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 マリタイムニューズの2010-4-16記事「NAVSEA Removes Fuel from Sunken WW II Era Ship」。
  米領サモアのパゴパゴ港に1949-10-7に沈んだ米軍艦『Chehalis (AOG-48)』の油槽内から油脂を抜き取る作業をすることに決定。
 同艦の沈没原因は、ガソリン・タンクの爆発であった。沈底深度は160フィート強。
 ※サモアがどうして半分米領なのかについては、既著の中で書いた気がする。……が、タイトルが思い出せん。
 同艦は Patapsco-class の gasoline tanker であった。
 艦内のタンクはいつくかに別れている。その揮発油の残留量だけでいまだに十分な環境への脅威たり得る。
 ※この記事では、舶用軽油を diesel fuel marine といい、舶用重油を black oil と呼び分けているのか、それとも、この両者は同じなのか……釈然とせぬ。当時、軽油を舶用に使ったとすれば、それは高速魚雷艇のための補給物資? いずれにせよ日本語表記の「揮発油」「灯油」「軽油」「重油」は、誤解混同の余地がぜんぜんないので、素晴らしいですわ。
 『Chehalis』内のディーゼル槽については、抜き取り作業は楽なのだ。hot tap法、つまりいきなり隔壁を切開してヴァルブをとりつけてポンプで吸い出せばいい。だが、中味がガソリンとなると、溶断作業が爆発を招きかねないことと、燃料油がホース内を移動したり、底の深い回収タンクへ落下する際に生ずる静電気の放電ででも爆発事故が起き得るため、難がある。
 吸出しホースの先をダイバーが船倉内に挿入する。ホースは常にアース放電されている。
 そして航洋型バージのタンク内に、落差数インチで回収するつもり。
 次。
 2010-4-18記事「Let Me In, Dammit」。
  早く入れろ、馬鹿野郎! いりちくり~!
 アフガンではようやく、 M-ATV (MRAP-All Terrain Vehicle) が普及してきた。しかし初陣につきものの「要改善」箇所もわかってきた。
 出入り口扉(側面に2箇所、後面に1箇所)のラッチが、外側から開けようとするとき、ときどき動かねえことがありやがる。
 この不具合によって死んだ兵隊はまだいないが。兵隊たちは、3つのうち、外から開くドアを探しもとめて、右往左往せねばならない。いくつかの部隊では、所属のM-ATVの半数以上にこの問題があるという。
 メーカーでは、すぐに修理します、と言っている。
 車内には収納スペースがなさすぎるので、電子器材で窓の視界が塞がれてしまう。
 FO(砲兵の前進観測所)用としては、操縦席の前と横の窓の面積が小さすぎるのは大問題。一目で広域を見回すことができないのだ。
 そこで機転の利くFO将校は、必要な電子端末類一式を前席から後席に移設してしまい、後席のより広い窓から観測をするようにしている。
 しかしほとんどのFOたちは、旧型だがいろいろと余裕がある MRAP をひきつづき選好することで問題を解決している。
  M-ATV は単価が $587,000で、重さは 15トン の 4×4である。独立懸架で不整地機動をしやすくしたのがウリである。
 底板は V shaped の装甲トラックだ。
Payload は 1.8 トンで、銃手を含めて5名の passengers を乗せられる。
 最高速度は 105 km/時。内部燃料タンクだけの路上航続距離は515kmである。ハンマーより、チョイおおきいクルマだ。
 道路を走らないことによりIEDを避けようというわけだが、アフガンの不整地は、装軌車すら、ヘタにころがすと履帯が脱落するくらいの、ひどいところだ。
 次。
 2010-4-15アップのこれまたミリタリー・コムの無署名記事「Swedes Screwed By Chinese」。
 シナ人に盗られたぜ、とスウェーデン人。
 このたび、 Swedish Bv206 all-terrain vehicle の完コピ品をシナ軍が臆面もなく公表した。
 救急車仕様としてあるが、いつでも本来の多用途仕様にできるもの。
 it looked just different enough to be a copy. China is infamous for the boldness with which it copies foreign military equipment designs.
 英海兵隊は何年も前から Bv206 を買ってアフガンへ持ち込んでいる。
 なにしろ道路がないという国なので、これは装軌車しかあんめえと結論を出したのだ。
  Bv206 は無装甲。そのかわり雪原や湿原でも、2.5トンを運べるのだ。より大型の BvS10 なら5トンを牽引できる。
 前後に2台の小型装軌車が連結されており、パワートレインでもつながっている。
 前車は自重4.9トン、後車は3.1トンだ。
 旋回半径は 47 foot である。
 前車には4名が乗れる。後車には8名。
 そのままで水上浮航に移行することができ、浮航時の速力は5km/時。だから上陸作戦に使うことができる。※なるほどシナ軍が目をつけるわけだな。
 路上では最高65km/時である。
 Viking (BvS10) の単価は $890,000 である。
 カナダ軍は補給車として Bv206 を使っているのだが、その幅広の履帯の接地圧が低いために、なんと、対戦車地雷を爆発させずに通過することができることを発見した。
 ※こりゃあ旧軍の「湿地車」をリメイクして米軍に売るしかないですね。
 同車は、民間により、極地のみならず熱帯地でも、駆使されている。
 メーカーがシナに文句をつけたかどうかは不明。※シナはいちばん弱い国から順番に踏み倒そうとする。戦前ならデンマーク。こんどのカモはスウェーデンか。
 次。NYTのEditorialに2010-4-17に載った記事「Arizona Goes Over the Edge」。
 メキシコからの不法移民の数に怒り爆発したアリゾナ州が「警察国家」化を志向。すごい法律が通るかも……。
 ※アリゾナ=メキシコ国境は、なにしろ地形がまっ平で、河川境界のようなものがないし、無人の荒野だから、万里の長城でも建設せんことには、密入国を阻止しようがないようだ。
 この新法では、警察官は、その場で即座に不法移民ではないことを証明できぬ者を、すぐさま逮捕できる、とする。キミが有色人種で、財布を家に忘れて外出した場合、トラブル必至だろう。
 しかも、アリゾナ州の各自治体の官吏や公務員が、不法移民の摘発にどうも不熱心じゃないかと州民の誰彼に思われたなら、その公務員は州民によって告訴さるべし。
 ※じっさい、末端のシェリフが賄賂をとって密入国ブローカーと結託しているという報道もあり。
 アリゾナ州議会下院は共和党が優勢であるが、すでにこの法案を可決し、州上院も通過。あとは共和党知事のJan Brewerの署名をまつばかりなのだが、彼女がサインするかどうか不明。
 現場警察官は、この新法を歓迎していない。有限な警察資源を、重要ではない仕事にとられてしまうからだ。