善通寺の駐屯地跡はどうなっちゃうのか、知りたいんですけど。

 ナショナルディフェンスの4月号が充実していた。
 まず Sandra I. Erwin 記者の「How Much Does the Pentagon Pay for a Gallon of Gas? 」から見て見ましょう。
  Defense Logistics Agency は、軍用燃料を、 $2.82 per gallon で買っている。しかし、平時でも海外に船舶で燃料を輸送すると、その給油時の油価はガロンあたり13ドルとなる。
 空中給油機で給油する燃料は、ガロンあたり42ドル。
 陸軍が有事に戦域で部隊に給油するとなると、なんと100~600ドルになる。
 ヘリで運べば、1ガロンが400ドルだ。
 じつはペンタゴンは、「fully burdened cost of fuel= FBCF」の算出法を決めていない。
 この問題は、2008年に原油1バレルが140ドルに跳ね上がったとき、ようやく認識された。
  DSB studies はペンタゴンに、何か兵器を買うかどうか決める前に、その兵器がいかほどのエネルギー消費を要するものであるのかを、考えるべきであると提唱。
 ある作戦の終了までに必要な燃料コスト次第では、その作戦の完遂が不可能になってしまうからだ。
 イラクのゲリラがIEDでタンクローリーのコンヴォイを狙うという戦法を発明したことにより、米軍が将来のある戦争の勝利のために不可欠とする燃料量は、予想のできないほどに大きくなってしまった。※WWIIで油槽船を狙われた日本軍みたいなもんだ。
 いまや米軍は、前線までの燃料の配送をゲリラのIEDから護衛させるためにだけ、やたらに余計に兵員や装備を増派しなければならない。
 在イラクの米軍指揮官たちは2006に、指揮下の部隊を「燃料の呪縛」から解放して欲しいと国防総省に懇請するようになった。
 〈戦争をするのに、南極大陸の次に不便な土地は、アフガニスタンだよ〉とアシュトン・カーターはこぼす。燃料だけでなく、何を運ぶのにも、インフラが未整備なので。
 飛行場も道路も、イラクとは桁違いに低密度にしか存在しない。しかも海港がなく、土地は平らではないのだ。
 ※もっと不便なヒマラヤで中共軍はインド軍に勝利しているではないか。先に道路をつくらないからこういうことになるのだ。
 国防総省が買っているエネルギーの75%は、作戦と輸送のために消費されている。
 国防総省は毎日、30万バレルの石油を消費する。それは米国全体の1日消費量2100万バレルの、約1.5%に相当している。
 伝統的に国防総省は、石油や電力を、ありふれた安いものとみなしてきた。なにしろ米軍の後方組織は装備が充実し人はプロ揃いだったから。
 兵器調達の決定には 「energy KPP(=key performance parameter)」の概念を導入すべし。つまり兵器が要求するエネルギー・コストをこれまで以上に重視せねばならぬ。
 燃料補給部隊の護衛は、将来最大のカネ喰い要因となる。
 海兵隊の Gen. James Conway は、 DSB reportを引用して、アフガンでは燃料が $400 a gallon だという見積もりを語った。※この記事を読んでやっと気付きました。海兵隊がアフガンの車両にJP-4を使っているのではなく、海兵隊の将軍が引用した資料が、なぜかJP-4についてだけ言及していたのでしょう。しかし他の米国の資料では、海兵隊がその所属飛行機にJP-4を給油していると読めるものもあります。ひきつづき、調べてみます。
 取材によると、アフガンでの燃料コストは1ガロン400ドルよりは低そうだ。現在、陸軍が、正確な燃料コスト算定をしている最中である。
 ある兵器を買うと決める際には、それによって補給の手間・面倒・継続コストがどれほど増すことになるのかかについてアカウンタブルでなくてはならない。
 国防総省が消費する燃料の半分は、空軍のジェット燃料である、と海軍の男が言う。ただし、海軍機は空中補給をしばしば空軍のタンカーから受けてるんだけどね。その海軍機が消費した燃料は、帳簿上は、空軍が消費したことになってしまう。
 陸軍いわく。同じ車両でも、誰が運転兵かによって、消費燃料がぜんぜん違ってしまう。新兵よりも、操縦のうまい老兵は、35%も燃料を節約してくれることが分かっている。
 前の国防総省の燃料担当者だった Paul Bollinger 氏いわく、〈国内の代替燃料の生産者と長期の契約を結ぶことのできる政府の窓口をつくるべし〉と。
 海兵隊は、ヴァージニア州のクアンティコ基地内に「experimental forward operating base」をこしらえて、業者にいろいろな新案を持ち込ませて展示した。
 1個中隊規模の基地。そのエネルギーと水の需要をどう満たしてやれるかという試み。
 次。
 Sandra I. Erwin 記者の「Marines Take Unusual Steps to Reduce Fuel Demand 」。
 アフガンでは海兵隊員は1人あたり毎日20ガロンの水を必要とする。
 前線の小部隊の基地が自給自足できる発電機と浄水器をつくってくれ、と海兵隊の Gen. James T. Conway が要求したのは2009のことだった。
 さっそく、Marine Corps Warfighting Laboratory が、 Quantico, Va.の海兵隊基地に、アフガンの前哨基地を模倣した試験場をつくった。
 そこに、頼まれたメーカーが、ソーラーパネルや風力発電装置、浄水器などを設置した。そして3週間、デモンストレーション。
 海兵隊の要求は切実であり、ペンタゴンの正規調達ルートではなく、今すぐ、じかに、こうした設備を買い付けたがっている。
 〈すでに軍隊には、軽油、ガソリン、ジェット燃料で動く発電機がたくさんあるのに、どうしてソーラーユニットのために $50,000 も支出する必要がある?〉――という疑問は、石油がいままでのように安いという兵隊の誤認に基づいているから、司令官はその誤認を改めさせるべし。
 コロラドの研究者Lovinsいわく。典型的な米海兵隊の戦闘旅団は、「more than a half-million gallons」の燃料を毎日必要とし、その大部分は発電用途なのである、と。
 1台の典型的な 60キロワット発電機は、毎時 4~5ガロンを燃やす。その燃費は1年では $700,000 となる(アフガニスタン現地における算定油価である1ガロン= $17.44 をあてはめた場合)。
 アフガンの前哨基地1箇所にある複数の発電機に1年間給油すると、 more than $34 million となる計算なのだ。
 海兵隊員は、背中に担げるか、ハンヴィーで牽引できるか、ヘリでスリングできるモノ以外には、頼りたくないと思っている。
 そこで、アリゾナの  NEST Energy Systems社いわく。「hybrid power trailer」を提案しますよ。これなら海兵隊さんの発電費用は40~70%も節約できまっせ。太陽光も風も利用できるシステム。しかも基地の既存の発電機につないでおくと、電力の需要のないときにはその発電機を自動で停止させます。再スタートも自動でしますよ。
 今まで、発電機が、基地の電力需要に関係なく、24時間回りっぱなしというのがよくないのです、と会社の者。
 重さ 4,500 pounds なのでハンヴィーで牽引できまっせ。
 元海兵隊員で、今は 加州のShift Power Solutions of Encinitas社の者いわく。逆浸透膜の浄水器で 2,500 gallons a day 可能です、と。
 しかもシステムはスーツケース4個分のサイズ。
 次。
 Austin Wright 記者の「Non-Metal Structure Lightens Military Truck 」。
 軍用車両の車体全部を非金属の複合素材で構成するという実験。すでに実車の走行試験中で、6月には評価が下される。
 アリゾナのTPIコンポジット社。車体が軽くなれば燃料消費も減るだろう、と。必要とあらば、増加装甲を後付けできる。
 複合材は、ファイバーグラス、炭素繊維、バルサ木材、そしてレシン樹脂の混合。※燃えるな、こりゃ。
 複合素材の値段は、鋼鉄製よりも高い。
 この実験車両の開発資金を出したのは、米陸軍の「Tank-automotive and Armaments Command Life Cycle Management Command」である。
 次。
 Grace V. Jean 記者の「Making Metals Lighter, But Stronger Than Steel」。
 スチールよりも軽いアルミやマグネシウム合金で軍用トラックはつくれないものか? ネックは、強度を追求する場合、鋳込み成型したり、部品に加工するのに、スチールより手間がかかりすぎることだった。
 University of Wisconsin-Madison の Xiaochun Li 教授は、溶けた合金の中に微小なセラミック粒子を混ぜ、鋳物の強度を2倍にする、簡単な方法を発見した。
 ポリマーやプラスチックでやっていたことを、金属でもやるというわけだが、これまでの問題は、溶けた金属の中では粒子(赤血球よりも小さい)同士がくっつきあってしまい、まんべんなく拡散してはくれぬことであった。
 それを、毎秒2万サイクルの超音波で cavitation のあぶくを発生させることにより、みごとに解決。あぶくが崩壊する時に生ずる衝撃波を利用するわけだ。
 溶解金属中にあらかじめこのような粒子を混ぜてしまうと、湯流れが悪くなって、鋳物はつくりにくくなる。従来なら、攪拌鋳造【stir casting】という特殊設備が必要だった。
 だが、これからは、まず粒子抜きで流し込んでしまい、そのあとから粒子を追加投入して、超音波を照射すればよくなるのだ。
 研究室では、重さ2ポンドのインゴットをつくったところだ。
 研究室は国庫補助も受けたし、オシュコシュ社とも協同中。
 粒子を混ぜた特殊鋳物が固まった後でドリル加工しようとしても、刃は立たない。しかし、新しい手法によれば、ドリル加工を予定する部位にのみ、粒子をまぜないようにすることもできる。
 次。
 「Mini-Robot Employs Fiery Darts to Neutralize IEDs」という記事。
 イスラエルのメーカーRafaelがつくった。
 鉛筆サイズの小型焼夷ロケットにより、70mくらい離れたところからIEDを破壊処理してしまう。弾頭は爆発性ではないので、そこから破片は飛び散らない。このロケットは試作段階で、2011に実用化を見込む。
 ロケットは長さ 20 cm である。貫通力はそこそこある。そして貫通後に内部で発火する。
 焼夷剤は titanium-boron-Teflon combinations である。
 照準はレーザーポインターで正確に測る。
 Rafael 社はレーザーでIEDを処分する Thor も開発中。
 次。
 Grace V. Jean 記者の「Software Helps Soldiers Cope with Electronics Clutter Aboard Trucks 」によると、iRobot社の爆弾処理ロボットPackBotは、パナソニックの Toughbook ラップトップPCで操縦されている。
 次。
 Austin Wright 記者の「Device Detects Liquid Explosives in Bottles 」。
 もう4年以上も、米国の空港利用者は、重さ3オンスの容器を越える液体を機内には持ち込めないでいる。
 が、ロスアラモスの研究者が、「 Department of Homeland Security」のために、空港利用者が持ち込む手荷物中の液体成分が液体爆薬なのかどうかを識別可能な磁気カメラを試作。病院のMRI(核磁気共鳴装置)類似だが、試製品はもっと巨大でしかも高額だ。研究者は、政府から$14.5 millionをもらって2010中に洗練する。
 課題は、この機械には液体ヘリウムが必要なこと。これは空港内ではかなり扱いにくい。
 目標は、これをX線スキャナー装置に並置すること。
 ※これはイイ。いずれ、人体そのものを液体容器にする「人間爆弾」もできるかもしれないしね。