「パン籠」ならぬ「虫籠」が新世代のクラスター弾になる

 米空軍の chief scientist である J.A. Dahm 氏に michael hoffman 記者がインタビューしてまとめた2010-1-18付『ディフェンス・ニュース』記事:「USAF Chief Scientist Looking To Change Game」。
 2月に、2030年の米空軍技術がどうなっているかを予測する短いリポートを空軍トップに提出する。その中味をざっと語ってくれた。
 いまから20年後の米空軍の目玉は、「マッハ6で飛ぶ巡航ミサイル」と「ビル内をくまなく飛び回って偵察してくれる大きさ10cm以下の羽ばたき式UAV」。
 空気が存在する中をマッハ6で飛ばすには、一定時間、どうにかしてエンジンを冷却して、熱で溶けてしまわないようにする必要があった。石油系燃料の分子がバラけるときに熱を奪う機能が着目されている。
 ※つまり一時有望視された水素燃料は単純なニコイチ結合分子だからそのような冷却機能が見込めず大気圏内超音速エンジン用としては実用的ではない、ということなのか? いずれにせよ、爆弾じたいがマッハ6ですっ飛んでいってくれるのなら、ステルス攻撃機にどんな必要があろうか。
 超音速エンジンは、まず巡航ミサイルに搭載される。ついで、偵察機に。ただし、その時期は明言できない。
 キーワードは、無人化、小型化、自動化。自動化は、人の意思決定を高速化する方向で貢献しなければならない。
 精妙で凝ったものから、組み合わせ的なシステムへ。すなわち単機能目的兵器はもう古い。 Dell 社がカスタムPCを個人客の注文から数日後に配達してくれるサービスを見習うべし。
 ある司令官が「偵察衛星がひとつ欲しい」といったら、数年後ではなく、数週間後にそれが届けられるようにすべきなのだ。
 UAVはトンボより小さいサイズに進化する。 Micro Air Vehicles(MAVs)という。
 すでに、ひとつのビルの中をくまなく捜索できる10センチ大の羽ばたき「機械虫」が完成寸前である。
 2009の空軍リポートでは、 このようなMAV は 2015までに導入されるとしていた。
 ※これも最初は市街戦のための屋内偵察用に単機で用いられる(つまりパックボットの空中浮揚化)として、その次の段階がどうなるかですよ。スウォームになり、且つ、リーサル・ウェポンに進化し、理論上、コラテラル「ゼロ」の戦略兵器となるのはもう必然ですよ。そこまでを、レムの小説『砂漠の惑星』は予言していたのではないですか。くわしくは『もはやSFではない無人機とロボット兵器』で確かめ、かつ考えましょう。