書店主さま、『日本経済新聞』の1面下にサンヤツが出ました。

 3月23日(火)朝刊に載った広告を見てご来店されるお客さまがたに対して、『「グリーン・ミリテク」が日本を生き返らせる!』を適宜にご案内いただければ、まことに幸いであります。
 次。
 ポピュラーサイエンスに Eric Adams 記者が2010-3-19に載せている記事「 A Naked Engine For Cleaner Flights」。
 ターボファン・エンジンでありながら、外側のダクト・ケーシング(カウリング)をとっぱらってしまえば、空気流が3倍になる――という、飛行機用の省エネ・エンジンの着想を、GE社は1983年に得ていたのだが、イラン危機が去って油価がまた下がったため、その試製品はお蔵入りとなっていた。
 その案が、復活しそうだ。すでに2009-9からGEは1/5モデルで風洞実験を始めている。
 燃費は最良で 26%も節約になる。
 もちろんタービンブレードを、可変ピッチとするのである。
 ただしこの「flying Cuisinart【算数教育用の色つき棒】」が、たとえばボーイング737のような中型旅客機に搭載されるのは、早くても2020であろうという。
 次。
 グリーンエナジーニューズに Bruce Mulliken 記者が2010-3-19に書いている「SAVING ENERGY WITH WALLPAPER」という記事。
 ドイツの壁紙メーカーの Saarpor社が、「Climapor」という特殊断熱壁紙を売り出した。 expandable なポリスチレン(EPS)の中に、グラファイト(黒鉛)を飽和含浸させたもので、厚さは4ミリ。それで、室内の熱を外へは逃さなくなるのだ。
 この4ミリが、断熱効果では、68ミリ厚の煉瓦壁、もしくは210ミリ厚のコンクリート壁にも匹敵するという。
 ※たしか北の湖関がじぶんの相撲部屋に土俵を新設するとき、黒鉛を埋めたとかいう話をずっと前に聞いた覚えがある。冷たくなくなるわけですね……。
 次。
 『海上保安新聞』2010-2-4号。
 南鳥島のロランCの213m鉄塔が2010-1-24に「倒壊作業」を終えた。支線6本を火薬で破砕して倒した。運用は2009-12-1に停止されていた。もともとは米コーストガードのものでH5に海保が引き継いでいた。
 兵頭いわく。このまま米国の「GPS属国」になりたくなくば、日本独自の地上系ナヴィゲーション網として「GALAPAGOS」(Ground And Litoral Accurate Positionning And Geomorphic Observation System)を建設すべきだ。全国のNHKの電波塔を使えば、日本領域内限定で民間1m精度が提供できるはずである。
 続いて同じ『海上保安新聞』の2-25号。灯台や灯浮標などの航路標識用のLEDが、湿気で劣化することが判明。同庁は平成元年からLEDを採用しているが、H8年度に、劣化し光度が低下したものがみつかった。
 ※まあ日進月歩の世界ですからね。今後はだいじょうぶでしょう。
 次。『MAMOR』2010-5月号。
 24頁に「…例えば毎年6月から9月の間、全国の水際障害中隊が北海道の北端・手塩町の訓練場に交代で集結し模擬の障害を構成する『水際障害構成訓練』や、実物の地雷の取扱要領や威力を体感する『水際障害実爆訓練』を毎年行っている」とある。
 手塩海岸とは驚いた。冷戦時代に、〈ソ連軍が上陸するならここしかない〉と勝手に断定されていた場所だ。オレが所属していた第二師団は、その湿地帯で全滅することをいちおう運命づけられていたのだ(運がよければ音威子府から上富良野までも退がってくるが、それ以南への後退は許されず。つまり上富良野演習場附近が「ハラキリ場」だとされていた)。なつかしいね。今ふりかえれば、とんでもない集団妄想だったけども。そんなところに、いまだに全国から集って訓練をしなきゃならんとは……。
 この集合訓練はもう西日本でやらなきゃ意味ないっしょ。
 『MAMOR』最新号には、長嶋昭久氏のインタビュー記事も併載されている。同代議士は防衛省の「事業仕分け」担当だった(この記事じたいは有益)。編集部では、それを強く意識したことと察するが、たとえば「無人機研究システム」が2009-12-15に硫黄島で自動着陸したことを紹介しつつ、その4機のうち1機が2010-2-9に墜落して喪われたことには一言も触れていない(p.57)のは何故だ? 本誌は広報誌のはずだが、これでは、一般読者の方ではなく、長嶋氏の方だけを見て編集をしたと疑われ、この雑誌そのものも「仕分け」されちまうかもよ。
 ところでオレも雑誌を只で貰っておいて、こうして記事に噛み付くのもちょっとためらわれるのだけれども、三流なりに「評論家」を名乗ってロボット兵器の本も書く者として、本誌 pp.44~45 の「技本リポート」の「携帯型小型偵察ロボット」には、一言しておかざるを得ない。このプロジェクトの同誌での紹介は、これで二度目だからだ。
 今号の記事には、1年前にボウリングの球ていどのサイズだった試作モデルが、げんざいは、直径110mmにまで小型化されていると紹介されている。そして正直にも「階段を昇ることはできないが、小さな段差ならば乗り越えることができる」とも書いてある。さらに今後、もっと小型にするという。
 手短に論評しましょう。記事1回だけなら「まあこれもイタいかもしれないけど記念品です」で目こぼしOKだったが、2回プッシュしてきたとなると、次年度以降もこれに税金を使いたいというPRなわけで、アウト・オヴ・ヒューモアのステージに入りました。
 世界の屋内偵察用ロボット・デザイナーは、この分野のベンチマークである「PacBot」を凌ぐ長所をどう出すのかに心肝を砕いている。
 PacBot は、兵士ひとりが背中に担ぎ、窓から投げ込まれ、強い落下衝撃に耐え、いかなる着地姿勢からも起き上がり、特許を取ってある2+2本の履帯システムを駆使して、リモコンで階段も苦も無く昇降し、浅い水中も進み、動画を電送してくる。有線にすれば、トンネル内探索もしてくれる。かなりな汎用性があり、現在では対IED装備をいろいろととりつけて、米兵の死傷の危険を減らしてくれている。
 このベストセラー偵察ロボットを凌ぐ長所を、別コンセプトで追求するのは、申す迄もなく、容易なことではない。
 イスラエルのあるメーカーは、蛇型ロボットとして、狭い地下空間の探索に特化させた(もともと日本の大学で先鞭をつけたコンセプト)。また米国のあるベンチャーは、小型ロボットにジャンプ力を付加して、高さ数mのフェンスを飛越させようと模索中だ。また各国の複数のメーカーと(日本のも含む)大学研究室では、いっそ、屋内探索用には超軽量の機械羽虫を実現するのがよいとして、競作にいそしんでいるところである。
 技本の試作品は、「ボール状」を売り物としているように印象されるが、それは運搬中と投入時までのことであって、実際の偵察任務形態は「4×4」のタイヤによる自走式に異ならない。愚生疑うらくは、この2人の技官に支払っている数年分の給料をタミヤのRC部門に与えて、「ミニ四駆」よりも小さい耐衝撃ラジコン・カーを納入させた方が、おそらくはより行き届いたパフォーマンスをより廉価に得られるのではあるまいか。技本は、それをコンテインする金属製のクッション入り球形カプセルだけを設計したらよいのではないか。
 技本の試作ロボットが、「84mmカールグスタフから発射して道路上を猛スピードですっ転がりながらビル陰の敵情を瞬時に3D撮像してくれます」だとか、「直径5cmも切って、ビルの3階の窓ガラスに人力で投げつけられます」といった極限マシンにまで洗練されて登場すれば、それは世界を驚かすであろう。だが、マイクロ・マシンの設計・製造は、極小予算と最低設備しかあてがわれていないであろうこの2名の技官には、不可能だろう。
 役所が自家でクローズドに完結させちまわないで外注(公募)した方がよいことは沢山あるが、これは現時点で間違いなくその一つだと、記事を読んで痛切に思った。
 長嶋議員、お手元の見本誌をお確かめ下さい。ご奮闘を祈り上げます。