25日は「読書余論」の配信日です。

 米国の失業も深刻らしい。
 Steven Gray 記者による2010-4-24記事「Fixing Detroit: A Laboratory for Saving America’s Cities?」。
 デトロイトは米国で11番目に大きい街だが、予算の逼迫のため、この夏には公立学校の1/4を閉鎖する。
 ※学校の先生が失業すると、中産階層の崩壊とか騒がれそうだが、インターネット授業で代替できるような内容が多すぎるだろ。
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 ストラテジーペイジの2010-4-20の無署名記事「Wonder Watch For Snipers」。
 弾道計算機つきデジタル腕時計が発売されたよ。
  “5.11 Field Ops Watch”という名で、値段は $240 だ。
 電池は1年以上もつ。
 ハンター向け商品だが、
 2009から米陸軍と海兵隊は、携帯型弾道計算機を供給。
 重さ 17 ounce のTrimble PDA type device で、ソフトは Horus Vision 製。値段は2000ドル。
 距離2000m以上での狙撃を可能にしてくれるものだ。
 Blue Tooth と WiFi も対応。
 使用する狙撃銃の型、的速計測、距離計測、風速などを反映して計算してくれる。
 前のデータも保存できる。
 The marines have ordered 1152, and the army 6500.
 だが多くの狙撃手はすでに個人で市販品を調達していた。
 たとえば a commercial PDA に CheyTac ballistic software を入れたもの。
 こいつは、Kestrel 4000 という、wind/temperature/atmospheric pressure sensorsを PDAにつなげて使う。
 これを使えば、人間くらいの面積の標的ならば2000mでの命中を期すことができる。
 銃につける照準スコープが、光学のみの非電気式であっても、対応する。
 もっと経済的な方法もある。わずか12ドルの BulletFlight software を、ショップで iPhone に入れてもらうのだ。そして狙撃銃のrail〔スコープなどを後付けできるマウント〕には25ドルの専用計測器を取り付ける。すると、こいつが、wind, temperature, humidity, altitude and barometric pressureを勝手に計測して入力してくれる。50ドルの iPod 専用保護ケース、それから150ドルの iPod Touch (8 gigabyte version)も必要だ。液晶画面に、キミの銃のスコープの目盛りをいくつ変更すればよいかが、表示される。ただし、キミの銃の型、それから発射する弾丸の重量は、前もってキミが入力せねばならない。
  iPod Touch の screen は輝度を最低に調節できるから、暗夜にキミが浮かび上がってしまう心配は少ない。300m以上離れた敵からはまず見えないだろう。※これは甘いね。敵もノクトビジョン付き双眼鏡ぐらい使うだろう。
 イラクやアフガンの米兵のために、IPods で使える言語翻訳ソフトもつくられている。
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 ストラテジーページの2010-4-24記事「Pilots Shot Down By F-35s」。
 デンマークはジェット戦闘機のパイロットを新規に訓練することをやめてしまった。
 米国で訓練を受けるはずだった12名が、すでに職種転換。
 なんとなれば、48機のF-16を30機まで減らすことになったので。
 またデンマークの周りには特別脅威を感ずる隣国がないので、F-35でリプレイスするときには更に機数を減らしたい。
 戦闘機パイロットは、育てるのに5年かかる。その訓練費用は1人につき数百万ドル。
 F-35は自重27トンで、武装は、25ミリ機関砲と、機体内に収納される4発の空対空ミサイル(またはAAM×2+爆弾×2)。加えて、機外には4発の爆弾+2発のAAMも余計に吊るせる。兵装は総計で6.8トンまで。機外兵装がゼロの状態でのステルス性は高い。
 開発コストは当初見込みの3倍になっている。この調子だと、ぜんぶで5000機を製造すると考えた場合の単機のコストは、嵩んだ開発コストが均分で上乗せされるとして、$130 million になるだろう。
 総生産機数の6割が米国以外のユーザーへ売られるはずであったが、これほど単価が上昇しては、買わぬという国も出てくるだろう。
 イラクとアフガンでハッキリしたことは、精密誘導爆弾が進歩すればするほど、必要な飛行機の機数は減って行くということ。
 ※オランダとベルギーは小国ながらも過去の被侵略の歴史が重いのでF-16/F-35から「B61」水爆を運用するオプションは捨てられない。しかしデンマークやノルウェーなどになると、もう予測し得る将来、どこかの国から侵略されることなんてないと高をくくっているので、F-35の調達を止め、F-16の定数も減らす可能性があるでしょう。こんな調子で外国がF-35を買う機数を減らしていけば、その分、いま暴騰中の開発コストの上乗せ分担は、新参バイヤーの日本が肩代わりをせねばならなくなります。すると1機のF-35は、駆逐艦1隻よりも高額になってしまうでしょう。日本の空自のF-4の更新は、中古の米軍F-16のリース(プラス、リーパー級UAVの模倣コピー)でも十分すぎるくらいです。
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 Noah Shachtman 記者の2010-4-23記事「Obama Revives Rumsfeld’s Missile Scheme, Risks Nuke War」。デンジャールーム。
 通常弾頭の戦略弾道ミサイルは、ラムズフェルド時代に発案されたものだが、こんなものをつくったらWWIIIではないか? なぜならその発射はロシアやシナからみて、ホンモノの核弾頭付き弾道弾と区別がつかないからだ。
 ※分かってませんねこの人は。だからこそ「De-MIRV」(全ICBMの単弾頭化)を米国だけが率先してやりますよとニュークリアポスチュアリビューで約束しているんじゃないか。その検証方法は新条約のプロトコルを読めば分かるが、ロシア人を十分に安心させるものである。米国の(直前に検証済みの)サイロからICBMがイランに向けて1基発射されてロシアの上を飛び越しても、それは単弾頭なのだから、ロシアは焦って反応する必要はない。
 この構想、ブッシュ(子)政権が何度も予算要求し、そのたびに議会が予算を拒否してきたという来歴がある。
 ただし、ラムズフェルドは、通常弾頭の運搬手段としてSLBMを使うことを提唱していたのだが、オバマ政権の“Prompt Global Strike” plan は、ICBMに切り替えた。※技術的にトライデントで不可能だからではなく、米国SLBMは基本MIRVな上に、一部を単弾頭化したり通常弾頭化してもそれをロシア人に信じさせることが難しいから、偶発核戦争の引き金になりかねないと判断されたのでしょう。精度的にはトライデントで十分なのです。
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 TOBIN HARSHAW 記者の2010-4-23記事「Will Wall Street Be Saved by Porn?」。
 ワシントンのSECで金融機能の崩壊を阻止するための重大な責務と強大な捜査権をもたされている最上級職員が、1日に8時間もポルノサイトを閲覧し、ダウンロードに励んでいた。
 彼は、HDの空きスペースがなくなってしまうと、CDやDVDに焼くようになり、そのディスクが彼のオフィスの段ボール箱をいくつも満たしていた。
 ※高画質動画ならともかくも、スチルでHD一杯って、あり得るか? 要するに1点1点を選ばずに、サイト全部まるごとを片端から保存していたということなのか?
 この職員、画像検索に Google images を使っていたのだが、Sex とか Pornography という単語が入っているウェブサイトはSECの設定したフィルターで自動的に弾かれてしまうので(月に16000回の彼のアクセスがその機能によって弾かれていたという)、very graphic〔これは血みどろショッキング映像によく使われる形容詞〕と呼び換えて韜晦しようとしていた。
 ※なるほど、このフィルターがあるから、ひとつのエロサイトから別なフレンドリーなエロサイトへ、リンクでホッピングしていくブラウジングは不可能だったのか? だとすれば、ますます驚異的な忍耐力or集中力と評すしかない。
 この職員は14日間の停職中。
 SECには彼のクラスの高級局員は17人居り、その年俸は、 $222,418 である。
 以下、それについての読者の声。
 SEC職員を全員女にすれば解決さ。
 APによると、過去数年で、33人のSEC職員のポルノ閲覧疑惑の捜査があったらしい。
 こうした不良公務員を、米国政府はクビにすることはできず、ただ退職を促すことができるだけのようだ。