兵頭いわく。来たる4-12にワシントンで40カ国会議があり、そこでは、テロリストの手に核が渡る可能性を極小化するための「命令」が米露から全世界の諸国に下されそうだ。
そのためにはまず4-8に米露間で手打ちをし、かつまた、核削減躬行の姿勢を公示しておく必要があった。
おそらくシナはボリビアやベネズエラなどを通じて南米のどこかにポータブル原爆の製造工場をつくらせたいのだろう。ゲイツがNPRの中で「拡散を図れば核攻撃する」と脅しているのは、「シナの手先になるなよ」と南米人を脅かしたものなのだろう。
こういう背景を熟知しているのだと思われる米『TIME』誌の記事から見て見ましょう。
Eben Harrell 記者の2010-4-8付け記事「Rescuing a Potential Nuke from the Chile Quake」。※蛇足ですが米国の日付に1日を加えたものが日本の現在の日付です。
先のチリ地震で焦ったのは、NNSA(U.S. National Nuclear Security Administration)の職員である。
サンチャゴの原発やら、1950’s~に実験用名目でチリが集めた高濃縮ウラン(HEU)が、ドサクサまぎれに盗み出されないうちに、それを回収して、米国東海岸の港にもってこなくてはならないからだ。
San Antonio港は津波で使えなくなったので、北隣の Valparaiso港から搬出することにした。
4-12からの大会議では、全世界のよけいなHEUはすべて米か露にあつめるという構想が打ち出される。
In the mid-1950s の米国の Atoms for Peace 政策は、非核国が核武装しない代わりに、平和利用用の HEU を与えようというものだった。
International Atomic Energy Agency (IAEA) の創設に続き、ついで、 Nuclear Nonproliferation Treaty of 1968.
たとえばチリは HEU を、80年代にかけて、米国のみか、仏と英からも調達した。
国連のP5は、50カ国に20トンもの HEU を 50 カ国に配給したものだ。そこには、Australia, Jamaica 、 Vietnamも含まれている。
ちなみに米と露は、2 million kg の HEU もっている。これには核兵器も含まれ。
過去にこのようにしてさんざん世界へバラまかれたHEUをすべて米か露に回収してくる。これが NNSA の仕事なり。
すでに2,692 kgの核分裂物質を 37 国からとりかえし、ひきつづいて、1,900 kg以上をとりかえそうとしている。
オバマ政権はこの仕事のために大きな予算を要求中。
しかし多くの後進国は、 HEU-fueled research reactors が国威を向上させていると思っている。
HEUの大量保有国であるカナダと南アは、これが医療用のアイソトープに必要だと言い張って、米からの供出要求に抵抗している。
ロシアも、仲のよくないウクライナから HEU をどう引き揚げようかと苦悩中。
2007-11にに南アで事件あり。南アの核研究施設 に 賊が押し入り、警備員を射殺してコントロールルームにまで入ったが兵器級のHEUは盗らず。目的と正体は謎のまま。
1992にはロシアの核技師が1.5kgのHEUを密売しようとして Podolsk 駅でつかまった。
ハーバードの Graham Allison氏(former Assistant Secretary of Defense who recently served on the Congressional Commission on the Prevention of WMD Terrorism)は、米国の大都市でテロリストの原爆が炸裂するのは2014より前かもしれんぞ、と叫んでいる。
チリの港は麻薬をはじめヤバイ物質の密輸トンネルとしてよく利用されているようだ。
NNSAは船まで持っている。パナマ運河はHEUの通過もOKだ。
次。
冷戦史家のCAMPBELL CRAIG氏が2010-4-8にNYTに寄稿した「Just Like Ike (on Deterrence)」。
核を非核国に対しては使わないという方針転換をさいしょに決めたのは、1957のアイクだった。
批判派は、それではソ連と戦争できなくなる、と言った。
だが、相互確証破壊が、以後冷戦期のポリシーになった。
アイク以前、キッシンジャーなどはアルマゲドン派であった。つまり、「限定核戦争」というものが可能じゃないか、と彼らは言ったのである。※これに基づいたのがペントミック師団で、陸自の第七師団は日本唯一の「ペントミックもどき師団」だったと思われる。だから「30ロケット」が「オネストジョン」の核弾頭運搬機能を密かに有していたとしても不思議はないのだ。
アイクはそう思わなかった。1発でもどちらかが使えば、それは究極までエスカレートするだけだと見た。
こんどの調印に、ボルトンなどはさっそく噛み付いている。
だが、オバマはアイクと同様の政治リスクを敢えて取りに行ったのだ。
次。
クリントンとブッシュの2政権でNSCスタッフだった Peter D. Feaver氏が2010-4-8にNYTに寄稿している「Obama’s Nuclear Modesty」。
既に核保有している国がアメリカを chemical, biological or cyber-attackした場合、アメリカは核で報復するオプションが残された。
大量破壊兵器を模索する非国家、要するにアルカイダだが、それに対しては核を使うかもしれない。これもオプションに残された。
そうしたアブナイ団体が活動している国はどうなる? 非核国でも、そこは核攻撃されることになる。
※つまり米国は日本国内の朝鮮総連や北鮮シンパ、無闇やたらな核拡散主義者である北京の手先たる日本人グループを日本領土内において核攻撃することもじゅうぶんにあり得るということだな。
非NPT国に対しては、核で脅すことも辞さない。
また、NPT違反国にも核攻撃はあり得る。シリアはそれに含まれる。
それと、遵守の定義だ。イランはNPTを守っていると主張するに決まっているが、そこをどうする?
また、ある国がNPTを遵守しているのかどうかについて、国連安保理やIAEAの判断にアメリカ政府が拘束されちまうのか?
例外条項がある。たとえば将来のすごいバイオ兵器。これを使った場合は、NPT遵守国だろうと容赦しない。
アメリカを非核兵器でとんでもなく破壊した敵にも、アメリカは核報復するかもしれない。ただしその規模・程度の線引きは、あくまで米国政府が決めるのだ。
自分に手枷を填めたことで、米国の核抑止力は少し弱くなった。
※つまり米国指導者層は、いまや抑止力の最大追求でなく、核不拡散をこそ最重要使命に選ばねばならない瀬戸際に来ていると意識しているのだ。
だが、誰もが、イランや北鮮が核武装路線を捨てるわけがないと、思っているだろう。
次。
『Voice』の2010-5月号への長島昭久氏(防衛政務官、代議士)の寄稿。
沖縄の海兵隊は、2012-10以降、いまのCH-46をV-22にリプレイスしていく。これにより環境アセスメントの前提が変わってしまう。
長島氏はもともと研究者として米軍再編について検討し、嘉手納基地に普天間基地を統合するのがベストな解決策だと考えてきた。
だが米国側が一枚岩だと実感させられたので、「二段階論」に変えている。
すなわち、10年かけて沖縄を自衛隊だけで守れるように強化し、その段階で、アメリカの海兵隊に撤退を促すのだ。
与那国島は、2010-2の米QDRに書いてあるシナの「接近拒否戦略」も考えあわせたなら、「いまのような無防備に近い状態で済まされるものではないだろう」。
社民党の福島党首も、自衛隊を合憲と認め、原発を容認する方向にあると聞いている。
※長島氏は、米軍、特に海兵隊に沖縄から出て行ってもらうために、自衛隊で先島群島を強力に守りたいと考えている。じつに正常だ。大賛成だ。
次。
2010-4-8の「Solar Powered Wavepiercer Cat」という記事。
2010-3-31に世界最大の太陽光発電だけで走るカタマラン船「Planet Solar」がキールの造船所から進水した。
長さ 101.7 ft で、巾 52.5 ft で重さは85トン。船体もプロペラもカーボンファイバー。
設計はニュージーランドの LOMOcean Design
lithium ion battery が 20キロワットを発生し、7ノット出せる。
これは25馬力の船外機相当である。
ソーラーセルの面積は 5,380平方フィート。
次。
Jeremy Hsu記者がポピュラーサイエンスのためにまとめた2010-4-9記事「 Molten Metal Batteries Yield 20 Times More Current Than Lithium-Ion」。
熔かした金属の電池がリチウム電池の20倍の電流を達成。
熱くて携帯電話には使えないが、電力網のバックアップにはなる。
この電池は常に700℃を保たねばならぬ。熔けたマグネシウムが上層、アンチモニーが下層である。中間層は、その混合物になっている。
充電すると、中間層で分解が起きる。放電ではその逆。
船のコンテナ・サイズで、1メガワット。これは100ワット電球×1万個を数時間点灯できる電力。
リチウムよりはるかに材料費が安い。
※これは地熱かHTTRで加熱したらどうだ?
いくつかの都市では硫酸ナトリウム電池をバックアップ電源にしている。その最大のものはテキサス州のプレシディオ市にある。
次。
同じ記者による2010-4-9のまとめ記事「 Power-Seeking Flying Microdrone Would Scavenge Solar and Thermal Energy Day and Night」。
太陽光の他に、大気中の熱を吸収して夜でも飛行を続ける超軽量のUAV。
DARPAが契約したのはAurora Flight Sciences社。
この機体の名前は Skateという。畳んで背嚢に入れておき、取り出してブーメランのように投げればよい。ビルの中にまで入って偵察してくれる。
将来の発展型として、薄いリチウム電池のフィルムそのものを翼にしてしまいたい。その上面はソーラーセルにし、下面は赤外線受光発電素子【infrared photovoltaic cells】にして、夜間の充電に役立てる。
スケイトは40ワットの電力が必要だが、その95%は太陽光から得る。5%は空気熱(=赤外線)から得る。
コウモリのソナーにヒントを得た航法支援装置も組み込みたい。
※技本の二人組はこういう記事を見て欲しい。
オーロラ社は、前にもExcalibur という、ヘルファイア×4で武装して垂直に離陸できるドローンを試作した。また巨大なOdysseusという太陽電池式飛行機もDARPAから受注して作っている。
次。
グリーンエナジーニュースの2010-4-8記事「CARBON FIBER FOLLOWS ALUMINUM IN FULL GREEN CYCLE」。
米国アルミニウム協会は、運輸省のあたらしい省エネ指針を歓迎。スチールの代わりにもっと自動車やトラックにアルミ合金を使えば、自動車を小型化しなくとも燃料の節約になると強調。
衝突を緩衝する機能はアルミの方がある。
車体が10%軽くなるごとに、燃費は 5 ~ 7 %よくなるのだ。
ハイブリッド車やディーゼル車をアルミ合金でつくれば、燃費は 13 %よくなるであろう。
アルミは金属屑の再利用コストが安い。ボーキサイトから作るのにくらべてわずか5%のエネルギーで済むのだ。
アルミの精錬工程の初期段階には、地熱が利用できる。アイスランドにはすでに2つのプラントがあり、3つめも建設中である。
※これが本当ならアルミを製造するときのエミッションは製鉄業よりもはるかに減るわけか。あとは電力をどこからとるかだね。
アルミの他には、炭素繊維が有望だ。
SGL Group は Moses Lake, Washington に炭素繊維工場をつくり、BMW社がそれを使って Megacity という街乗り用の電気自動車をライプツィヒで2015までにつくる。FRPをさらに炭素繊維で強化したCFRPを採用するのだ。
この工場は水力発電で電気を得る。しかも会社は、炭素繊維のリサイクルにも配慮するという。