沖縄問題もヤクザ問題。

 人間はカネのためなら人も殺せるのだから怖いものだ。そしてカネが嫌いな人間はおらず、殊に政治家は大好きである。一方に最高のホラー。そして他方に、命の次に大事なインタレスト。これで動かぬ地方の政治などどこにあろう。仕組みの上でこれを芟除しないかぎり、中央の政治までかならず腐敗するようになっているのである。
 米国もほんの60年くらい前まで、州や市のレベルでは相当に政治と利権の腐敗が見られた。しかし連邦レベルではWWI前後からそんなものはなかった(数少ない例外は「ティーポットドーム海軍リザーブ油田」醜聞)。
 秘密は何だったか? 米国東部の法曹エリートは、土建を政治利権にさせないコツを「連邦陸軍工兵隊」で学んだのである。治水事業が構造的に腐敗していたら、州を越えた大人災につながってしまうから、彼らはこれを軍隊に仕切らせたのだ。ウェストポイントはじまっていらいの優等生マッカーサーが陸軍工兵隊に任官したのも、そこではクリーンな土建政治実務というものが学べたからであったろう。
 日本では幕藩制時代から、臨時に大量に必要になる土木作業員の人集めと管理を、殿様が地場のヤクザの親分に頼まなくてはどうにもならなかった。米国は土木作業の機械化(スチーム動力化)を急速に進展させることで土木作業を近代会社化してしまったのだが、日本ではこのヤクザの親分と殿様とその部下の現場事業監督幹部のもちつもたれつの腐れ縁が、機械力の導入(すなわち省力化と工期短縮)に抵抗し、維新以降も、土木事業の近代化を妨げ続けたのである。
 WWII中、米軍は、シービーズ(海軍設営隊)が南の島のジャングルに上陸してわずか1週間以内に、爆装F-4Fが離着陸できる立派なストリップを施工し得た。日本軍がおなじ作業をするには数倍の人夫と数ヶ月の工期が必要だった。
 戦後、自衛隊の機械化された施設科部隊が各地の飛行場や学校グラウンドの建設に用いられた時期があったが、たちまち、地方の政治ボス(しばしば土建会社経営と地方政治の二足のワラジを履いていた)が、「民業妨害だ」と騒ぎ出し、中央の政治家をつきあげ、今ではこのような施設科の運用は見られなくなってしまった。
 米国ならば、地方の土建屋や政治家がいくら私益の顧慮から反対を唱えようと、陸軍工兵隊を投入すれば、パナマ運河のような大工事すら、できてしまうのである。しかし日本では、たかだか二千数百mの滑走路を新設することすら、地方のヤクザの反対に遭っただけで、不可能になるのだ。
 しばしば地方の親分と中央の与野党の政治家は、利権誘導の利害で共謀関係にあり、あたらしい滑走路が造られそうだとなれば、その利権誘導の工作資金撒きや、思惑買いの投資を、勝手に先行させてしまうものである。だから、いまさら「浮航体方式にする」などと大臣が発言しようものなら、数人の与野党の政治家や秘書が、交通事故に遭ったり、ホテルで不審死せずにはおかないだろう。
 愚生は一貫して沖縄に海兵隊など要らない理由を語ってきたので、ここでは、その主張はいささかも変えずに、八方まるくおさまる良い方法を、民主党のために提言しよう。
 米国が、米国の国防予算で、沖縄の海兵隊のための、長さ3000m×幅400mの「バージ」を、日本の造船メーカーに発注する。
 これは「浮かぶ滑走路」ではない。エンジンを有する「船舶」である。したがって不動産ではなく、動産である。ただし形態として、最上甲板はフラットであり、機能としてF-18が離発着でき、普天間飛行場の代用になる。
 日本政府と日本の造船メーカーは、これが台風などで損傷した場合には、即座に日本外務省の予算でメンテナンスすることを約束する。これはなかなか破れそうにない契約であろう。
 この巨大動力筏を、沖縄県の辺野古沖に「遊弋」させる。ただし速力は時速0.000001ノットである。
 ひょっとして沖縄県民のいやがらせが、この筏に加えられるかもしれない。海兵隊様が辺野古沖が厭になったら、このバージはグァム島へ勝手にタグボート&プッシャーボートにエスコートされ移動するだろう。「サヨナラ」だ。
 普天間の跡地整備事業で、地元土建業界は、酬われるだろう。なにしろ、かなり悪い土地だそうで、変な物質も置き土産としていろいろ埋まっているだろうから、さぞかし、長年にわたり、直し甲斐があることだろう。
 台湾政府が有事に即座に動員できる地上兵力は、優に陸上自衛隊よりも多いのである。それでシナからの特殊部隊の攻撃が自力排除できないというのなら、そんな国はとっくに独立を失っているだろう。
 シナは間接侵略によって台湾を事実上、併呑することができる。かたや米国政府は、「人民元は紙屑だ」と、本当のことをアナウンスするだけで、シナ財政を崩壊させてやることができる。
 2012年時点でも米海軍は正規空母を10隻も維持する予定である。沿岸戦闘艦(LCS)も続々と就役する。
 海兵隊の出番など、もうアフガン以外にどこにもありはしないのである。……あっ、沖縄の地方自治体が間接侵略にやられて中共のエージェント化したら、暴徒から嘉手納基地を防衛するために、残っている必要があるかもな!