KEVIN McGILL and CAIN BURDEAU 記者の2010-4-28記事「Crews to set fire to oil leaking in Gulf of Mexico」。
ミシシッピ河口から20マイル東のメキシコ湾上で爆発した採油リグからの漏出油にコーストガードは火をつけるつもり。このままルイジアナ~マイアミの自然湿地に漂着するとえらいことになるから。
延長500フィートの、焼却作業用コラル(浮き柵)で漏出油を包囲し、それをそのまま沖合いまで曳行し、着火して半日で焼いてしまう。
Deepwater Horizon と名付けられていたリグ(Transocean Ltd. の所有にして、BPが運用)が先週、爆発して海没し、その海底に開けたドリル穴からは毎日 42,000 gallons の原油が海水中へ噴き出し続けている。
11人の作業員が依然、行方不明。爆発原因は未解明。
1995にもSan Jacinto River で油漏れ事故があり、浮き柵を使って焼いたことあり。
専門家いわく。海洋汚染を防ぐためには、焼いてしまうのがいちばんいいんですよ。
点火には、 jelled gasoline と、油に浸したボロ布を用いる。
浮き油が燃え尽きたあとには、固化したタール・ボールが残る。これは網で掬い取る。
油浮遊域は、目下、「100 × 45」miles の範囲におさまっている。
潜水ロボットを深度5000フィートへ投入し、 shut-off device を作動させようとしたが、これは失敗した。
BPのリグ・オペレーター氏いわく。 relief well を至急掘り、噴出圧力を緩和させるつもり。ただし、この作業には何ヶ月もかかる、と。
もうひとつの提案。巨大な逆さ御椀を漏出孔の上にかぶせて、浮いてくる油をいったんそこに溜め、ポンプで海面上の回収船が吸い取る。実施には2週間かかる。
この災害による損害総額は top $1 billion まで昇るだろう。
代替リグの値段は $700 million である。
BP によれば、漏洩対策のために目下、1日に $6 million がかかっているところ。
減圧用シャフト工事の費用は、 $100 million になるだろう。
コーストガードは、かかっている費用を発表していない。
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ナショナルディフェンスの2010-4-22記事「Not-So-Secret Weapon in the War on Drugs: Sensors Than Can Infiltrate Jungles」。
マイアミから南極大陸まで担当する U.S. Southern Command の司令官いわく。南米のジャングルは偵察しようがない。
コロンビアでは、半没艇の建造工場から、10フィート離れれば、もう視認することは不可能という密林だ。
いまのところ一番成功しているのは、 Army’s A-160 Hummingbird unmanned helicopter. こいつはDARPAが開発した樹冠透視レーダーを積んでいる。
過去20年間、南米から北米へのコカイン密輸の25%のみが摘発されてきている。
敵の輸送手段は8割が高速艇と半没艇。
この半没艇が海に出る前に探知したい。そのためのハードウェアが必要だ。
半没艇は、長さ 60 to 70 feet 、積荷は 10 tons of cocaine、 ディーゼル・エンジンで5000浬走る。昼は微速にし、夜間に速度を出す。
2008 に SouthCom は 76 隻の半没艇を捕捉した。
しかし2009には 52 隻と成績ダウン。理由は不明。
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ストラテジーページ 2010-4-28記事「U.S. Army Picks A 120mm Winner」。
数年ごしの比較評価の末に、米陸軍は、 GPS guided 120mm mortar shellのメーカーとして、米国の ATK system 社を選んだ。他の競合メーカーは、米国内に1社、そしてイスラエルの1社であった。
※むかしは迫撃砲弾のことはBombと書いて、野砲弾のShellとは区別をしていた。今は迫撃砲も高性能化・多機能化したので、Shellと書くのがふさわしいのだろう。
ATK社は2006からこの砲弾の開発にとりくんできた。誘導システムは、螺子式にとりつけられる弾頭の信管部(ここには誘導回路はあるがGPS装置は入っていない)と、より大きなGPS受信装置と動く小翼である。
これらのキットを、従来からある迫撃砲弾にねじつけるだけで、GPS誘導弾にできる。レーザー誘導式ではないから、小さな目標を直撃しようというのではない。あくまで、GPS精度での地域狙撃になる。だいたい6m以内に集弾するという(要求されていたのは10m以内)。
目標のGPS値は、金属のプローブを信管に差し込んで入力する。
最前線の迫撃砲チームは、手元にたくさん弾薬があるわけではないし、後方から弾薬を届けてもらいにくい場合が多い。しかしこのGPSキットが普及すれば、もはや、弾薬の推進に苦心する必要はなくなる。わずか数発の発射で、仕事は終わるのだ。
米軍はすでに3年前、レーザー誘導の迫撃砲弾をイラクとアフガンにテスト用として送り、1年前にテストした。
これは「XM395 Precision Guided Mortar Munition」といい、20年間も開発を続けてきたけれども、遅れに遅れていたもの。重さ 38 pound で射程は 7.5 kmあり、レーザーで指示した点から1m以内に落下する。
※日本の内地の湿度だと6kmも離れたら、戦車のような大きな目標でも、肉眼で識別するのは至難である。7.5kmは、直接照準交戦距離としてはover Maxであり十二分である。この迫撃砲の口径を150ミリにupすれば、そのまま対戦車兵器。もはや先進国同士の戦争で有人AFVに活躍させようなんて気違い沙汰だと知れるだろう。
XM395の欠点は、高価かつ複雑すぎること。
また、レーザーで目標を照射する役割の兵隊は、かなり敵に近づく必要があり、その兵隊が危険であると分かった。※うっかりすれば、レーザーの照射源に味方の砲弾が落ちてくることもあるのかもね。それに、敵もフルスペクトラムの監視手段で、レーザーの照射源を簡単に発見し、そこに火力を志向してくるだろう。
120mm mortar round の中には、だいたい 2.2 kg の炸薬が充填されている。これならコラテラル・ダメージは十分に小さい。
155ミリ榴弾だと、炸薬は 6.6 kg である。これはコラテラルが大きい。
120ミリ迫撃砲弾は、無誘導の場合、最初の1発は、照準点から136m以内に落ちる。レーザー誘導だと1m以内、GPS誘導だと10m以内だ。
米陸軍はこのGPS型がもっとも重宝だと期待しており、今年の末までにはその砲弾を受領し実用する。
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Noah Shachtman 記者の2010-4-27記事「Pentagon’s Mach 20 Glider Disappears, Whacking ‘Global Strike’ Plans」。
Falcon Hypersonic Technology Vehicle 2 (HTV-2) は、予定では、発射から30分後に、4100浬(7600km)先の海面に落下するはずだった。
信号がとだえる前に、大気圏内でマッハ20での機動を何度かさせることに成功した。
“prompt global strike”には3案がある。
ひとつは長射程のICBMの核弾頭を通常弾頭に換えるもの。
もうひとつは、ICBMより短射程だがマッハ5以上で飛ぶ巡航ミサイル。これは2009-12に X-51 Waverider でテストする予定だったが、2010-5に延期されている。
HTV-2 が三番目の案である。これのメリットは、弾道がBMのRVとは歴然と異なるために、ロシアの早期警戒レーダーがアメリカからの核攻撃だとは錯覚しないこと。
関連して。
AFPの2010-4-28記事「DARPA-crafted Glider Falls Short In 1st Flight」。
次の実験は2011の前半だ。
米空軍は、低軌道の偵察衛星が敵に破壊されてしまったときに偵察を行なえる機体も開発中。※それがいま周回しているやつだ。
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JOHN REED 記者の2010-4-27記事「USAF Broadens Plans for Next-Generation UAV」。
MQ-9 Reaper の後継機とする米空軍の MQ-X 構想。次世代の tactical UAV はどうなる?
cargo hauling や aerial refueling もさせたい。中型サイズで。
あたかも今のC-130 のような多目的用途機にしたいのだ。
sense-and-avoid も必要。
計画が具体化しはじめるのは2014以降で完成は2020以降か。
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Paul McLeary 記者の2010-4-27記事「Enemy Adapts To Counter-IED Tactics」。
2年前、米第25歩兵師団の第2ストライカー戦闘団がバクダッド北郊で発見したIEDは、155ミリと122ミリ砲弾と雷管とをプラスチックで包み、そこから指令起爆用電線が畑の灌漑用水路沿いに伸びているというものだった。
その後アフガンでは、肥料や化学剤から合成したIEDが登場し、今年はその数が昨年の2倍になりそうだという。
原料の肥料は大別して2種。塩化カリウム【 potassium chloride】と硝安【 ammonium nitrate】である。
その起爆装置は、踏み板、もしくはトリップワイヤを用いた初歩的なものが大宗だが、有線指令式も見られる。
イランのIEDは、サダムの弾薬庫からの流出品だけが材料ではない。イランがシーア派に渡した武器があるのだ。
タリバンとは別に、Haqqani という組織があり、これはアフガン東部に蟠居している。2008にインドのカブール大使館を爆破し、2009-2にはカブールを襲撃せんとし、2009-12には Camp Chapman in Khost Province のCIA基地を壊滅させた。
彼らは硝酸アンモンの肥料を多用するので、マクリスタルはカルザイにねじこみ、硝安肥料のアフガンへの輸入を禁ぜしめてしまった。硝安をアフガン国内で生産することも禁止である。
ところがそれでもIEDは減らない。
そこでとうとう登場したのが、“Self-Protection Adaptive Roller Kit (Spark)”……要するに、自動車の前にローラーをとりつける。
イラクの電波妨害装置より後退したような印象だが、アフガンでは、こっちの方が有効なのだ。
ビーチクラフト・キングエア350ERを原型とするC-12双発機を路上爆弾警戒任務用に改造したのがf MC-12W ISR aircraft。これも道路偵察部隊に連携させている。