CHRISTOPHER P. CAVAS 記者の2010-4-28記事「 Fuel Factors Less Than Price For LCS」。
米議会の予算局の最新の試算では、 Littoral Combat Ship (LCS) のトータル・ライフ・サイクル・コストに占める燃料費は、せいぜい11%にしかならぬと。
当初の調達予算を通すときの海軍の説明は、それは64%にもなるから単艦価格が高くともペイするのだ、ということだったのに……。
アラバマ選出上院議員(共和党)は、今2つあるLCS案のどっちを採用するかの基準は、トンあたりの燃費によって決めるべきだと主張中。その主張が、この数値によって弱められた。
海軍当局は、この夏の二者択一に際しては、燃費ではなくて、ライフサイクルコストを主な判断基準にすると言い続けている。
なぜアラバマ州か? じつは、アルミ船殻で三胴のLCSの1案は、アラバマ州モビルに本社がある Austal USA 社の試作品だからだ。ライバルは、Lockheed Martin LCS のウィスコンシン工場なのである。
※一見アラバマには海が無いように見えるが、アラバマ川河口のMobile市が立派な港。ウィスコンシン州も海とは接していないが、五大湖運河を通って巨船が大西洋へ抜けられる。
もうひとりのアラバマ選出上院議員(共和党)も、ウチのフネの方が高速時の燃費が良いんだ、と叫んでいる。
じつはまだロクに比較データは集っていない。ロッキード製の USS Freedom (LCS 1) は1年以上前から就役しているのだけれども、 Austal USA 製の1番艦となる USS Independence (LCS 2) は、ほんの1ヶ月前に造船所から出てきたばかりで、本格的なテストを行なえていないからだ。
試算では、艦艇を3種類に分けた。低燃費艦、中燃費艦、高燃費艦。
低燃費艦では生涯コストに占める燃費は8%、中燃費艦では11%、高燃費艦では18%である。
その艦艇が作戦用として廃用されるまでのトータルコスト(燃費や修理費等を含める)に占める艦そのもののお値段の割合は、低燃費艦だと66%、中燃費艦だと64%、高燃費艦だと58%である。
LCSは、将来の四半世紀、米海軍の1/5を占めるかもしれぬ艦種。
次。
David A. Fulghum 記者の2010-4-29記事「Afghan War Demands Flexible Weaponry」。
アフガンで活躍が期待される偵察用の5機種。
まず、MC-12W Liberty は、すぐに出動してくれる ISR aircraftだ。Vader を搭載する。アフガン戦争以前には、夜、雲の上から敵の兵隊ひとりひとりの動きを監視できるレーダーは存在しなかった。※湾岸戦争のときからあるジョイントスターは、風に揺れる鉄条網にすら反応したらしいが、問題は識別能。ようやく最近、人間1人1人を電波で撮像し、トラッキングまでできるようになった。ちなみに20年以上前には自衛隊にも古い対人レーダーがあったが、それにはPPIやオシログラフすらついておらず、ヘッドセットで音の変化を聴いて、対岸の島や霧の海岸で人が動いているかどうかを判断するという、オホーツク監視所用のモノだった。通信隊員に対するマニュアル教育だけが惰性でなされており、現物にはお目にかかれなかった。
E-8C Joint Stars は、イラクにおいて post-mission analyses を可能にしてくれた。データを遡って検討できるのだ。 GMTI(ground moving-target indicator)のrecordings を、IEDの炸裂時から逆ら遡れば、誰がいつ仕掛けたのかも、わかるという次第。
EC-130H Compass Call electronic attack aircraft は、いま14機飛ばしているが、数が足りないので5年以内に4機増やす。
海軍はEA-6Bが退役するので four squadrons of EA-18G Growlers を投入する。
これらの機種は、敵がIEDを無線で起爆させようとする指令コマンドや、打ち合わせ行為を、電子的に妨害する。〈いま、米軍車両が通りかかった〉〈よし起爆しろ〉といった敵の無線連絡通話を妨害することも有効なのだ。
MQ-9 Reaper remotely piloted strike aircraft についてはいうまでもない。
アフガンでは今、リーパーのようなRPA(remotely piloted aircraft)用の飛行場の建設需要がとても大きい。キミがもしアフガンの田舎に出張してそこに平地を造成してコンクリートを打設できますよ、と申し出るなら、キミは即日、大金持ちとなれるだろう。
RPAを1機、戦闘哨戒任務(CAP)につかせておくためには、120名の地上支援員が必要だ、ということも分かってきた。
米空軍は今、600名弱のRPA用パイロットを擁している。
しかし米空軍の目標は、RPAを常時65機飛ばすこと。つまり、それ用のパイロットは1400人も必要だってことだ。
さいきん、ネヴァダの Creech AFBに行ってきたが、MQ-9 Reaper を飛ばすってことは、地上の巨大なネットワーク接続なしでは不可能なんだと理解した。※それゆえ、「無人」機というミスリーディングな用語も避け、空軍はRPAと呼び換える方針なわけか?
企業も完全にISR需要を理解している。いま空軍は、週に1回は、電子メーカーから新型のISR製品のプレゼンを受けているよ。
この夏の後半には、いよいよ Gorgon Stare をMQ-9に搭載できる。※はるか高空から、広域を監視しつつ、同時に、怪しい個人を徹底追尾できるという赤外線「張り込み捜査」システム。それも、同時に10人以上も。
これで1機のリーパーの働きは過去の10倍となるだろう。
最後は、 Global Hawk Block 40 unmanned surveillance aircraft, which also will carry a ground moving-target indicator (GMTI) だね。
※これについては項目だけ揚げておいて、具体的言及なし。おそらく携帯電話を傍聴するミッションや、UAV信号の空中中継に従事中ではないかと想像。
次。
2010-4-29のストラテジーページの記事「Top Gun Rises From The Dead」。
米海軍が中古のF-16を州兵空軍から購入する。目的は、F-18パイロットに、シナ軍戦闘機との空戦をレッスンさせるため。
Russian MiG-29 と Chinese J-10 は、要するにF-16モドキだから、都合が良いのだ。
すでに海軍は26機のF-16Nを late 1980s に買っている。
しかし金属疲労が来たため 1990s に廃止。
それで16機をまた買いたかったのだが10年近く、待たされた。
海軍は、F-5s も、敵機役として買っている。これは12トンあり、だいたいMiG-21と近いのだ。
2年前、スイスから 44機のF-5E を買いつける契約。買ったあとでちょっと改造することは無論である。
The F-5 is normally armed with two 20mm cannon, and three tons of missiles and bombs.
MiG-21 は 9.5 tonある。※写真だけ見てると、F-5の方が軽そうに見えるよね。
そして、 can carry 1.5 tons of bombs.
WWII中は、敵機のクセは戦地で学べばよかった。だがWWII後は、ベトナムにパイロットを送り出す前に、ロシア式の飛び方をする「敵機」を相手に訓練させとく必要があるのだと痛感された。それで海軍がトップガン教程を4週間、課したところ、大成功。すぐに米空軍も Red Flag schoolで追随した。
その後、トップガンはドッグファイト志向、レッドフラッグは電子戦志向と、性格が分かれた。
1980年代にソ連のパイロットの技倆が落ちた。経済難から訓練飛行時間を削られたのだ。その間、米軍パイロットは逆に訓練飛行時間を増やした。フライトシミュレーターも飛躍的に高性能化。
米露のパイロットの技倆の懸隔がハッキリしたので、ついに、トップガンもレッドフラッグも、1990年代末に予算を削られた。
現在の米軍パイロットの想定敵手は、シナ人パイロットである。
次。
Bryan Walsh 記者の2010-4-28記事「Offshore Wind Power: Is It Worth the Trade-Offs?」
いよいよ Cape Cod in Massachusetts 沖に米国初の海上風力発電塔をつくることに。
平均183 megawatts を発電し、ローカルに供給する。
130 wind turbines を 24 sq. mi. に布置する。
場所はNantucket 海峡で、 about five miles from shore である。
しかし景観を破壊するというので9年も揉めてきた。 $1 billion のプロジェクト総額に引き合わない、とも。
そこで羽根の径は小さくされ、さらに陸地から遠い場所にされた。つまり、より小さく見えるように。
National Renewable Energy Laboratory は 90,000 MW を 米国はoffshore windsから得られると試算している。
有利な点は、大都市のすぐ沖につくれるから、送電ロスが小さい。
28州ある米国の「海あり州」が 78% of the country’s electricityを消費している。
ただし、建設コストや維持費は陸上の風力発電塔の2倍だ。
次。
サイエンスデイリーの2010-4-29記事「Crude Oil No Longer Needed for Production of Plastics」。
毎年世界で 130 million kilo〔単位は何だよ?〕 の ethene【エチレン】が生産されている。これが、プラスチックになるのだ。ただし原料は、原油である。
原油がなくなってしまったらどうするか?
オランダ人が答えをみつけた。
天然ガスからとればいいんだ(w)! そして将来はバイオガスから。
従来、天然ガスからエチレンを得るためには800℃にも加熱する工程が必要だった。結果、製品は価格合理性ゼロだった。
しかし、天然ガスからは、 syngas、すなわち一酸化炭素と水素の混合ガスもつくられる。この工程は熱を必要とする。
だったら、天然ガスからエチレンをつくるときの熱を、syngas製造にすぐ転用してしまえば、トータルでコストは合理化されよう。もちろん、うまい触媒が必要だ。
プラントの廃物利用バイオマスからメタンを取り出す試みも。メタンは天然ガスの成分である。
それができるようになれば、化学肥料の原料として天然ガスを使う必要もなくなる。
次。
Nathan Hodge 記者の2010-4-29記事「Pentagon Doles Out Sweetheart Deals for Wartime Supplies」。
ホワイトハウスの計算によれば、1人の米兵を1年間、アフガンに配備するのに、 $1 million が、かかっているそうである。
国防兵站局はあっさりと白状した。キルギスとアフガンにある米軍基地に航空燃料を $1.4 billion で補給するという随意契約を、うさんくさい外国企業×2社を指名して(競争入札せずに)結んだと。
キルギス暴動には、こういう不明朗なカネの流れもかかわっているんだ。このカネがキルギス政府を腐敗させたのだ。
兵站局はまた、英国のHesco Bastion社とも単独指名契約している。このメーカーの sand-and-soil-filled が中東と中央アジアのすべての米軍基地のperimeter【陣地外辺】で見られる。※土嚢のこと? それともコンクリートブロックのこと? defensive barriers とも書いてある。
一社契約は、けっきょく高くつく。実例がいくらもある。
次。
admin 記者の2010-4-29記事「Helium-3 Shortage Could Mean Nuke Detection ‘Disaster’」。
helium-3 isotope は、ヘリウムガスの中に 0.0002 %以下しか存在しない。
こいつは中性子に対して特別に敏感だ。だから核物質(特にプルトニウム)の探知機には不可欠だ。
核爆弾の威力を増強してくれる素材であるトリチウム(三重水素)が崩壊するときに Helium-3 は得られる。
1988に米国内のトリチウム生産は終わってしまった。ところが、トリチウムの半減期は12年だ。だから逼迫してきた。
しょうがないので古くなって解体する核弾頭からヘリウム3 を回収して間に合わせていたが、9-11以降は大不足。
このガスは 76,000 liters per year要る。しかし生産量は 8,000 liters annually であり、米国内の在庫は 48,000 liters未満になっちまった。
2004 から 2008にかけて 25,000 liters の helium-3 が毎年ロシアから輸入されていた。しかしロシアは輸出を停止した。
ヘリウム3は、炭化水素の埋蔵探知にも使える。つまり石油掘削会社もこれを必要としている。
boron trifluoride が安価な代替品になるのではないかという研究も進んでいるが……劇物である。
lithium-loaded glass fibers や、 cesium-lithium-yttrium-chloride(clickと呼ぶ)も考えられている。いずれも実用化はされていない。