新入生諸君、「読書余論」を申し込もう!

 まずNathan Hodge記者の2010-4- 6記事「Nuke Review: Deploying, De-MIRVing, and De-Targeting」。
 なんと、すべての米国のICBMは、単弾頭化される。
 ※これが、ロシアに対し、もう先制攻撃はしかけませんという、この上ない約束になる。もし1本が偶発発射されても、ロシア側は冷静に見守ることができる。と同時にこれは、もはや米国のICBMサイロが外国からの先制攻撃で芟除されるような事態はありえなくなったという米国の大自信の表明だ。ちなみに、弾頭を単発化すると、ミッドコースのバスの仕事も単純化されるので、命中率と信頼性は極限まで向上するだろうと考えられます。
 もし許可のない、または事故によるICBMまたはSLBMの発射が起きた場合には、それは必ず大洋中に落下するようにプログラム中である。ICBMの場合は、それは北極海だ。
 米国はヨーロッパ域に、戦略兵器ではない核兵器をいくつか、前方展開しておきたい。それは少数だけ残すであろう、とリビューは書いている。
 重爆撃機からだけではなく、戦術用戦闘攻撃機からも運用できる核兵器を前方展開する能力も残すべし。同時に、「B-61」核爆弾の現役年数を極限まで延ばすべし。
 関連して。
 Stuart Fox記者の2010-4-6記事「In Sharp Turn, Obama’s New Nuclear Strategy Ends U.S. Warhead Development」。
 化学兵器や生物兵器で攻撃されても、その敵国が核武装していない場合は、米国は核による報復や反撃はしないという、新たなガイダンスが公表された。
 しかし例外とするものいくつかある。敵が、今日存在しない、遺伝子工学を使った将来型の生物兵器を使った場合。または、ならず者国家である場合。※するとベネズエラはヤバそうだな(w)。
 前のブッシュ(子)大統領が開発させたがっていた、イランや北鮮に対する外科手術的先制核攻撃に用いることのできる特殊な地下侵徹式マイクロ・ニューク弾頭の開発は、これで、なくなった。
 その代わり、すでに保有している米軍の核弾頭の機能を永く保たせるための研究にはカネをつぎこむ。
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 Bettina H. Chavanne記者による2010-4-6記事「Pentagon Rolls Out Nuclear Posture Review」。
 核兵器の開発よりも、原発インフラに巨費を投ぜよという米国の大方針が明瞭に打ち出されたのである。2011予算では、$5 billion もが、ペンタゴンからDOE(エネルギー省)へ移される。
 エネルギー省の、核非拡散のための予算も増やされる。
 New Strategic Arms Reduction Treaty (New START)は、米国の兵器庫から、 Tomahawk(nuclear-equipped, sea-launched cruise missile)を抹消させる。
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 Lisa M. Novak記者の2010-4-7記事「Navy considers smoking ban aboard submarines」。
 何ヶ月も艦内の循環空気を吸わねばならぬ乗員の健康のため、艦内での完全禁煙に踏み切るか。
 ペンタゴンの2008調査によると、軍人喫煙率は2002には34%だったが、2008には31%である。
 非喫煙者がその煙でどのくらい害を受けるかどうかも米海軍は調査したが結果は未公表である。
 2005の海軍方針のよると、軍艦内の喫煙室は換気を良好にし、見張り所から遠いところに設けなければならない。寝台室、食堂、休憩室、体育室を喫煙可能な場所としてはならない。換気能力を超えぬ人数しか同時に利用させてはならない。
 スモーカーは、タバコが手に入らなくなったら、何でもする。ある潜水艦乗りは、1箱を60ドルで戦友から買っていた。頭の良い水兵は、大量に買い込んでから乗艦する。
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 JOHN REED記者による2010-4-5記事「DoD Report: Other Countries Leveling Space Playing Field」。
 これから通信衛星の世界的な需要と供給が増す。すると使える周波数帯が制約されるようになるだろう。電波の出力や、カバーする地表域が、制限されるようになるだろう。
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 Amy Butler記者による2010-4-6記事「GBI Test Failure Result Of Two Problems」。
 2010-1-31の迎撃実験失敗の原因が2つあったと判明した。
 第一原因は、標的ロケットLV-2(古くなったトライデントC-4ブースターを転用したもの)がマーシャル群島の Kwajalein Atoll から 3:40 PSTに発射されたときに、chuffing を起こしたこと。
 チャフィングとは、自動車エンジンがバスンバスンと息をつく音を模した名詞だ。
 今回の場合、固体燃料の燃焼速度・燃焼圧が変化してしまったのだ。
 古い固体ロケットではよくあること。なにしろ LV-2 に転用している Trident C4 boosters は、製造してから25~35年も経過しているのだ。
 チャフィングは、あり得ることとして織り込み済みの現象のはずであったが、今回は、標的の複雑なチャフィングのために、SBX(Sea-Based X-band radar)のボーイングの予測ソフトウェアがパンクしてしまったのだ。
 SBXは、標的ロケットの筒体、ノーズコーン、囮、弾頭、その他一切を同時に視野にとらえていなくてはならない。すべてを計算しなくてはならないのだ。
 今回は、標的のチャフィングを無視するアルゴリズムが働かなかったと反省されている。
 ※てことは速度がブースト途中で何度も変わる「ムダに多段式」BMをつくれば、ミッドコースで迎撃不可能ってことだな?
 第二の原因。
 Exoatmospheric Kill Vehicle (EKV) の機能不全。
 あきらかに、〔複数ついているうちの〕1個のスラスターが機械的故障を起こしていた。コネクターが不良品だったのだと思われる。
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 RIA NovostiのТарас Литвиненко記者の2010-4-3記事「Russia’s Black Sea Fleet may lose all warships by 2015」。
 黒海艦隊の主要な艦艇は艦齢30年を超えており、2015までに戦力としては消滅するであろう。
 すでに艦底が錆びて穴が開きかかっている状態。
 1982建造のディーゼル潜水艦×1、その他が、さいきん除籍されている。
 当面、新顔艦艇が黒海艦隊に入るという計画はない。年々、減る一方。
 ロシアは「20380計画」型コルヴェット艦を大量生産すべきである。これはバルト海と黒海で、沖合いの油井、ガス油井や油送船を守るために特に設計された艦である。
 すでにその第一艦は2008-10にバルチック艦隊に所属した。第二艦も進水しており、第三、第四艦は建造中である。
 しかし、造船所の能力に余裕がなく、これを大量生産できない。
 どこも、何年も先まで、外国から受注したフネの予定で一杯なのだ。熟練工が他にいるわけでもないから、能力の急拡大は無理。
 希望は、ウクライナの造船所でつくったもらうことだ、と。
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 ディフェンスニューズの Vago Muradian 記者が、シンガポールの国防相 Teo Chee Hean氏にインタビューしている2010-4-5記事。
 氏は、元海軍長官であり、2003から現職。
 同国は、1年前から軍医を中心にアフガンに将兵40名を派し、ソマリア沖では海賊討伐戦に参加中。
 ゲイツはアジアに年に1回は来ている。
 現在のシンガポールの国防費は about 4.5 percent of GDPだ。
  G550 という早期警戒機もつくった。
  Terrex という歩兵戦闘車もつくった。
 グローバルホークを買うか、もしくはシンガポール内の基地に受け入れるつもりは?
 ――可能性は否定しない。
 ※朝雲新聞で、先月下旬に都内でグロホの実物大模型展示があったと知りました。水面下でそうとう話が進んでいるのか。
 古くなっているはずの フォッカー哨戒機は、無人機または有人機で更新するつもりか?
 ――更新はせねばならない。機種は未定。
  F-15SG の導入中だが、F-35の評価もせねばならない。
 アフリカの角での海賊退治で学んだこと。協同作戦が必要であること。沖合いだけでなく、沿岸の陸地を攻略せねばならない。敵は陸上を拠点に活動しているのだから。
 シンガポールの国防費は米ドルにして $8.2 billionである。
 国軍は、常備5万5000人だが、即応30万人動員できる。
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 AFPの2010-4-5報道。「U.S. Warns Venezuela On Weapon Proliferation」。
 ワシントンはベネズエラのチャヴェスに詰問した。「おまえ、ロシアから top five billion dollars もの大量の兵器を買って、ラ米の周辺国に拡散させる気だろ?」
  Chavez は、隣国(仮想敵国) Colombia の麻薬ゲリラ組織に武器を渡している――と米国から非難されている。
 スペインの裁判所は、ヴェネズエラ政府がスペイン国内で、コロンビアのFARC rebels 、およびバスク分離運動集団 ETA による、コロンビア政府高官たち(President Alvaro Uribeを含む)を暗殺せんとする計画を幇助した――と主張している。
 2009にも米国政府は、ヴェネズエラがなんでロシアと宇宙事業で協同しようとするのかと問うた。ヴェネズエラは産油国なのに、国内での電力供給すら満足にはできていないのだ。
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 Jeremy Hsu記者の2010-4-5記事「 Process That Converts Cotton to Boron Carbide Cou……」
 ボロンカーバイドは防弾着の挿入プレートや戦車装甲として既に使われているが、ついに、それを繊維(ナノワイヤー)化してTシャツにできるようになった。
 自動車や飛行機の材料になる日も遠くない。
 木綿のTシャツを、ボロン粉末とニッケル触媒の溶液に浸し、燃えてしまうのをアルゴンで防ぎつつ摂氏1100度に加熱してやる。
 すると木綿繊維が炭素繊維になり、さらにボロン・カーバイドに変わる。
 この繊維は紫外線も遮断してくれる。
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  Clay Dillow記者の2010-4-6記事「 Solving the Mystery of the Green LED For Pure, Efficient White Light」。
 いままで、赤と青のLEDはあった。が、緑のLEDがなかった。それができた。gallium nitride に indium を混ぜたらグリーンができた。
 これにより三原色がぜんぶ揃った。さらに研究を進めて、10年以内に、白色照明を革命的に低廉にしたい。
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 Matthew Cox記者の2010-4-5記事「Marksmanship changes to prep GIs for war zone」。
 米陸軍は、正確な狙撃だけ重視してきた従来の小銃教育を変更する。もっとたくさんタマを発射し、ジャムをすぐに直し、弾倉を確実に交換できるような訓練到達目標に変える。それが今日の戦闘では死活的だからだ。
 いままで兵隊の小銃検定は、40個のポップアップ標的に40発発射して23発が当たったらマークスマンに認定していた。
 これをどう改めたか?
 まず射撃位置は、バリケードの背後から、とする。
  reload がすばやく確実にできるか、を見る。
 すぐに move in a tactical setting できるか。
 そして、標的が倒れるまで、発射し続けなければならない。shoot until the targets are “dead.”
 こんご、Benning 基地では、歩兵の新兵は730発、非歩兵の新兵は500発射つことになる。従来は 300 発くらいであった。
 冷戦期いらいの歩兵射撃訓練メニューは、〈友軍は、圧倒的な数の敵から攻勢を仕掛けられる〉という対ソ戦のシナリオを想定し続けていた。これを見直さねばならぬと、2007年から検討が始められていた。
 .223のタマ1発ではアフガン人は死なないことが8年の経験でハッキリした。2発以上当てねばならない。
 小銃兵には、複雑化した照準器材のゼロ規正ができるスキルも要求される。