モスボール1万発以上あれば千発位の削減など屁でもないわけだ。

 Stuart Fox記者の2010-4-8記事「Chinese Government to Build 215-MPH Bullet Trains in California」。
 シナ人が大陸横断鉄道建設に投入されたのは1860sだったが、またカリフォルニアにシナ人が鉄道を建設しにやってくるかもしれない。
 米国一人口の多いカリフォルニア州の知事が、本年後半にこの問題で訪支する。
 シナとGEの売り込みは……。まずシナの弾丸鉄道の技術をGE社にリースする。列車の部品の8割は米国内でGEがシナのノウハウを用いてつくる。2割はシナから輸入。
 この製造のために、GEは、加州 Fremont のトヨタ工場をコンバートするかもしれない。GEとトヨタは自動車に関してはパートナーである。
 すでにシナは4000マイルの高速鉄道を国内に敷設し、今年だけでもそれに1200マイルを追加する。
 ただしこの契約、未だ決定した話ではない。加州は、日、独、韓、スペイン、仏、伊からも、別々に高速鉄道納入のオファーを受けている。
 シナはこれから10年で、北京とロンドンを弾丸鉄道で結ぼうという提案もしているところだ。
 シナは、ヴェネズエラとサウジアラビアとトルコにおいて、弾丸鉄道を建設している。さらに、ドイツ、イラン、チェコにも売り込み中。
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 JONATHAN WEISMAN記者の2010-4-8記事「Obama, Medvedev Sign Treaty to Cut Nuclear Arms」をみて、昨日の疑問が解けました。
 次の交渉は、配備数の上限をそれぞれ1000発づつにまで減らそうと狙うだろうが、米国はモスボールの核弾頭で優っている――とあります。 Those talks would aim at bringing nuclear weapons caps to 1,000 or below, and would include Russia’s advantage in tactical “battlefield” nuclear weapons and the U.S. advantage in mothballed nuclear warheads, still functional but not counted under the caps because they are not deployed.
 つまりお互いに1万発以上のバッファーがあるから、シナの弾頭数を気にしないで、2国間の「削減」交渉ができるのですね。
 ということは、重爆撃機とF-16、特に後者の意義は今後、相対的に大きくなるでしょう。飛行機は何度でも反復出撃できるので、じっさいには1550発の上限を超えて、空対地巡航ミサイルと重力投下爆弾(それはB-61だけでなく、モスボールの多種類の水爆を利用できるはず)をさいげんなく敵地へ運搬できるわけです。米国内の条約批判派は、ここを指摘して新聞に投書したりしていますね。日本の新聞の投書欄とは、質が違う。
 関連して。
 Nathan Hodge 記者の2010-4-8記事「New Nuke Treaty: Trust, but Verify」。
 条約本文と、プロトコルとの二部建てだが、後者が重要だ。査察検証について定めているからだ。
 そのプロトコルいわく、両国のICBMは、すべて人工衛星から見えるようにしておかなければならない。
 ※つまり地下トンネル機動式などは、ゆるされない。囮サイロ設置や真サイロの念入りな秘匿も許されない。おそらく次は北京にも同じ要求をつきつけることになるんじゃないか。
 なお、露外相は、もし米国がMD能力を顕著に向上させたらロシアは条約から抜ける、と6日にマスコミに対して語った。
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 David A. Fulghum 記者の2010-4-8アップ「Cyber-Warriors Begin Training」。
 これはわが空自幹部必読の記事と思いました。
 空軍の中から一粒選りでサイバー適材1000人(下士官を半分含むか)をあつめて、サイバー戦の特訓中。もちろん、サイバー戦のルールや遵守手順も叩き込む。
 空軍長官Donley氏いわく、戦略空輸部隊の拡大テンポは鈍るし、戦術空軍は削減されるので、空軍の今の若い下士官と将校が、中年以降に就くべきポストがなくなってしまわないように、何かあたらしいキャリアコースを開拓しておいてやらないといけないのだ。サイバーもしくは、UAVオペレーターだね。C-17の製造が終わるので、その予算を回せばいい。
 敵のネットワークに入り込んで撹乱するには単に敵の電気信号を模倣するだけではダメで、自然なタイミングや送り先というものを考えなくてはいけないのだ。だから敵の癖を理解する行動科学の素養のある将校【behavioral scientists】も混ぜている。
 初代学校長いわく。
 このサイバー戦学校は、軍人だけをリクルートしていては追っつかないので、民間からも適材をみつけてくるつもりだ。
 将来のサイバー戦闘は、軍人だけではなく、軍と契約した民間人や、連邦政府機関の文民も、その任務を分担することになるだろう。
 いま、空軍では、新兵が4年で staff sergeant [E-5] に昇進することは難しい。
 サイバー特技兵を、 warrant officer【下級准尉】または専門技術将校(specialist limited-duty officer)にとりたてて、長く空軍で働いてもらうインセンティヴを与えたい。たとえば多くの米陸軍のパイロットは、 warrant officers【下級准尉】だね。
 また2010-2-24に空軍は公式に決定した。remotely piloted aircraft (RPA)に携わる者には、その給与に奨励報償金を加算する、と。
 ※さもなきゃUAV分野に良い人材が集らない。よほどの変わり者以外は、誰しも有人機で飛び回りたいだろうからね。思うに、五体不満足な傷痍軍人をUAV要員に積極採用してはいけないのか?
 その報奨手当の額は、現行の「飛行勤務手当」と等しい。
 いま、米空軍には、400人のRPAキャリア将校がいる。これは数年以内に1000人に達するだろう。
 発電機は、コンピューター・コードの数行の変更で、破壊され得る。
 F-16のフライ・バイ・ワイヤは、強いマイクロ波照射で神経崩壊する。
 2007にイスラエルがシリアの北鮮製核濃縮施設を破壊したときには、飛行機が爆弾を落す前に、シリアの防空は麻痺していた。空からのネットワーク破壊が行なわれていたという。
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 Rebecca Boyle記者の2010-4-8記事「 Navy Submarine Runs Eternally on Thermal Power from Ocean Currents」。
 米海軍研究所が資金を提供した、無人潜航ロボット「SOLO-TREC (Sounding Oceanographic Lagrangian Observer — Thermal RECharging)」は、海水の熱をエネルギー源にして、動き続ける、ほとんど永久機関。
 多数の筒の中にワックス状の物質が充填されていて、海面近くではそれは膨張する。海水温が下がったり、深度を増したときには、それは収縮する。熱によって位相が徐々に変わる物質なのだ。
 その収縮時に、油圧モーターが回る。そのモーターは発電機を回し、バッテリーに充電する。そして電動ポンプが、フロートの浮力を変化させて、機体を浮かんだり沈んだりさせる。
 この熱エンジンの設計は、ジェット推進研究所とONR。重さ180ポンドで大型のスクーバ・ボンベのような機体の設計は、カリフォルニア大のスクリップス研究所。
 すでに2009-11に初回のテストは成功していた。
 今週、SOLO-TRECは、深度500mまでの430回のダイブをやってのけ、その都度、1.6ワットの電力を生じた。GPS受信機と通信機をつけておけば、大洋のどこを漂流していても位置を把握できる。