これはアメリカのディーゼル機関車の伝統だよね。やはり得意分野で勝負に出ようってわけだ。
 最大の特徴は、大きなバッテリーではなく、コンデンサ( soda-can サイズ の24個の ultracapacitors )にブレーキ回生電力を溜め込むようになっていること。
 ブレーキングのときと、下り坂のときに、電気モーターを発電機としてまわすことで、コンデンサに素早く効率的に蓄電ができる。そして急発進時や、大馬力が必要な瞬間に放電ができる。
 コンデンサは、何万回、蓄電&放電を繰り返そうとも、性能劣化はしない。バッテリーのような定期交換は必要ないのだ。ライフサイクルコストを下げられる。
 メーカーのオシュコシュではこれを 「ProPulse diesel-electric」と名付けている。
 「 HEMTT-A3」 はこのような構成にすることで、キャブの容積が増し、総重量もわずかだが、減る。
 この方式は、トラックの軸数が増えても複雑化しない。たとえば、4軸、つまり8輪のトラックにこれを適用することも簡単だ。その場合、 13トン・トラックを時速 65 milesで路上走行させられる。
 Strykers もハイブリッド化できよう。これは平時のみならず、戦時の使用法においても、お徳なのである。
 既存のトラックのエンジンとパワートレインを撤去して、このシステムを後付け搭載することは、容易である。
 60マイル/時走行のときの軍用トラックのディーゼル燃料は24%削減できる。
 停発進をくりかえすモードでは33%の節約になる。
 発電力は 100 kilowatts of “military-grade AC powerだ。これは普通の家庭なら、 several dozen homesに相当する。
 米軍の nontactical vehicles は 186,000 台もある。これがオシュコシュ方式にコンバートされたら……。
 兵頭いわく、アメリカの車両メーカーが逆転ホームランを狙ってきたちゅーわけだよ。
 なおわたしはこうした米四軍の省エネ・脱公害・脱海外エネルギーの取り組みもカバーした『エコ軍備』の本を次に並木書房から出す予定です。ご期待ください。
 11月の大阪講演も、この話をしましょう。やはり防衛省が世界の趨勢に対しすでに周回遅れを喫しているからです。
 それからSINGERの本を頂戴しました。増元さま、どうもありがとう。