外務省はF-16リースを真剣に検討すべし。硫黄島基地の大拡張もね。

  Graham Warwick記者の2010-4-13記事「Start-up Proposes Radical Remake for OH-58D」。
 メーカーが提案。カイオワを二重反転ローターにする案。
 米国の明野ともいうべき Fort Worth, Texas で近々、予算化を訴える。
 今の4枚ブレードを、3枚×2のコアキシャルにする。
 シングルローターよりも、同直径のコアキシャルの方が5%、必要な動力は少なくて済む。
 しかもテイルローターを動かさなくてよいので、それだけでも従来より10%の動力節約になる。
 同じエンジンを使うが、これであわせて15~20%の動力節減となるのだ。
 テイルブームは縮め、機体軸に回転軸が並行なダクテドファンをそこに左右2個並べて取り付ける。
 このダクテドファンはピッチ可変。それゆえ、左を推進に、右を逆進に、といったワザも使える。ホバー力も生むことができる〔ダクテドファンが首を振るのかどうかはこの記事からは判明せぬ〕。
 巡航飛行のとき、ふつうのヘリは機首下げの姿勢で飛んで行かねばならないのだが、このダクテドファン付きならば、機首下げの必要がない。逆に、じゃっかん機首上げの姿勢で前進できる。これは燃費を節約する。
 しかも巡航時はメインローターをアイドリング気味にしておればよい。ますます燃費は良くなるのだ。※そんな良いものなら、なぜいままで誰も試みなかった?
 燃料満載&完全兵装して、巡航で240浬、3.1時間の滞空ができるだろう、と。
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 Mark Thompson記者の2010-4-13記事「Is the U.S. Army Losing Its War on Suicide?」。
 2009夏までのアフガン作戦で、米兵は761人戦死した。
 ところが、同じ期間に、817名の米兵が自殺している。過去5年、自殺兵は右肩上がりで増えている。陸軍が調べたら、率としては、2006の数値は2001の2倍である。民間ではこの期間に自殺率は増えていない。
 何度も繰り返して戦闘部署につけられることが、自殺の引き金のようだ。
 解決策は、兵隊ひとりあたりの、前線に配置される頻度を下げ、本国で過ごす時間を延ばすしかない。だがそれには陸軍の定員を増やすか、前線張り付けの兵員を減らすしかない〔つまり不可能〕。
 2009には160人の動員中の陸軍兵士が自殺した。2008には140人、2003には77人だった。
 3人に1人は、前線配備とは関係ない部隊の者だった。2/3は、戦闘地域においてか、もしくはそこからの引き揚げ後の自殺である。
 頻繁な前線配置が、ある兵隊の人間関係をバラバラに破断する。これが原因の一つだろう。※旧日本軍のような「郷土聯隊」建制ならばこの問題は無いわけか? 中隊長を父と思い、先任曹長を母と思う「擬制の家」は、今日の米陸軍にはありえんということだな。
 ここ数年、米兵たちは、イラクやアフガンの前線から本国に戻って1年で、またイラクやアフガンに征かねばならなかった。最近、それが2年近くに延長されようとしているところだ。だが専門家いわく、本国で過ごすインターバルが3年間は無いと、1年間の戦闘配置ストレスは解消し難いだろう、と。
 戦闘経験は、死はおそろしいという観念を稀薄化させる。それがまた自殺を容易にしてしまう。
 自殺兵の半分は、武器を用いている。前線配備中の自殺例に限れば、93%は軍の武器を用いての自殺である。
 空軍を退役した自殺専門家は、これは『キャッチ22』だ、という。※あのつまらない小説か。映画もくだらなかったが、WWII中の米兵がイタリアで売春婦に不足していなかったという事情だけは納得できた。
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 Paul McLeary記者の2010-4-12記事「Watt-Rich Vehicles Will Boost Capability」。
 まさか、こんどは「野外原発車」?
 米陸軍が、部隊に随伴し、1メガジュールを発電できるトラックの開発を検討中。これだけの電力があれば、「電磁砲」が実現する……だと!?
 しかもそれだけの電力があれば、水でも燃料でも、部隊の自前でつくりだせるのだ。次の補給まで30日間あっても、だいじょうぶになる。そのような技術が、早ければ8年後には実現するだろう。
 軍用車両は今の2倍の電力を消費するようになる。歩兵の電池負担は今の半分の重さにしなければならない。
 BAE Systems 社は、すでに本格的な車載発電所を、 Paladin Integrated Management (PIM) howitzerのために開発している。その次世代バージョンは、30kwを車載で発電できる。70kwも射程内にある。
 いまや、装甲車やトラックがアイドリング中でも、その電子器材をフルに働かせ続けるに足る電力が供給できなければならないのだ。
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 4-6発表のニュークリア・ポスチュアー・レビューと4-8条約のプロトコルのPDFをようやくナナメ読み完了。これだけの情報を開示しようとする米国……。指導者層の法哲学上の素養が日本などとは段違いであると思わざるを得ない。
 ALCMはあと10年で退役する。次世代のALCMをつくらねばならない。
 SSBNが海に出ていない時期をつくったり、ICBMのアラートを緩和して一部を敢えて休ませたりはしないほうがよいと結論。なぜなら、またアラートに戻る前に攻撃したいと相手が思ってしまうから。
 大統領がICBMにプロンプト・ランチを命じたくなるようなインセンティヴを減らす、新しい、サバイバビリティの高い配備の流儀を模索する。
 米国のICBMをデ・マーヴしてシングル・ウォーヘッドのみにするから、、米露のどちらの指導者も、自国の核をプロンプト・ランチしたくなるインセンティヴはなくなる。※阿呆のマクナマラの呪い、いまここに解ける……!
 TLAM-Nは危機のときに前方展開させる核だった。だが、ICBMとSLBMでも抑止は十分だというのが結論。※のみならず、オハイオ級×4隻をSSGNにコンバートしたりしてしまったものだから、これがロシアに疑心暗鬼をもたらし、軍縮交渉の大きな障碍となってしまっていたのだろう。たぶん、米海軍の次世代の水中発射巡航ミサイルは、魚雷発射管からは発射できない大きなサイズとされるのではないか?
 NATOの非核国は、核運用できるようにしてある飛行機の所有によって、核攻撃をうけたときに、米国の核弾頭の運搬を分担できることになっている。
 ※具体的には、ベルギーとオランダのF-16、独と伊のトーネイド。つまりこの4国は、ロシアが核攻撃してきた暁には、アメリカからB61水爆(サイズは直径33センチで重さ320kgにすぎぬ。イールドは戦術型だと170キロトンで、核トマホークよりも強力。しかも超音速で投下したり、地面に寝かせてから起爆させるモードも選択可能)をゆずりうけ、自国の戦闘機に吊るしてロシアと戦えるのだ。B61は、約480発が米本土と欧州にあるとみられる。これをあと十数年は維持したいというのである。したがって、もし日本がF-16をリースで装備すれば、シナが日本を核攻撃した場合に、米本土のB61を貸してもらえるかもしれないのである。
 アジアには、常時前進配置済みの核兵器は無い。冷戦終了後〔’92年〕、水上艦と、ジェネラルパーパス潜水艦からは核弾頭を下ろした。
 ゆえに、いまでは、セントラルな〔つまり米本土やハワイの〕戦略核兵器や、危機時に再度前方展開される核兵器〔これはB-2とB61しかあるまい〕に、アジア同盟国の核抑止はかかっている。
 だから、前方展開されている通常兵器が総合抑止に果たすべき役割が大きくなってきた。
 戦略核重爆撃機(B-2とB-52H)は、危機時に、それを前方推進展開させることによって、同盟国のために核抑止をするぞという米国の決意の対世界的なデモンストレーションになるのである。
 B-52Hの何機かは、非核専用にコンバートするであろう。
 ロシアはNATOの近くに多数の戦術核を置いている。アメリカは少数の戦術核を、西欧と米本土に置いている。
 よって米国は西欧の戦術核爆弾を維持すべし。B61爆弾を延命すべし。
 B61は、F-35とB-2で運べるように維持する。
 ※こう宣言された以上、これからシナ政府が全力で日本のF-35取得を妨害にかかるのは間違いないだろう。外務省内の北米局とチャイナスクールの闘争がみものだ。硫黄島に危機時にいつでもB-2を受け入れられるようにしとかないと、日本は外見的に見捨てられますぜ。SSBNは出航してから帰投するまで、いちども浮上も寄港もしないんだから、ポラリスいらい、「米国が日本に核の傘をさしかけていますよ」というPR力はゼロ。そのうえにトマホークの時代がとっくに終わったというのに、外務省北米局の目が醒めないのだ。なぜかというと、レギュラスの時代(1955~1964)以来、米艦内搭載の核巡航ミサイルについては、その艦が敵国のスパイの目に見える「寄港」をしてくれるありがたさに加えて、格納の特性から外見的にいちばん曖昧であるために、「持ち込み」に関しての国会答弁をやすやすと乗り切ってきたという〈便利な核の傘〉の幸福な記憶が彼らを支配しているからなのだろう(レギュラスは渤海湾の外から北京を核攻撃できる射程があった。嘉手納には長射程のメイスが地下シェルター式に展開していたのに、佐藤栄作が核抜き復帰を公約したために撤去されてしまった)。日本にどういうわけかトマホーク信者が多いのは、外務省北米局が対支/対北鮮の観点で〈入信勧誘〉していたからだったのかと、ようやく見当がつく。
 SLBMのW76弾頭を延命作業させるための予算をつけよ。
 ICBM用のW78弾頭を延命作業させよ。
 TLAM-N、つまり核付きの海洋発射巡航ミサイルは、リタイアさせるべし。そのようにNPRは結論する。
 ※ストックパイルのW80弾頭の延命予算についてNPRは無言及である。空中発射型巡航ミサイル用(B-1とB-52Hが運用)のMod1はB61と同じようなものだから無言及でもよいのか? 海洋トマホーク用のMod0は起爆コアのプルトニウム240を極限まで減らした、ガンマ線を出さない(したがって潜水艦の水雷室に長く保管していても水兵に健康被害が及ばない)特殊なものだから、これを延命する予算をつけないということは、もう海洋発射核トマホークの復活はあり得ないわけ。空中発射巡航ミサイル用の弾頭を海洋発射用に密かに転用することは、水兵の健康上の理由もあって、アメリカでは許されないのだ。
 既存の弾頭を、既存のシステムとは違う新任務用には使わない。
 ※B-2用に既にあるB61の地下侵徹型とは違う、ラムズフェルドが欲した新型マイクロニュークも、もうつくらない。
 次。
 別宮暖朗先生のご新著『帝国陸軍の栄光と転落』(文春新書)、半分読んだところですが、最高に面白いです。これを企画した編集者もさすがだね。