これはよいまとめ記事。「米陸軍航空隊の大軍拡」。

 2010-4-4にアップされていた「The Growing Threat Of The U.S. Army Air Force」という記事。
 2009に米陸軍は、量産品の Sky Warrior MQ-1C UAV を受領しはじめた。
 2008に、すでに2機の prototypes が Iraq にテストのため送られている。それは成功し、現在、4機の MQ-1Cs が Iraqで作戦中。
 そして、より小型である「 Shadow 200」にとってかわりつつあり。
 さらにあと数ヶ月以内に、4機の MQ-1C が Afghanistan に配備される。
 いま、MQ-1C の値段は、$8 million である。しかし量産が進むと、納入単価は $6 million まで下がるであろう。
 サイズはプレデターよりも少し大きくなっている。そして、以前に「シャドウ200」がやっていた任務を引き受けている。※シャドウは車載カタパルトからその場で打ち出すことができるのだが、プレデターは1500m級の滑走路から離陸させるしかない。陸自が導入する際のネック。
 スカイウォリアがシャドウと大きく異なるのは、ヘルファイアなどで武装できること。
 陸軍が固定翼機からミサイルを発射できるようになるのは、じつにWWII後の1948に米陸軍航空隊を米空軍として分離独立させていらい、初めてのことである。
 空軍の将官たちはもちろん大反対した。その反対する空軍将校たちをゲイツ国防長官はことごとく左遷し、いよいよ米陸軍は、固有の「固定翼航空隊」の建設に邁進する。
 米陸軍の「戦闘旅団」が、ちょくせつ、これら固定翼武装UAVをその編制中に保有し、旅団長がそれを自儘に運用する。
 これは、米空軍がUAVを前線の部隊や海外基地には分属させない(必要に応じて米本土から分遣させて、あくまで本土から手綱を握る)のとは、異なった管理方法だ。
 げんざい米陸軍は、シャドウ級以上の大型のUAVを、約200機保有する。そのほとんどは、重さ350ポンドの「シャドウ200」である。
 より小さい、手投げ式のマイクロ偵察UAVならばすでに数千機、ある。
 ※もちろん、AA訓練用の標的機はそれらとはさらに別に数百機あるだろう。
 米空軍は、米陸軍のマイクロ固定翼UAVには文句をつけてこなかった。飛行高度がヘリコプター並に低く、空軍機の高度と重ならないからである。
 シャドウ200は、夜間も偵察ができ、レーザー指示照射が可能である。しかし、非武装である。
 が、これから2015年までには、米陸軍は、ヘルファイアを発射できる固定翼UAVを500機以上も、整備するであろう。
 4年前、米陸軍は目立たぬように20機のプレデター・カスタム(スカイウォリア・アルファと呼ぶ)をメーカーに発注した。それらはイラクで対IED任務で活躍している。
 Sky Warrior Alpha は自重1トンあり、450 pounds のセンサーと、300 pounds の武装が可能である。そしてそのうちに数機は、複数発の Hellfire ミサイルを発射可能であった。
 スカイウォリア・アルファは公式には「I-Gnat ER」という。その母体は、プレデターの「Gnat-750」およびその改善品の「I-Gnat」である。「I-Gnat」は1989から存在する。
 スカイウォリアはプレデターと見分けがつきにくいが、デザインも機能も別物であり、「従兄弟」と呼ぶべし。
 「MQ-1C Sky Warrior」は自重 1.5 トン、内部搭載センサーは重さ 300 pounds 、それに加えて、機外に、500 pounds のセンサーもしくは武装を吊るせる。
 滞空時間は最大36時間。
 最大速度は時速270kmだ。
 ウィングスパンは56フィート。機体長は 28フィート。
 ヘルファイア・ミサイルは4発吊下可能。(プレデターは2発だ。)
 もっと小型の70ミリ・ミサイルならば12発搭載可能。※以前にヘリから発射していたような無誘導のロケット弾を赤外線イメージ誘導式に改造したもの。ゲリラのSUVならこれで十分だという。
 離着陸は自動。
 オリジナルの MQ-1 Predator は、自重1トン、機体長27フィート、翼長49フィート。
 ハードポイントが2つあり、たいていは1発107ポンドのヘルファイアを計2発吊るす。
 プレデターの最高速度は 215km/時、最高巡航速度は毎時160km、高度限界は2万5000フィート、典型的な作戦飛行では離陸から着陸まで10~12時間である。
 陸軍の「スカイウォリア中隊」は115名からなる。
 各12機のスカイウォリアと、5つの地上管制局を装備する。
 米陸軍は、すべての戦闘旅団(combat brigade)内に、1個の「Sky Warrior company」を設ける方針である。
 米陸軍は、総数で最低500機のスカイウォリアを調達希望。
 米空軍は、Predator (MQ-1)を、米陸軍が開発させた Sky Warrior (MQ-1C) で更新するのはいさぎよしとせずに、より大型の「Reaper(MQ-9)」を買うことに決めている。
 リーパーは、自重4.7トン。全長36フィート、翼長66フィート。
 見た目は、プレデターと似ている。
 ハードポイントは6箇所。
 1,500 pounds の兵装を搭載可能。
 ヘルファイアなら最大8発。
 サイドワインダーやアムラーム、マヴェリックなら最大2発。500ポンド投下誘導爆弾も最大2発。※アムラームとは初耳だ。プロペラ機からアムラームだと……!? ちなみにUAVからスティンガーを発射しても敵ジェット戦闘機には勝ち目がないことはイラク上空で一度証明されています。だからサイドワインダーなのか?
 最高時速は400km、最長で15時間滞空できる。
 A-10はリーパーで更新されるであろう。※すでに「アヴェンジャー」というジェット推進の無人機ができているので、その調子次第では、今後どうなるか分かりません。F-16の対地任務を引き継ぐものがあるとしたら「アヴェンジャー」でしょうが、対空任務まではさすがに無理とみて、米軍はF-16の延命に乗り出しています。
 わが日本の自衛隊のUAVが諸外国からどれほど遅れてしまっているかにつきましては、拙著『「自衛隊」無人化計画』(PHP)、『もはやSFではない 無人機とロボット兵器』(並木書房)、『「グリーン・ミリテク」が日本を生き返らせる!』(メトロポリタン・プレス)の、ロボット三部作をご覧ください。
 この3冊で、過去の経緯と、近未来の課題のすべてを、最短時間で把握できます。
 ただわたしにはどうしても分からぬのが、自衛隊/防衛省の中の誰が、UAV導入に消極的なのか、です。
 米軍の場合は、元CIAのゲイツ氏が米空軍に対抗し、説き伏せ、捻じ伏せた結果、今日があります。F-35の単価暴騰をきっかけに、空軍リストラ圧力が一層強まる予感がします。