汁男爵

 JOHN REED記者の200-2-1付け記事「Singapore Airshow: Steady Growth in Asia UAV Market Expected」。
 アジアのUAV市場はこれから6年間、4.4%のレートで成長する。
 安いUAVが売れる。
 プレデター相当クラスのmedium-altitude-long-endurance UAVは、グロホ級超高級UAVの仕事を奪い、顧客も奪うだろう。
 各国ではUAV需要が切羽詰ってくるので、もう国産とかこだわっていられなくなるだろう。外国から〔プレデター級を〕買うしかないのだ。
 アジアでUAV開発の先頭を走っているのは、豪州、シンガポール、韓国の3国である。第二集団として続いているのは、日本、シナ、インドである。第三集団は、マレーシア、インドネシア、タイである――。
 次。
 「Ares」に Bill Sweetman 氏が1-29に投稿して、ロシアの新鋭試作機を「ラプトルスキー」と紹介していた。みんなおもしろがっているということはよくわかった。
 しかしオレ的にはそれよりも印象深かったのが、Maxim Pyadushkin氏による2010-1-26付記事「Russian Military Plans MALE UAV Development」。
 ロシアでは Tupolev しか 本格的なUAVをつくれそうなメーカーがない。しかたなくロシア国防省はイスラエルからUAVを買って、運用法を研究中だという。
 ツポレフは1960年代からUAVをつくってきたそうだ。
 だとしたらそれはベトナムから回収した偵察機型ファイアビーのコピーだ。やっぱりあの三角翼巡航ミサイルみたいなのは、ファイアビー/同IIの後退翼を、三角翼形にしただけなのか。としたら硫黄島の4機と「兄弟」だろう。日本は無人機ではとうとうロシアに追いついたのか。これは「バンザイ!」だよね。
 日本の無人機は米国GPSの1m精度を利用するから自動着陸ができる。ロシアはグロノス利用だからそこまではできまい。しかし実戦でGPSジャマーが作動したら、日本の無人機はもう何もできなくなる。対するロシアの無人機はオペレーションを継続可能だ。
 冒頭の紹介記事で華僑系シンガポール人の評論家が概説的に的確に予言してるけど、日本もプレデター級UAVを結句輸入するしかなくなるだろう。それはF-4の後継機などよりも緊急の課題になるだろう。これまで日本の役人と評論家と航空マニアがみんなアサッテの方向を向いていたために、日本のメーカーはMALE-UAVをつくりそこなった。富士重工の回転翼機も、硫黄島の三角翼巡航ミサイルも、プレデターの代用機能を果たすことはできないのだ。回転翼機や高速機では、燃費が悪すぎ、必要な滞空時間(最近の米軍ではUAVの滞空を「オービット」と表現するようになった。24時間在空が常識化しつつあるからだ)を実現できないのだ。そしてイスラエルですら、プレデターの同格機は未だつくれないでいるのだ。
 次。
 Graham Warwick記者の2010-1-29付記事「High Speed An Option For Long-Range Strike」。
 マッハ6の偵察機や巡航ミサイルができそうだ、と。
 また、それとは別に、まだ飛んでいないマッハ3のミサイルが、ハープーンを2014会計年度から更新開始するかもしれない
 DARPAでは別な対艦ミサイルも考えている。これはシナの対艦弾道弾のアウトレンジから交戦する。※どうもよくその「図」が見えて来ん。
 これは識別や誘導のためにGPS衛星などの外部情報にはほとんど頼らないようにする――という。
 次。
 英国の『サンデー・タイムズ』の2010-2-1のOnline版。Richard Lloyd Parry記者の「Feng Zhenghu, the Chinese dissident living in airport limbo, set to return home」という記事によると、成田空港のさまよえるチャイナマン馬正虎氏がやっと上海に戻れるみたいだね。
 オレは日本のON-LINE新聞は『東京新聞』しか見てないんだけど、馬正虎氏の記事は見出しで見た覚えが無い。他のメディアは、これをスルーしていたのだろうか?
 ひとつ言えることは、北京とわたりあう方法を学びたくば、とりあえずシナ人の反体制家を見習えってことだな。『予言 日支宗教戦争』も読んでくれ。
 次。
 NICHOLAS D. KRISTOF氏による2010-1-30のNYTのOp-Ed へのコラム寄稿「Orphaned, Raped and Ignored」というタイトル。
  WWII以降、コンゴではハイチの30倍の人命が奪われているのだが、誰もコンゴに注目しない。
  難民は hills west of Lake Kivu に集中している。
 そこに Hutu militia がやってきて女たちを襲う。連中は remnants of those who committed the Rwandan genocide である。
 ちなみに同国では、処女は山羊20頭分の結納に相当するが、……but if the girl has been raped, two goats.
 この記事に感じた素朴な疑問は、山賊が定期的に襲ってくるような地域で、どうして住民の「警戒・警報・自衛」網が発達しないのかってことだ。満州でもニューギニアでもアフガンでも、村は自衛システムを自然に構築する。なぜアフリカにはそれが生じない?
 最後にオマケ。2009にオバマ大統領は、米国の課題の当面の優先順位を、「エネルギー」>「医療保険」>「教育」だと列挙した。
 ゲイツもこれがわかっているから、空軍参謀長に、はじめて(正確にはルメイという例外を除き)戦闘機出身でない男を起用した。
 中東石油はどんどんなくなる。オイルのピークは2008に過ぎた。そして世界にはあと12年で、今の「シナ+インド」とそっくり同じだけの人口が加わる。
 「1リットル1万円時代」が来、「訓練飛行」は不可能になり、有人機の時代は終る。