〈機械虫〉同士の空中戦を制するのは、やはり蜻蛉か、それとも…?

 THくん。早速応募ありがとう。しかしファイルは開けなかったよ。フリーソフトの「GOM PLAYER」とやらをダウンロードしてみたがやっぱりダメだった。機械音痴で申し訳ない。しかし君の熱意はしかと承まわった。是非とも声優として活躍してもらおうじゃないか。企画は、数ヵ月後に本格始動するので、そのときに直接、ご連絡します。
 さて、狂言に「蚊相撲」という演目があって、蚊が人間に化けて相撲を挑んでくるのだが、そいつがなぜかやたらに強い(河童の相撲みたいだ)。しかし、扇で煽がれると、負けてしまう……というオチだ。
 マイクロUAVが屋内に入り込んでくるようになったら、こんどはこの「機械羽虫偵察機」を防除する方策を講じなくてはなるまい。
 ざっと思いつける手段には次のようなものがあろう。シリアスに考えてみたい。
一、「トンボ型」無人戦闘機。
 トンボは6本足を籠のようにして蚊などを空中でホールドし、頭からガリガリ齧ってしまう「プレデター(肉食)昆虫」なのだ。それゆえ英語ではドラゴンフライ(龍蝿)などというおどろおどろしい名がついている。このトンボの構造・機能、とくに捕食し得る「生き餌」を判断して追いかけてキャッチするまでのアルゴリズムや、オス同士のなわばりをめぐる空中マヌーバーを解明することが、侵入してくる「機械羽虫」に対するインターセプター開発に直結するであろう。
二、「蜘蛛の巣型」の阻塞装置。
 カスミ網です。それを発射するものでも良いだろう。つまり「射ぐるみ」です。
三、「スプレー型」の防空兵器
 スズメバチすらイチコロというすごいジェットがあるらしいが、相手は無生物だから神経ガスは効かない。雑誌編集部で愛用されている糊のスプレーが有効かもしれない。羽の浮力がなくなるだろう。
四、「蝿叩き」型の高射兵器
 カメレオンの舌のような瞬発性が必要だ。しかし敵機に「自爆」機能があると、この防衛ラインはスウォームで突破される。
五、「うちわ型」の気象兵器
 要するに市販の扇風機で廊下に風速数mをつくってやれば、羽ばたき式のマイクロUAVはもはや飛翔は続けられぬはず。これが「オフ・ザ・シェルフ」の最も安価な対策となるでしょう。