Denise Ngo 記者がサイエンスデイリーの記事を要約した2010-4-27アップ記事「Injection of Melanin Nanoparticles Could Make Human Body Radiation-Resistant」。
Albert Einstein College of Medicine of Yeshiva University の研究で、メラニン色素で、シリカ(砂)の微粒子を数層にコーティングしたものをネズミに注射すれば、骨髄が放射線に対してプロテクトされるので、正常細胞を損傷せずに癌細胞にもっと放射線を当てる治療ができるようになりそうだという。
骨髄が放射線でいためつけられると白血球や血小板の数が減ってしまうのがこれまでの大問題だったが。
肝臓、肺、脾臓を通り抜けられるくらいに微細なシリカのナノ微粒子にメラニンを塗布し、注射すると、骨髄にべったりとまといつく。しかるのちに放射線照射。
この注射をされたネズミは、白血球と血小板の回復が、注射されないネズミよりも早かった。つまり骨髄は放射線から遮蔽されたのだ。
この加工粒子は注射後24時間経っても骨髄に残っているが、それは食細胞が除去してくれる。
動物実験を続け、3年以内に、癌患者に対してこれを試す。
博士いわく、これは宇宙飛行士を宇宙線からも守ってくれるだろう、と。
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Clay Dillow 記者の2010-4-27記事「 Japan to Launch Solar-Sail-Powered Craft Out Beyond Orbit for the First Time」。
JAXAは5-18に「宇宙ヨット」を打ち上げる。
名前は Ikaros (= Interplanetary Kite-craft Accelerated by Radiation of the Sun )。
髪の毛よりも薄く、46-foot の広い「帆」を展張し、太陽からの光子を受けて飛翔を続ける。帆の角度を変えることでコースも変える。
成功すれば、日本初の金星探査機もこの方式でなされる。
日本は2015までに月面に装輪式ロボット車両を送り込む。
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Nathan Hodge 記者の2010-4-27記事「Black Sea Drone Wars: the Sequel」。
ロシアとグルジアの間の争点になっている、分離運動中の republic of Abkhazia の上空にグルジア空軍が無人機を40回以上も飛ばしてきているとロシア政府が非難。
Abkhazia は 1992~1993 の内戦で、グルジアから分離した。ところが、それを国家承認しているのは、いまのところ、 Russia, Venezuela, Nicaragua and Nauru だけなのだ。 ※つまりグルジア側とすれば主権問題で、領空侵犯ではないわけ。それにしても何故ナウル?
Abkhazia にはロシアが軍事的な保護を与えている。※現代の「満州国」。
2008にロシアとグルジアが戦争になる数ヶ月前、黒海上空でロシアの有人戦闘機がAAMでグルジアの無人機を撃墜した。その被撃墜映像は公開されている。
※つまりこれをグルジアが公開したってことは、その空域は自国領空であったという自信があるということか。
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AFPの2010-4-27記事「Taiwan Exercise Focuses on Possible China Assault」。
台湾軍の滑走路をシナ軍が数波の爆撃機とSSMで奇襲攻撃したのを即座に修理するというシナリオの演習を実施し報道陣に公開。
台湾東部の Hualien 市郊外の基地で。
※SSM数百発くらいでは台湾の空軍基地は有事に麻痺せず、よって台湾を武力で征服することは不可能であると内外に印象づける演習。
また、4機のミラージュが6分で緊急発進できることもデモ。
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Graham Warwick 記者による2010-4-26記事「DARPA Investigates Hypersonic Glider Loss」。
ロックマートとDARPAが開発した HTV-2 は、4-22のVandenberg AFB, Calif.からの最初の打ち上げ直後に喪失していた。
Orbital Sciences Minotaur IV Lite booster の第三段はまちがいなく正しい角度になってクラムシェル・フェアリングを開いて HTV-2 を大気圏の最上層に放出した。
しかしその9分後、テレメトリーは途絶えた。
予定では、大気圏再突入後、いったん上昇し、太平洋を滑空で横切って、 Kwajalein Atoll の北方海面へマッハ20で突入・自爆する予定だった。途中で何度かのSターンもさせる予定だった。
この宇宙グライダーは、9000浬離れた目標を、2時間以内に通常爆弾で攻撃しようという、「prompt global strike weapon」のひとつである。
第二回の発射テストは2011に、マッハ25での機動を試す予定であった。
スペースシャトルとの違いは、地表にアプローチするときの降下角度が浅いこと。シャトルが40度で突っ込むのに比べ、 HTV-2 はもっと滑空率が大である。
一体成型の高負荷 carbon-carbon aeroshell でできた機体は、高熱に耐えてくれる。※BMのRVと違ってフラックスに頼らない。つまり受けた熱の大半をまた宇宙へ輻射することで融解を防ぐ。
さすがに、機首と翼前縁は、滑空中に1~2インチも減ってしまう(摩擦で燃えてしまう)。
この焼蝕の具合をつきとめるのも課題。
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ストラテジーページの2010-427無署名記事「Naked Trucks Everywhere」。
米陸軍は37セットの車載型 Backscatter radarsを追加発注し、アフガンに運ぶ。
このレーダーは現地人のトラックを外部から検査し、武器やゲリラが隠されていないかを判別するもの。
すでに過去7年に 300 セット 以上のこの radars がイラクとアフガンの米軍によって使われてきている。
こいつの仕組みは、昔のレントゲン撮影のようなものとは違う。
バックスキャターの基本原理は、冷戦時代に敵のBM発射や爆撃機の離陸をできるだけ遠くから探知しようとして考えられたOTH(超水平線)レーダー用に考えられた。
※その当時のバックスキャターOTHは、巨大な地上局を2局、何千キロも離して建設し(しばしばその1局は同盟国内へ設置)、その2局の中間を敵のBMやボマーが横切ることで電界がかきみだされるという現象を利用しようとしたもの。
だが、いまのバックスキャターは軽量化し、ヴァンの中に車載されている。名付けて “Ruggedized Detection Imaging Modules” (RDIM) という。
X線で透視することにより、トラックの中に在る有機物と無機物とが識別できる。
また、現地人が衣服の下に爆弾を巻いているかどうかが見える。
数秒で、写真レベルの像が得られる。
よって、米兵は現地人の服の上から手で触れてみる必要はなくなる。「その機械の前に立ってみろ」と、遠くから命令するだけでよくなる。よって検問の哨兵に対する自爆テロは無効になる。
機械は、1セットが $1.3 million dollars する。
維持費は、 over $10,000 a month である。
米軍は2005からこいつを買い始めた。そしてすばらしい機能であることをすぐに認めた。
VIP警護用として南米や中東の諸国がこの装置を買ってくれているので、量産効果により、Z Backscatter の単価は、4年前の1/3に下がった。
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Mark Thompson 記者がタイム誌に2010-4-26に載っけている記事「The Navy Goes in Search of a U.S.S. Prius」。
全長 844-footの U.S.S. Makin Island は、ガスタービンと電気モーターのハイブリッド強襲揚陸艦だ。
調達価格は $2.5 billion であった。
なんと機関科員は、在来艦の半分の12人で済んでいる。
かつての蒸気タービン軍艦は、いったん罐を冷やしてしまえば、数日かけて蒸気圧を上げないかぎり出航はできなかったものだが、このフネは、機関が冷えた状態から1時間以内で出航ができる。
Makin Island’s electric power comes from a pair of diesel generators. 電気は2基のディーゼル発電機から得る。※ようやくこの記事により、主機のガスタービンやその余熱では発電はしていないらしいと見当がついた。
camelina oil は 1ガロンあたり $65 である。※この記者はジェットA-1と海軍用JP-5燃料の区別はつけていないように見える。
そのカメリナはモンタナで栽培したものだ。
いま、米海軍の艦艇の 17% (空母と潜水艦)が核動力である。
そして海軍長官いわく、もし長期的に原油価格が1バレルあたり $150 になれば、すべての軍艦を核動力とするのが経済的になる、と。
※余談。可倒式の風力発電塔の塔それ自体を起電機の梃子とすることができるのではないだろうか? つまり、ただの1本の長い直立円筒を、地表面の高さに位置したユニバーサルなヒンジによって支え、そのヒンジの下の地下空間には、円筒の延長としてのアームが直結されており、アームの先にはカウンター・マス(対錘)がぶらさがっている。風が円筒を横に押せば、地下部分のアームが動揺するから、その運動エネルギーをジェネレーターで回収できる。台風並の強風にさらされれば、塔は、〈柳に風〉と倒れるだけで、破壊はされないだろう。